電話応対でCS向上事例

-社会医療法人 孝仁会 釧路孝仁会記念病院-
「誰もが安心できる医療」実現のため、電話応対技能検定(もしもし検定)を導入

病院にかかる患者さんにとって、窓口や電話での応対は病院の印象を左右します。また安心できる医療のためには、病院で働く人々同士の確実なコミュニケーションが欠かせません。社会医療法人 孝仁会 釧路孝仁会記念病院は、電話応対技能検定(もしもし検定)の導入を通じ「誰もが安心できる医療」を目指しています。

病院の概要について教えてください。

  • ▲脳神経外科
    院長
    稲垣 徹氏

     当院は240ほどの病床を持つ中規模病院です。地域の医療拠点として一般の外来診療に対応するほか、救急医療に特に力を入れ、脳と心臓疾患に高い専門性を持っています。複数の救急車、さらにはドクターヘリも導入し、釧路を中心に200km圏、根室、羅臼などを含む北海道東部地域すべてを医療圏としています。(稲垣氏)

病院としてのポリシーを教えてください。

 患者さん、さらにご家族が安心してご来院いただけるよう、30年前の開業より「分かりやすい医療、開けた医療」を掲げ、日々の診療にあたっています。そしてその実現のため、24時間365日、いつでも、どなたでも電話一本でご来院いただき、受診が可能な体制をとっています。(稲垣氏)

学ぶ機会のなかったマナーやルールをもしもし検定で習得

電話応対技能検定(もしもし検定)を取り入れた動機について教えてください。

 実は医療の現場に関わる者は、専門的な業務も多く、病院内で完結する比較的閉じられた世界にいます。さらに医師、看護師など多くの医療従事者の養成課程でも、ビジネスマナーやルールについて学ぶ機会がほとんどありません。そのため、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルに課題を抱えていたのです。(古川氏)

どのような課題があったのでしょうか。

 例えば院内の病棟から病棟、事務と看護師などの内線電話でも、名乗りができない、いきなり内容を切り出す、通話後にガチャ切りするなどです。病院では、緊急の用件も多く、口頭の指示伝達だけで患者さんの対応が行われることもあります。しかし、そこから「誰がそれを伝えたか」が欠けてしまうと、責任の所在が不明確になるなど、業務上の不都合が生まれてしまうのです。(古川氏)

そうした課題をどのように解決していったのでしょうか。

 当院では、患者さんとの対応やマナーのあり方について、院内各部署の委員で構成する「CS委員会」「接遇委員会」で話し合い、必要に応じて部署ごと、または全体参加での研修も行っています。その研修の際、講師の方からもしもし検定のお話をいただいたことがきっかけでした。内容を調べてみると、電話応対だけでなく、ビジネスマナーなども広くカバーしており、先ほど申し上げたような“これまで学ぶ機会がなかったマナーやルール”を習得することで当院が抱える課題の解決に役立つと考え、病院として受検の参加を決めました。(古川氏)

「名乗りなし」「ガチャ切り」が激減、コミュニケーションが円滑に

これまでの受検状況はいかがでしょう。

 2015年にまず44名が、以降これまで合計100名ほどが4級を受検し、60名近くが合格しています。受検は基本的に本人の希望によるものですが、病院からぜひ受検をと働きかけをした部署もあります。忙しい仕事の合間を縫っての受検だったこともあり、合格率そのものは決して高くはありませんが、合格に向けた勉強を通じ、電話応対への向上意識は高まっていると思います。(古川氏)

もしもし検定導入後、具体的な効果は表れましたか。

 定量的な効果測定は行っていません。ただ「名乗り」「ガチャ切り」などの問題は減少し、名乗らない場合にはきちんと聞き返すといった“意識の高まり”が生まれました。また患者さんやご家族からは院内各所の「ご意見箱」でご意見を受け付けています。もしもし検定導入前は、電話応対へ苦情をいただくこともありました。導入しての5年間で、もちろん苦情ゼロにはなっていませんが、減っていることを実感しています。職員にはこういった検定を通してマナーの知識を身につけていただき、それが電話応対改善のきっかけにつながることを期待しています。(古川氏)

マナーとスキルを磨き「働きやすい職場」「かかりやすい病院」実現へ

釧路孝仁会記念病院の理念

今後の展望についてお聞かせください。

診療放射線科
診療放射線技師
課長
古川 研治氏

 医療現場で人手不足が続く中、現在の24時間365日の診療体制は正直言って大変です。しかし当院は脳や心臓の救急医療に特化していることで、大学病院からの派遣に頼らなくても、そうした高度な医療技術を学び専門医を目指したいという医師が集まっています。コミュニケーションスキルを高め、働きやすい職場、患者さんがいつでも安心してかかれる病院を目指し、さらに努力していきたいと考えております。(稲垣氏)

 病院もサービスで選ばれる時代です。20年前、30年前とは異なり“病院だから”では患者さんに選んではいただけません。今後も、もしもし検定の受検を続け、患者さんやご家族に心のこもった分かりやすい電話応対や接遇に努めていきたいと思います。4級に合格した職員の中にはさらに上の3級にチャレンジしたいという声もあります。また次のステップとして、電話応対コンクールに参加し、自分たちのスキルがどのくらいなのか客観的な判断をいただきたいという思いもあります。今後、病院全体としてどう取り組んでいくか、しっかり考えていきたいと思います。(古川氏)

会社名 社会医療法人 孝仁会 釧路孝仁会記念病院
設立 1989年(平成元年)12月
所在地 北海道釧路市愛国191番212
理事長 齋藤 孝次
資本金 4億円
事業内容 病院・診療所、介護事業、看護学校
URL http://www.kojinkai.or.jp/

電話応対技能検定実施機関

株式会社コム

http://www.com-consul.com/

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