電話応対でCS向上事例

-チューリッヒ生命-
コロナ禍で在宅コール応対が8割でも、高い顧客満足度を実現

記事ID:C20010

1996年に日本法人を設立し、生命保険サービス『プレミアムシリーズ』の売上を伸ばしているチューリッヒ生命。電話オペレーターが主体となって業務改善に取り組み、コロナ禍で在宅でのコール応対に切り替えても、高い顧客満足度を実現しています。

事業概要についてお聞かせください。

  • お客様サービス本部
    CRM部長兼
    カスタマーケアセンター長
    三浦 俊一氏

     チューリッヒグループは、1872年にスイスのチューリッヒで創立され、215以上の国と地域で損害・生命保険のサービスを提供しています。チューリッヒ生命は日本での生命保険事業の主要拠点として1996年に設立され、現在従業員は約350名です。主力商品の『プレミアムシリーズ』の保有契約件数は2013年の発売開始から5年間で5倍に伸びるなど、多くのお客さまにご支持いただいています。(三浦氏)

緊急事態宣言中は、約8割の在宅コール応対を実現

御社の電話応対の取り組みについてお聞かせください。

  • お客様サービス本部長
    富澤 正人氏

     私どものカスタマーケアセンターは、社員30数名によるコールセンターです。現在は7割弱のスタッフが在宅コール応対をしています。昨年から在宅コール応対を、BCP対策※1として検討していましたが、在宅時の録音ができないテレフォニーシステム※2であったため、実現には至っていませんでした。ほかにも、家庭の事情で在宅勤務ができない、自宅にWi-Fi環境がない、パソコンやスマートフォンを持っていないなど、さまざまなハードルがありました。新型コロナウイルスが蔓延し始めた3月頃から、これらの課題を一つひとつ解決して、緊急事態宣言中には「在宅コール率8割」を実現しました。ただし、在宅コールに踏み切った当初は「自宅でもこれまでと同じ応対ができるのだろうか」という不安がありました。(富澤氏)

在宅勤務の不安に対して、どのような対策をされましたか。

「Teams広場」の座談会風景

 お互いの顔が見えず、話しづらくなった環境を補うために『Teams広場』というコミュニティサイトを開設しました。これは、社員同士が情報共有を行う場で、業務以外の雑談などもチャットでやり取りしています。業務の中で困ったことがあればすぐに『Teams広場』に投稿して助けを求めることができるため、「在宅勤務でも皆とつながっている安心感がある」といった声が上がってきています。また、日々の悩みをざっくばらんに話し合える「オンライン座談会」も定期的に行い、そこで出た意見から取り組んだことは「改善ボード」※3に掲載して、活動の見える化をしています。その一例に、カスタマーケアセンターの体制変更があります。以前は、3つのチームに分かれてチーム内でエスカレーション※4をしていたのですが、在宅率が高まると「チームに限定されるとエスカレーションがしにくい」という意見が多く上がりました。そこで、壁を取り払って一つのチームにし、エスカレーション専門担当を2名配置することで、スムーズに進むようになりました。コロナ禍の今は、どんなこともトライ&エラーの精神でやってみることが大切だと思っています。(三浦氏)

オペレーターは、コール応対だけでなく業務改善にも取り組む

ほかに、カスタマーケアセンターにはどのような特徴がありますか。

  • リラクゼーションルーム

     弊社では、CSR(Customer Service Representative)と呼ばれるスタッフが電話応対だけでなく業務改善にも取り組んでいます。電話応対品質を向上させるためには、自らが課題意識をもって改善に取り組むことが重要だと考えるからです。一般的に、人材育成やNPS※5の向上施策、デジタル技術の活用などは、専門の部署が行う会社が多いようですが、弊社ではそうした領域までCSRが担っています。その一例として、何時間も同じ椅子に座って電話応対をするには、職場にもリラックスできる場が必要だと考えたCSRが、殺風景だった休憩部屋に畳を敷き、こたつを持ち込み、照明や壁を落ち着いたトーンにするなど、リラックスできる空間を作り上げました。(富澤氏)

