電話応対でCS向上事例

-創心會グループ-
「日本一不親切な親切で。」を実践し、人が本来持つ力を引き出したい

記事ID:C20048

岡山県倉敷市で創業し、医療・介護・福祉サービスを提供する創心會グループ。「日本一不親切な親切で。」というスローガンで、利用者が本来持っている力を引き出すことを大切にしています。今回は、グループ傘下の株式会社創心會の田中 真允氏、株式会社ハートスイッチの大森 美由紀氏に、接遇向上に向けた取り組みについて聞きました。

事業概要についてお聞かせください。

株式会社創心會 取締役
人事兼事業統括部長
田中 真允氏

田中氏:株式会社創心會は、1996年(平成8年)に岡山県倉敷市で創業した会社です。社員はリハビリケアを学んでおり、訪問・通い・泊りサービスなどで、利用者さまご自身の身体機能を活かしながら、できるだけ在宅で過ごせるような支援や提案をしています。株式会社創心會には、社員が700名ほどおり、岡山県南部を中心に、約3,000名の方にご利用いただいています。

大森氏:株式会社ハートスイッチは、人財育成や就労移行支援などを通して、広く地域や医療・福祉業界とつながり、設立12年目を迎えました。設立当時、介護業界は慢性的な人財不足で、社会問題にもなっていました。そのような社会課題の解決に向け、介護、福祉業界のレベルアップを目指し、介護人財を育成する研修事業を立ち上げたのが当社の始まりです。

「日本一不親切な親切で。」をスローガンに、利用者の能力を引き出すことを重視

電話応対教育で大切にしていることをお聞かせください。

株式会社ハートスイッチ
人財共育支援事業部
大森 美由紀氏

田中氏:創心會グループは、岡山・広島・香川に事業所が80ヵ所以上あります。各事業所にかかってくる電話はそれぞれの社員が応対することになっているため、電話応対を含めた接遇研修を年に4回全社員に向けて実施しています。年に4回も行うのは『日本一不親切な親切で。』というスローガンを掲げていることも関係しています。ケアサービスは困りごとを助ける仕事ですが、利用者さまの生活機能を回復するためは、自分でできることを自信や満足感に、「自立」を引き出す関わりを目指します。「なぜ今は手を貸さないのか」を理解してもらうためにも、両者でコミュニケーションを親密に取ることの大切さを伝えるようにしています。

大森氏:その一方で、介護業界では、スタッフ同士や利用者さまに対しても親しみを示すため、あえてくだけた話し方をする風潮があります。その話し方は利用者さまや家族の方にとって耳障りな言葉に聞こえることもあり、身内がぞんざいに扱われているのではと不安に感じてしまうと思います。全体研修は、接遇のスキルを磨くだけでなく、すべての利用者さまに尊敬の念を込めた対応をすることを意識づける目的もあります。

ほかに、接遇向上に向けてどんな取り組みをしていますか。

介護スタッフの仕事風景

田中氏:利用者さまは高齢の方が多いので、手紙でやり取りすることも少なくありません。そのため、文字の書き方や文章の書き方などをトレーニングしています。また、手紙では利用者さまが「明日からまた頑張って生活しよう、トレーニングしよう」と思えるように前向きな表現を用いるよう指導しています。トレーニングでは、どうしても「体が思うように動かない」などネガティブな課題がありますが、そういう時は直接お話ししたり、電話で伝えたりしています。手紙は電話とは違って後まで残りますし、ご家族も目にするものなので、できるだけポジティブな表現を使うことを意識しています。

大森氏:介護業界は専門用語が多いので、問い合わせをされた方が一度でわかるよう、言葉を選んで説明しています。ハートスイッチは人材育成機関でもあるので、講座の問い合わせだけではなく、「これから自分はどのようにスキルアップしていけば良いのか」「介護業界に就職するにはどうすればよいのか」というご相談もいただきます。その方が何を学んだら将来の役に立つのかをアドバイスするためにも、悩みの要点をしっかり聞き取り、回答にはできるだけ専門用語を使わないよう心掛けています。

