電話応対でCS向上事例
-社会医療法人財団大和会 東大和病院-安心で安全な医療を提供するために電話応対業務は患者さまと病院とを結ぶ重要接点
記事ID:C20096
東大和病院は、東京都東大和市の唯一の急性期病院として循環器内科・心臓血管外科、消化器内科・外科、脳神経内科・外科、呼吸器内科・外科や整形外科、乳腺外科などの幅広い診療科を備えています。同病院の電話応対への取り組みについてお聞きしました。
事業概要についてお聞かせください。
総務課 課長 境 洋隆氏
境氏:当院は、東大和市にある急性期病院として高度な医療サービスを提供しています。2014年9月に東大和病院附属のセントラルクリニックを開設して外来機能の効率化を図り、2016年2月には地域医療支援病院の認定を受けて地域医療機関とのさらなる連携を進め、より安心で安全な医療を提供できるよう努めています。
総務課 勝間田 惟氏
勝間田氏:お電話をかけてくるのは患者さまやご家族、地域のクリニックや在宅訪問看護ステーションの担当者や取引業者などさまざまですが、まずは総務課が代表窓口として応対します。医療機関ですので緊急を要する内容も多く、すぐに受診したいといった問い合わせについては外来受付や関係部署に取り次ぐ必要もでてきます。日々さまざまな問い合わせをいただき神経を使うこともありますが、電話応対業務は患者さまやご家族と当院を結ぶ重要な接点と捉え、取り組んでいます。
医療機関における接遇日本一を目指して
電話応対に関する考え方や課題について教えていただけますか。
事務部 事務副部長
山本 雄三氏
山本氏:20年以上前ですが、当時の理事長が医療機関としてのサービス向上の目標に、「接遇日本一」を掲げました。以来、その理念を語り継ぐ形で実践しています。接遇委員会が中心となって、挨拶や言葉づかいといった接遇レベル向上のための取り組みを数多く行ってきました。挨拶の仕方の良い職員を表彰する「挨拶運動」、職員の間で感謝の気持ちを伝え合う「サンキューカード」、そして接遇研修もこうした取り組みの一環です。
総合窓口である総務課で電話を受け、担当部署へ取り次ぐ
電話応対についてですが、総務課では取次のルールをまとめたマニュアルを基に応対しています。まず、総合受付として電話を取った際に患者さまのお名前と登録番号をお聞きし、担当部署へつなぎます。内容や時間帯によってどの部署に取り次ぐかが変わってきますので、新しい担当者が入るとそうしたルールをしっかり伝えます。ただ、言葉づかいや接遇については明文化されておらず、品質の均一化が難しい面もあります。また、取次先のスタッフは多忙なことが多く、すぐに電話に出られないこともあり、電話をつなぎたい総務課との間でまれに軋轢が生じることもあります。簡単に解決できる問題ではありませんが、総務課の取り次ぎ方のバラツキがないようスタッフ全員で話し合いをし、共有しながら、必要な部署へ適切に取り次ぐことを目指しています。
取次マニュアル
勝間田氏:取次マニュアルは20ページ程度のもので、総務課で活用しています。日々の応対のなかで意見交換し、見直すべき箇所があれば都度変えていくような運用を行っています。最近の例としては、終話の際「お大事になさってください」「お気をつけてお越しください」といった一言を添えることを記載しました。そうした言葉を添えるようになったことで、患者さまからお礼を言っていただけることが増えたように感じています。
境氏:病院の代表番号にかかってくる電話は何かしらの不安を感じている患者さまや利用者の方が多いものです。受ける側としてまずは傾聴すること、そして相手の気持ちを理解して不安な気持ちに寄り添うことが大切です。また、なかには当院では対応が難しい要件もありますが、そうした場合にもただお断りするのではなく、公共機関の問い合わせ先をご案内するなど、その方の参考となるような情報も合わせてお伝えするよう心がけています。
総務課職員や病棟クラークが接遇の重要性を再認識
電話応対技能検定への取り組みについて教えてください。
病棟クラークの名札
勝間田氏:7年ほど前に電話応対技能検定の存在を知り、まずは総務課の職員に話し、下準備に1年間かけて受検することにしました。テキストと問題集を購入して皆で取り組み、その後も、同検定への取り組みを他の部署へ徐々に広げています。実績としては、現在、事務職で4級が20名、3級が6名、看護部では29名が4級を取得しています。
看護部 教育師長
内堀 雅里子氏
内堀氏:看護部では、専門資格が取得できるということで主に病棟クラーク(事務スタッフ)が受検しています。4級から始めましたが、合格したクラークから上の級への受検を望む声も上がってきています。また、検定マークのシールを作成し、資格取得者の名札に貼るようにしています。これは、患者さまやご家族と接する際、接遇向上に力を入れていることをアピールするために行っているものです。実は、病棟での電話応対については医師からも改善点があることを指摘されていました。例えば、名前を名乗らず電話を取ることが、何かしらの事故につながらないとも限りません。電話応対技能検定への取り組みにより接遇や電話応対の重要性を改めて認識できるようになったことで、最終的には医師からもお褒めの言葉をいただけるようになりました。
電話応対品質の標準化を進めるために
今後の取り組みについてお聞かせください。
総務課での電話受付の様子
境氏:スタッフ一人ひとりの意識向上に向けてマニュアルの改訂を進め、「接遇日本一」という大きな目標に少しでも近づけるよう、活動を継続していきます。
内堀氏:病棟クラーク全員が電話応対技能検定4級を取得できることを目標にしています。また、看護師も院内外の電話を受ける機会が増えていますので、苦手意識を持っている若いスタッフを中心に、電話応対教育を進めていきたいと考えています。
勝間田氏:総務課では電話に出た際に名前を名乗るようにしています。そうすることで、私が責任を持って応対させていただきますという意思表示になると考えています。そうした想いを込めて作成した取次マニュアルを更新していくことにより、課内や院内の電話応対品質の標準化をさらに進めていきます。
山本氏:今後は電話応対コンクールへの参加など電話応対に関する施策を活用し、接遇意識の向上を図れるよう当院全体で取り組んでまいります。
組織名 | 社会医療法人財団大和会 東大和病院 |
---|---|
グループ設立 | 1951年(昭和26年) |
所在地 | 東京都東大和市南街1-13-12 |
院長 | 野地 智 |
標榜科目 | 内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病・内分泌内科、脳神経内科、腎臓内科、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、消化器外科、乳腺外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、泌尿器科、放射線科ほか |
URL | https://www.yamatokai.or.jp/higasiyamato/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
関連記事
-
-
2020.07.28 公開
-エレクタ株式会社-
がんを治療する放射線治療機器メーカーとして、医療関係者の困りごとを一刻も早く解決したい1993年に日本法人を立ち上げ、がんの放射線治療に関わる機器・サービスを提供して...
-
2020.06.25 公開
-社会医療法人 孝仁会 釧路孝仁会記念病院-
「誰もが安心できる医療」実現のため、電話応対技能検定(もしもし検定)を導入病院にかかる患者さんにとって、窓口や電話での応対は病院の印象を左右します。また安...
-
2019.08.15 公開
-株式会社サノ・ファーマシー-
おもてなしの心が込もった応対で信頼を獲得し、お客さまの健康生活を支援秋田県秋田市に本社を置く株式会社サノ・ファーマシーは、県内外に佐野薬局など多数の...
-
2018.12.25 公開
-医療法人 徳真会グループ-
コミュニケーション能力を武器に世界一の歯科医療グループへ全国に32の大型歯科診療所を展開、海外にも歯科技工の拠点を持つ医療法人徳真会グル...