電話応対でCS向上事例

-株式会社穴吹ハウジングサービス-
24時間365日体制でお困りごとを受け付け自社に加えてグループ企業の総合受付としてコールセンターを運営

記事ID:C20085

株式会社穴吹ハウジングサービスは、香川県高松市に拠点を設け、マンションの管理事業などを行っている企業です。同社のコールセンターは、グループ企業の電話応対も担っています。その取り組みについて同社コールセンターセンター長の甘中(かんなか) 健太氏に話をうかがいました。

事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。

CX本部 あなぶきコールセンター
センター長
甘中(かんなか) 健太氏

 当社は1983年に香川県高松市に設立し、分譲・賃貸マンション管理や賃貸物件仲介・開発、パーキングなどを中心に事業を展開しています。さらに当社は、不動産関連事業などを行う穴吹興産をはじめとする51社で構成する「あなぶきグループ」に属しています。当グループには、マンションやビルの保守・管理や建設工事、大規模修繕など不動産関連事業を行う会社に加えて、電力供給事業や民泊運営代行事業、トラベル事業などを行う会社も所属しています。当社は「あなぶきコールセンター」というコールセンターを運営しており、当社の業務に加えて、グループ51社のうち約4割の企業の電話応対を行っています。いわば、あなぶきグループの総合受付窓口としての業務も担っているわけです(写真①②参照)。2021年には、コロナ禍の経験を踏まえ、BCPの観点から高松市に加えて北海道札幌市にもコールセンターを設けました。2拠点で40名ほどのオペレーターが、電話応対・メール対応に携わっています。

  • 写真①:24時間体制で多言語対応、高い対応品質を誇る「あなぶきコールセンター」

  • 写真②:分譲マンションなどの建物管理、賃貸仲介・開発、パーキングに関する問い合わせのほか、グループの総合受付窓口としての業務を行うコールセンター

24時間365日体制、21言語対応でコールセンターを運営

電話応対に対する考え方や取り組みについてお聞かせください。

写真③:CTIシステムの画面
一日約400件の問い合わせに対応するため、どのような内容なのかをオペレーターへ知らせるシステムを導入しています。上の写真は、コンピューターと電話を統合したCTIシステムの画面

 あなぶきコールセンターは、24時間365日体制で運営しています。その背景には、ウェブサイトに大きく電話番号を掲げ、「お困りごと、ご相談なんでもお聞きください」と添えているように、いつ発生するか分からない住まいの問題に対して、住民の方に安心して暮らしていただけるようにサポートすることがコールセンターの使命であるという考えがあります。一日の電話応対数は、あなぶきグループ企業も合わせて約400件です。グループ企業については、業種ごとに15ほどの異なった番号を割り振っていて、どういった内容の電話なのかをオペレーターに知らせるシステムを導入(写真③参照)し、電話を受ける際にあらかじめお問い合わせの種類が分かるようにしています。なお、オペレーターはお問い合わせの種類ごとに配置するのではなく、オペレーター全員がすべてのお問い合わせに応対できるようにしています。そのために、入社後は1週間かけて研修を行い、マンションの管理業務を中心に、各種業務ごとに作成したマニュアルに沿って業務知識を習得してもらいます。とはいえ、当グループは、MAなどによって新規事業を展開し続けておりますので、既存オペレーターも含めて、その都度マニュアルを用意し、グループ企業の業務情報の更新を行ってオペレーターに学習してもらっています。さらに、英語・中国語・韓国語をはじめ世界の21言語に対応しているため、民泊運営代行事業での外国人旅行者への対応も可能となっています。ちなみに我々の民泊運営代行事業では、民泊施設のある現地にスタッフがいないため、施設を利用するインバウンドのお客さまは、ご自身でタブレットを使ってチェックインしていただくシステムになっています。その際、チェックインの操作が分からなかったりしたときに、当コールセンターに問い合わせていただき、通訳が必要な場合は、通訳業務を委託している別のコールセンターもつないで、案内をするという流れになります。

「電話応対コンクール」は応対を見直す機会、参加者の自信にもつながる

「電話応対コンクール」に対する取り組みを教えてください。

 「電話応対コンクール」(以下、コンクール)には、十数年前から毎年3名ほどが参加しています。コンクールでは、わずか3分の中でお客さまの真意を探りつつ、分かりやすく有益な情報を提供することが求められます。私も8年ほど前に参加したのですが、当時は聞き取りやすい声など話し方が重視されていた感がありました。ところが、近年はお客さまが求めている意図をいかに汲み取って、臨機応変に応対するかが問われていると思います。そのようなスキルは、当社のマンション管理などの問い合わせ対応にも重要なことです。ですから、大会に向けて参加者が集まってスクリプトを考えたり、トレーニングを重ねたりすることは非常に有意義だと思います。また、人前で緊張感を持ちながら応対する経験はなかなか希少ですので、出場してやり遂げることは参加者の自信にもつながっています。なお、コールセンターは当グループの総合窓口ですので、オペレーターを経験することで、幅広い業務知識が得られます。そのため、コールセンターは分譲・賃貸マンションの営業部門にいた若手社員がジョブローテーションといった形でオペレーターを経験するなど、教育機関的な役割も担っています。そういった社員がコンクールに参加して、スクリプト作ったりすることは、お客さまのご意向や感情などを熟考する有意義な機会になっていると感じています。また、当社は「企業電話応対コンテスト」にも取り組んでいます。準備などは不可能で普段の電話応対を評価されるので、現時点の当社の応対品質について外部からの評価を知ることができる貴重な機会と捉え、フィードバックを基に改善点を洗い出して、品質向上につなげています。

顧客接点のデジタル化を進める一方で人ならではの応対品質を追求

最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。

 当社では、昨年から一部の業務でAIを活用した音声の自動応答システムを導入しています。お客さまのお電話に対してAIが聞き取り、回答するというもので、例えば電力供給事業では利用開始・停止のお電話が多く、AIがお客さまに開始日を質問し、お客さまが口頭で回答されるという形で応対が行われています。その回答がテキスト化されて数秒後にコールセンターに共有され、担当者が処理を行うという流れになります。このシステム導入後、お問い合わせ全体の3~4%が自動応答に流れましたので、その分オペレーターの稼働が軽減されました。さらに当社が重視している、電話応答率96%の維持にもつながっています。このような、ICT技術を活用したお客さま応対は、これからも進んでいくと思われます。しかしながら、オペレーターと直接話したいというお客さまは、今後も必ずいらっしゃいます。システムでは解決できない部分も存在しますので、しっかりとお客さまに寄り添って応対することがより重要になってくると思います。お客さまの微妙なニュアンスを汲み取るような、人間ならではの応対品質、お客さまが求めている以上の応対品質を追求することは、今後も引き続き取り組んでいきたいと考えています。

※ BCP(BusinessContinuityPlanning)
災害などの緊急事態における企業や団体の事業継続計画のこと。BCPの目的は自然災害やテロ、システム障害など危機的な状況に遭遇した時に損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し早期復旧を図ることにある。
会社名 株式会社穴吹ハウジングサービス
設立 1983年(昭和58年)11月28日
本社所在地 香川県高松市紺屋町3-6 穴吹ハウジング中央通りBLD.
代表取締役社長 新宮 章弘
事業内容 分譲マンション等の建物管理事業、賃貸仲介・開発事業、パーキ ング事業、リフォーム・インテリア製品等販売事業、損害保険代 理店事業、不動産仲介事業
URL https://www.anabuki-housing.co.jp/
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