電話応対でCS向上事例

-損害保険ジャパン株式会社-
安心感だけでなく、「お客さまの心に深く残る事故対応」を追求したい

記事ID:C20069

損害保険会社大手の「損害保険ジャパン(損保ジャパン)」において、宮城県・山形県・福島県の南東北エリアで事故の現場サポートから保険金の支払いまで一貫した事故対応を担っている南東北保険金サービス部。今回は、南東北エリアで大切にしている価値観や応対力向上の取り組みについてうかがいました。

事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。

南東北保険金サービス部
部長 松井 成城氏

松井氏:損保ジャパンは、自動車保険、火災保険、地震保険など、損害保険商品を通じて24時間365日お客さまの安心・安全をサポートする会社です。私たち南東北保険金サービス部は、宮城県・山形県・福島県内に13拠点あり、約350名体制で事故に遭われたお客さまの現場対応から保険金の支払いまで、一連のプロセスをサポートしています。お客さまへの対応は1~2週間で完了することもありますが、後遺障害が残る場合などは何年間にも亘るお付き合いになることもあり、状況によってさまざまです。応対するスタッフは、保険の専門知識を習得していることに加え、電話応対の基本スキル、お客さまの状況を的確に聞き取る傾聴スキルなど、高度な応対力が求められます。スタッフ約350人のうち9割以上が正社員で、全員が保険の知識、電話応対スキル、心に深く残る応対の三つの要素で高い水準になることを目指しています。

南東北の今期のスローガンは、「お客さまの心に“深く”残る事故対応」

電話応対において、どのようなことを大切にしていますか。

電話応対の様子

松井氏:損保ジャパンとしては、お客さまの想いに向き合う私たちのあり方を「SC クレド」という形で定め、判断、思考、行動の源としています。このSCクレドは、お客さまのために私たちが何をできるのかを七つの観点で定めています。加えて、南東北保険金サービス部では、今年のスローガンに「お客さまの心に深く残る事故対応」を掲げています。お客さまに安心・安全をお届けするだけでなく、事故対応を通じてお客さまがほっとする気持ちになり、損保ジャパンにしてよかったと思っていただきたいという意味を込めています。昨年は「お客さまの心に残る事故対応」を掲げていましたが、今年はより踏み込んで「深く」という言葉を加えました。

心に深く残るために、具体的に行っていることを教えてください。

南東北保険金サービス部
斎藤 千穂氏

斎藤氏:新型コロナウイルスが流行する前は、事故対応は対面での応対も行っていました。対面であれば、お客さまの表情や体調を目で見て確認したり、お悩みをその場で解決できたり、「会いに来てくれた」という安心感を与えることができます。一方で、新型コロナウイルスが流行して以降、電話による応対が中心になりました。電話は声だけのコミュニケーションです。お客さまの置かれている状況を、耳を澄まして感じ取ること、電話の先で聞こえる音の一つひとつをしっかりと聴き取ることを意識しています。例えば、赤ちゃんが泣いていたり、外出先で通話しているなど、落ち着いて話ができる状況でないならば、それに合う応対をしなければなりません。お客さまがどこで、どういう状況なのか理解し、状況や心情に沿った応対を心がけています。

電話以外の問い合わせ手段もありますか。

松井氏:コロナ禍以降、対面や電話問い合わせに加え、公式LINEアカウントやメールも活用し始めました。LINEでの応対は、電話とは異なる配慮やマナーが必要ですが、24時間メッセージを受け取ることができるため、時間の制約は少なくなりました。また、お客さまと担当者が一対一でやり取りするため、過去の経緯も把握しやすくなりました。ただ、東北地方は他エリアと比べると、デジタルに慣れていない方も多くいらっしゃいます。便利だからデジタルツールの利用を促進するというよりも、ご都合が良いお客さまや使い心地が良いお客さまに合わせていくという方針です。弊社にご連絡をいただく際は、お客さまがストレスのかかる環境下にいることが多いので、慣れない手段のためさらにストレスがかかることがないよう意識しています。

斎藤氏:今後は、電話応対のスキルだけでなくLINEなどチャットでの応対スキル向上にも力を入れたいと思っています。例えば、お支払金額をLINEでお伝えするときに、金額のみをお伝えすると事務的だと感じられてしまいます。その一方、季節の言葉などを入れて丁寧にごあいさつをすると、文字数が多くて読みづらい、早く要点を述べてほしいという気持ちになります。柔らかい表現をしつつも、要点を簡潔に伝えられるような工夫をするなど、どうすればお客さまにとって心地良くわかりやすい応対になるのかを日々研究しています。

コンクールでは応対力の高みを目指し、コンテストは組織のボトムアップにつなげたい

「電話応対コンクール」や「企業電話応対コンテスト」に取り組んだ経緯、成果を教えてください。

電話応対の研修

斎藤氏:「電話応対コンクール」には、ほかの地域で参加していた部署の紹介で、2012年から毎年参加しています。結果は年によって異なりますが、県大会で優勝したこともあります。最初の挨拶や名乗り、傾聴、クロージングといった基本スキルに加え、3分間で効果的に話をまとめる方法を学べることが良いですね。特に、第一声の「名乗り」は、会社の顔ともいえるくらい重要だと考えています。コンクールが近くなると、皆でトークスクリプトを考えたり、さまざまなケースでロールプレイングをするなど、参加メンバーだけでなく、課全体で応対スキルを上げていこうと取り組んでいます。また、「企業電話応対コンテスト」には2018年から南東北保険金サービス部のすべての課で参加しています。日常業務そのものが評価されるので、個人的には電話応対コンクールよりも強く意識しています。近年は、「息子が事故を起こしたが、この後どうすればいいか」など、私たちが日ごろ受けている電話に近い内容で電話がかかってくるので、慌てているお客さまや今すぐ情報を知りたい方を想定するトレーニングにもなっていると思います。

松井氏:私は2023年4月にこの部署に着任したので、なぜ二つも取り組む必要があるのか疑問に思いましたが、斎藤から参加の意図が異なるためどちらも重要だと説明されました。「電話応対コンクール」はスキルの高い人を輩出して、その後に続くことで応対力の高みを目指す効果があり、「企業電話応対コンテスト」は日常の評価を把握することで、ボトムアップにつなげることができると考えています。今後も両方の観点から応対力を高めていきたいですね。

お客さまが最適な方法を選べるよう、電話とデジタルで応対のハイブリッド化を目指したい

最後に、今後の取り組みや抱負をお聞かせください。

事故後の対応などお客さまとのコミュニケーションにおいてデジタル化を推進

松井氏:南東北エリアでは、電話応対向上の取り組みは進んでいますが、デジタルの活用はまだこれからです。デジタル化の推進自体が目的なのではなく、お客さまにとって便利で安心して利用できる手段を選べるように、電話とデジタルのハイブリッド化を目指しています。加えて、社内コミュニケーションのデジタル化も考えています。これからは、出社せずに働きたいというニーズがますます増えると思うので、チャットやオンライン会議などのデジタルツールを使った社内コミュニケーションも確立させたいですね。

会社名 損害保険ジャパン株式会社
創 業 1888年(明治21年)10月
本社所在地 東京都新宿区西新宿1-26-1
代表取締役社長 白川 儀一
社員数 21,705人
代理店数 45,273店(2023年4月1日時点)
事業内容 保険業
URL https://www.sompo-japan.co.jp/
〔ユーザ協会会員〕

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