利用者さまに向けた取り組みとして、今後どのようなことをお考えですか。

接遇スキルを含めた 介護技術指導

田中氏:今までは電話と手紙のやり取り中心でしたが、今後はLINEやメール、SNSといったITツールを使う方が増えてくると思います。利用者さまと、ITツールを使って上手にコミュニケーションを取るにはどうしたらよいか、という視点でプログラムを考えていきたいですね。具体的には、SNSやLINEでは個人的なやり取りの色合いが強くなるので、相手との距離の取り方やITリテラシーという意味でも訓練が必要だと思っています。スタッフを相手にした練習で失敗することで、外での失敗が少なくなると思いますので、そういう訓練を取り入れたいですね。新しいITツールも、10年経つと当たり前に使われるので、50代、60代のお客さまを中心にレクチャーできればと思っています。

外国人スタッフが電話応対コンクールに出場したことが、周囲の励みになっている

電話応対コンクールに参加されて、どのような効果を感じていますか。

電話応対の様子

田中氏:一般的に病気や障がいがある方は電話をすることが億劫になるようで、私たちに電話をする際も「こんな話をしたいけど、どう伝えればよいかな」などと悩みながらお話をする方がいらっしゃいます。そこを我々が丁寧に引き出すことで、「自分は電話ができるんだ」という自信を持ってもらうことを大切にしています。電話応対コンクールでは、相手が何を伝えたいのか、どういう応対をすれば相手が気持ち良くお話できるのかを考え、言葉を引き出すことが求められるので、その練習を繰り返すことで、日常の接遇力の向上にもつながっています。

大森氏:先日の地区大会に、今回初めて台湾出身のスタッフが出場しました。数年前から外国人採用を進めてきましたが、外国人スタッフからは「電話が怖い」という話を聞くことが多く、そうした苦手意識をなくす取り組みを進めたいと考えていました。台湾人の彼も電話を取るのが苦手で、内線でさえ取りたくないと言っていましたが、練習を繰り返すうちに「聞き取れなかったら、訊き直せばよい。気持ちが伝わることのほうが大事なんだ」と感じたようです。電話応対コンクールの結果が出るのはこれからですが、彼の心のこもった応対がほかのスタッフの良い励みになっています。

自国と日本では電話応対のマナーやスタイルが異なるのでしょうか。

大森氏:外国人スタッフにとっては、日本の電話文化は自国とは大きく異なるようです。台湾ではお店に電話しても「はいはい、ガチャ」という応対で、日本人からすると不愛想に感じるものが通常だそうです。そのため、日本での電話応対の大切さを知ってもらうところからのスタートでした。また、日本語は疑問文の場合、「~ですか?」などと末尾の発音が上がる傾向がありますが、台湾では末尾の音が下がるという違いもあります。このように様々な観点で台湾と日本の違いを感じるので、外国人スタッフが電話応対を学ぶことで、周りにいるスタッフにも刺激になっているようです。

1本の電話でつながることの大切さを意識し、接遇力を高めていきたい

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

介護スタッフの仕事風景

大森氏:ハートスイッチでは『人を財にハートスイッチ』というスローガンを掲げ、人財全力応援企業を目指しております。学ぶこと、働くことを通して自己実現を図る方々の長所を引き出し、やる気に火を点け、ゴールに向けて行動することを最後まで応援していきたいです。

田中氏:利用者さまには、乳幼児から終末期の方まで多様な方々がいらっしゃいます。その方々とも、これから利用される方とも1本の電話からつながることになるので、電話応対は特に重視しています。創心會グループの事業年度は7月にスタートするので、7月に地区大会が始まる電話応対コンクールへの取り組みは、まさに「これから1年間接遇向上に取り組みましょう」と気を引き締めることにもなります。今後も新入社員だけでなく、全社を挙げて接遇向上に電話応対コンクールを活用していきたいですね。

会社名 株式会社創心會
創業 1996年(平成8年)
本社所在地 岡山県倉敷市茶屋町2102番地14
資本金 3,000万円
代表取締役 二神 雅一
事業内容 訪問看護、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、グルー プホーム、福祉用具貸与、保育所、児童発達支援など
URL https://www.soushinkai.com/
〔ユーザ協会会員〕  
会社名 株式会社ハートスイッチ
創業 2011年(平成23年)
本社所在地 岡山県倉敷市茶屋町2104-1
資本金 500万円
代表取締役 二神 雅一
事業内容 就労移行支援、研修・セミナー、人財紹介・職業紹介など
URL https://heart-switch.com/
〔ユーザ協会会員〕  

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