電話応対でCS向上事例

-エレクタ株式会社-
がんを治療する放射線治療機器メーカーとして、医療関係者の困りごとを一刻も早く解決したい

1993年に日本法人を立ち上げ、がんの放射線治療に関わる機器・サービスを提供してきたエレクタ株式会社。がん患者の命に関わる機器を販売・保守する立場として、医療関係者の機器操作や困りごとを日々サポートしています。そして、万が一の不具合に際しても、一刻も早く解決につなげるためにサポートセンターの応対スキル向上に取り組んでいます。

御社の事業概要について教えてください。

  • カスタマーサービス部
    統括部長
    林 順錦氏

     弊社は、スウェーデンに本社があるElekta ABというがんの放射線治療に関わる製品・サービスを提供する会社の日本法人です。Elekta ABは放射線治療のパイオニアであり、各種の治療機器に加え、患者さまの治療計画を立てるアプリケーションや治療経過を一元管理できるシステムの販売、保守をしています。また、製品をお使いの医療関係者に対して、ハードウェア、ソフトウェアのトレーニングも定期的に行っています。Elekta ABは、全世界25ヵ国、40拠点で、4,000名以上の社員が活躍しています。当初、日本本社は神戸にありましたが10年ほど前に東京に移転し、社員数は約150名です。(林氏)

医療機器のサポートに関わる各種オペレーションや情報提供を、電話応対と画面の遠隔操作でサポート

御社と電話応対の関係性をお聞かせください。

  •  弊社のコールセンターであるECSC(Elekta Care Support Center)では、計12名のスタッフが常勤しています。弊社の放射線治療機器には、がん以外に機能的脳疾患、血管性障害の治療も可能な、頭部専用の『ガンマナイフ』と、全身に対応可能な『リニアック』という大きく分けて2種類の製品があります。また、それらの治療計画を行うソフトウェア、治療を管理・検証するソフトウェアがあります。これらのハードウェア、ソフトウェアごとに専任のエンジニアがおり、お客さまからのお問い合わせに日々応対しています。(林氏)

お客さまはどのような方が多いのでしょうか。

  • カスタマーサービス部
    ECSC TPSアプリケーションスペシャリスト
    北里 貴子氏

     主に弊社の機器をご利用いただいている医師や診療放射線技師、医学物理士の方々ですね。使用中の不具合に関することや、使用方法をもっと詳しく知りたいなどのお問い合わせがあります。保守契約を締結しているお客さまに対しては、リモートシステムを使ってお客さまの画面を遠隔操作することもあります。がん治療を行うための機器ですので、休日・夜間は外部コールセンターへ受付業務を委託し、お問い合わせに24時間・365日対応できるように体制を組んでいます。(北里氏)

リモートという観点で言えば、新型コロナウイルスの影響はありましたか。

  • カスタマーサービス部
    ECSC マネージャー
    木内 隆浩氏

     病院でも働き方改革が提唱され、在宅での治療計画を検討する病院が増えています。弊社では、医師が自宅から患者のCTデータを閲覧し、治療計画を進められるソリューションを10年ほど前から提供していますが、それを導入したいというお話が増えてきましたね。もちろん、治療を遠隔操作で行うことはできませんが、治療計画であれば病院以外の場所でも作成可能ですので、こういったシステムの導入により医師の働き方の自由度が高まると思っています。(木内氏)

エレクタ株式会社は、がんの放射線治療に関わる製品・サービスを提供するElekta ABの日本法人です

「電話応対診断」の結果をチームで共有することで、メンバーの意識が高まった

御社では、電話応対にどのような課題がありましたか。

 ECSC設立当初のスタッフは、もともと現場で保守修理などの対応にあたっていたエンジニアが多かったため、サポートセンターに必要な電話応対のスキルが低いという問題点がありました。また、お客さまと電話でお話しする中で、コミュニケーションがうまくとれずにクレームになってしまったこともありました。お客さまに弊社の機器を気持ちよく使っていただくためには、ECSCの電話応対も改善すべきであると考え、応対品質向上に取り組むことになりました。(木内氏)

課題を改善するために、御社が取り組んできたことをお聞かせください。

 2019年から日本電信電話ユーザ協会の『電話応対診断』を利用しています。このサービスは、仮のお客さまとして専門スタッフからECSCに電話があり、その際の応対の様子を録音して診断してもらえるというものです。専門的な第三者から客観的に評価されるので、メンバー各自が自分の強み、弱みに気づけるようになりました。現在は、3ヵ月ごとに診断をお願いしており、診断の間に指摘された部分を直すという取り組みをしています。具体的には、いくつかのチームに分かれて診断結果を共有し、次回までにどこをどのように直すかを話し合い、その結果を「電話応対品質 改善宣言!」として明記し席に貼ることで、指摘されたところを常に意識しながら電話応対をしています。(木内氏)

これまでの取り組みの成果を教えてください。

 メンバーはお互いの意識が高まり、それぞれの電話応対内容に強い関心を持つようになりました。それによって「こういう言い回しがあるのか」「こう説明すれば良いのか」と、日々の応対の中で気づけるようになりました。また、電話での話し方一つで、お客さまが私たちの味方になっていただけるかどうかが決まることもあり得ます。例えば、機器に何かトラブルが起きた時に、電話での対応が悪いと「一体どうしてくれるんだ!」と責められてしまいますが、対応が良ければ「一緒にこのトラブルに立ち向かっていこう!」と協力していただけます。最近は少しずつお客さまの協力を得られるような応対になってきたことを実感しますね。(北里氏)

命に関わる機器を提供する立場として、がん患者の治療に貢献したい

最後に、今後の目標をお聞かせください。

  •  私たちカスタマーサービス部は、「Customer Focus※~ありがとう!の一言~」をミッションとし、お客さまが困っていることをいかに早く解決できるか、それによって次も弊社の機器を喜んで使っていただけるか、を重視しています。私たちの製品を操作するのは医師や診療放射線技師、医学物理士の方々ですが、人命に関わる機器ですので、何か不具合があれば患者さまに与える影響はとても大きいのです。そのため、万が一機器に不具合が発生した場合も、迅速に解決につなげることで、患者さまの治療に貢献できると考えています。(林氏)

 ECSCとしては、現時点でメンバー全員が同じレベルの意識やスキルでお客さまの応対ができているわけではないので、質の高いところで全体のレベルを均一にすることが目標です。そのためには、外部の研修などにも参加したいと考えています。そして、メンバー全員が自分の電話応対に自信を持てるように質を上げていきたいですね。(木内氏)

※ Customer Focus(カスタマーフォーカス):すべての従業員が顧客第一の視点を持ち、業務に取り組むこと。

会社名 エレクタ株式会社
設立 1993年(平成5年)10月5日
本社所在地 東京都港区芝浦3-9-1 芝浦ルネサイトタワー7F
取締役社長 チャールズ・シャーネン
資本金 1億円
事業内容 医療機器及び医療用放射線治療計画装置の輸入販売・保守
URL https://www.elekta.co.jp/

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