電話応対コンクールやもしもし検定に取り組むことで、自信をつけたい

電話応対コンクールに取り組まれたきっかけをお聞かせください。

オペレーション・プロジェクト推進本部
オペレーション推進部担当部長
中川 由利氏

 電話応対力を競う、という目新しさに刺激を受けたことがきっかけでした。初めて出場した地区大会では4位に入賞して、他社に劣らないスキルがあるのだと自信がつきましたね。とはいえ、他社にも電話応対が上手な方はたくさんいらっしゃるので、「どうすれば印象の良い応対ができるのだろう」と一生懸命考えられる機会になりますし、言葉の言い回しや表現力が豊かになり、「もっと上手くなりたい」という意欲も湧いてきます。(中川氏)

契約サービス本部
契約サービス部シニア・アソシエイト
福山 麗子氏

 2019年の6月から『電話応対技能検定(もしもし検定)』の4級資格取得を目指し、すでに社内で150名ほどが合格しています。また、2020年の9月には16名が3級を受け、おかげさまで全員合格することができました。3級の合格者からは、「電話応対に自信がでた」という声が多く上がってきています。外部の認定試験に合格すると、自分の電話応対スキルに自信をもって業務に取り組むことができますので、ぜひ積極的に挑戦してほしいと思います。(福山氏)

「苦手だからこそ学ばなければ」という思いから、指導者級に挑戦

福山氏は、指導者級を取得されているとうかがいましたが、どのような経緯があったのでしょうか。

 もともと電話応対は苦手だったのです。ただ、仕事をするからには責任がありますので、「苦手だからこそ学ばなければ」と思い、指導者級に挑戦しました。その中で気付いたのは、「話すこともユニバーサルでなければならない」ということです。電話応対だけでなく、普段のコミュニケーションでは、年配の方、お子さん、上司、同僚など様々な立場の方とお話をする機会がありますが、相手にあわせた話法が必要だと思います。例えば、年配の方であればゆっくり話したり、お子さんであれば簡単な言葉を使って話したりと、相手の立場に応じた話し方を大切にしています。今後は、会社全体でもしもし検定や電話応対コンクールで成果がだせるように、社内にしっかりと発信していきたいと思います。(福山氏)

お客さまの年代に合った応対ができるカスタマーケアセンターでありたい

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

 弊社では、顧客満足度を測る指標にNPSを利用していますが、おかげさまでコロナ禍の5月以降もNPSは上昇傾向にあり、在宅コール応対でもお客さまから不満や苦情の声は届いていません。コロナ禍でも以前と同等の品質を維持できているのは、真摯にお客さまの声に耳を傾けているからだと思います。今後もお客さまにご満足いただくために、年代を意識した応対、特に高齢者に向けた応対スキルを高めたいですね。そのためにも、継続してもしもし検定や電話応対コンクールに取り組み、スキルアップを図りたいと思います。また、若い方向けには、チャットでの自動応答で即時に問い合わせ内容を解決したり、サイトの「マイページ」機能を充実させていきたいと思います。お客さま自身で手続きを完結できるようになれば、社員も在宅で応対しやすくなりますし、場所や時間にとらわれない多様な働き方を実現できるようになると思います。(三浦氏)

※1 BCP対策:事業継続計画のこと。企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと。
※2 テレフォニーシステム:電話で通信される音声を、IPパケットに変換するVoIPと呼ばれる技術を用いることで構築した電話ネットワークのこと。
※3 改善ボード:改善提案や要望に対する解決のプロセスを明示しているホワイトボード。
※4 エスカレーション:業務上の上位者に判断や指示を仰いだり、対応を要請したりすること。
※5 NPS:ネット・プロモーター・スコアの略。顧客推奨度とも言われており、「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化する指標のこと。

会社名 チューリッヒ生命(チューリッヒ・ライフ・インシュアランス・ カンパニー・リミテッド)
日本支店開設 1996 年(平成8年)8 月
日本本社所在地 東京都中野区中野4丁目10番2号 中野セントラルパーク サウス 16階
日本における代表者兼CEO 太田 健自
事業内容 生命保険業
URL https://www.zurichlife.co.jp/

電話応対技能検定実施機関

チューリッヒ生命

https://www.zurichlife.co.jp/

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