電話応対でCS向上事例

-みずほ証券株式会社-
お客さまのつまずきを把握し自己解決を促すためにマルチチャネル化に対応する環境づくり

記事ID:C20097

写真提供:PIXTA

みずほ証券株式会社では金融サービスに関するコンサルティング体制の確立を推進しています。非対面チャネルにおけるお客さま応対の強化に関して、ダイレクトチャネル事業部の押川 真吾氏と門村 和信氏にうかがいました。

御社の業務内容とコールセンター部門の課題についてお聞かせください。

ダイレクトチャネル事業部
東京第二コンタクトセンター
次長 押川 真吾氏

押川氏:ダイレクトチャネル事業部は、個人及び法人のお客さまに対して金融サービスとソリューションを提供するリテール・事業法人部門に所属しています。同事業部はオンライントレードサービス(以下、ネット)とコンタクトセンターの二つの業務を所管しており、非対面チャネルとしてお客さまへ金融サービスを提供しています。コンタクトセンターでは、個人のお客さまからの取引のご注文や、さまざまなお問い合わせに対応しております。また、株式公開買付などがあった際にはこちらからお客さまへ連絡を入れるといったこともあります。

みずほ証券ホームページのFAQ画面

 みずほ証券のリテールビジネスでは、営業店とネット、コンタクトセンターすべてのチャネルが上質でリアルタイムかつ有機的につながったコンサルティング体制の確立を目指しています。その中で、私たちが担当する非対面チャネルでは、全国のお客さまからの電話での問い合わせにお答えしたり、FAQを含むWebでのサポートを提供しています。これまでもコンタクトセンター運営のブラッシュアップ、VOC(お客さまの声)起点の改善活動、FAQの充実などに力を入れてきました。金融商品を詳細に説明するコンテンツをWebに掲載したり、FAQで細かく説明したりすることもそうした取り組みの一つでした。一方で、高齢のお客さまの多くはネットに慣れていない傾向があります。FAQの改善でページビュー自体は増えましたが、そこで解決しているかどうかを追跡できず、証券用語の難解さなどから問い合わせすることを諦めている方もいらっしゃるのではないかという仮説を持っていたのです。そうした「お客さまの課題を本当に解決できているのだろうか」という疑問が以前からあり、それを解決することが課題となっていました。また、2022年に基幹システムと会員サイトのリニューアルを行いましたが、新しいシステムにお客さまが初めてログインする際、ご自身でパスワードを再設定する必要がありました。そこで、ログイン方法を解説した冊子を配布し、Webページにも記載したものの、ログインに関する問い合わせがコンタクトセンターへ多く入ることになり、この点も課題でした。

システム導入までの経緯をお聞かせください。

押川氏:お客さまが「どこでつまずいているのか」を正しく理解できるようにすること、そして、お客さまのライフスタイルに合わせてデジタルを含むマルチチャネル化に対応できる環境づくりを目指しました。背景には、コロナ禍以降、高齢のお客さまもスマホを持つようになり、デジタルチャネルが受け入れられやすくなったことがあります。そこで、「行動データからお客さまの困りごとを特定し自己解決を可能にする、カスタマーサポート向けプラットフォーム」の導入を進め、同時にボイスボット(音声ボット)やチャットシステム(有人及びチャットボット)などのチャネルを設置し、メールよりも幅広い範囲で対応できるよう、環境を整備しました。

ダイレクトチャネル事業部
門村 和信氏

門村氏:当時はフリーの分析ツールを活用していましたが、十分に使いこなせていませんでした。Web上でお客さまがつまずくポイントを「ペインポイント」と呼んでいますが、それを発見できたとしても具体的な対応策を持っていなかったのです。導入したカスタマーサポート向けプラットフォームは、分析から施策まで一気通貫で対応できる点が大変魅力でした。また、Webページを修正する場合、これまでは他部署を通じて対応しており、時間とコストが生じていましたが、このプラットフォームではWebページをソースコードの記述なしに開発できる(ノーコード)ため、私たち自身で対応が可能でした。このように、お客さまの悩みや課題を能動的に解決する「プロアクティブな非対面チャネル」構築に向けた取り組みとして、このプラットフォームに対する期待値は非常に高いものでした。

プラットフォーム導入でどのような効果がありましたか。

Webページで情報を確認する際、説明が分かりにくいと何度も同じ箇所をクリックしてしまい、また、理解できない文章があると何度も読み返し、結果として同じページに一定 時間滞在することになる。カスタマーサポート向けプラットフォームは、そうした動きからお客さまがストレスに感じているポイントを独自のアルゴリズムで抽出してくれる

門村氏:まず、プラットフォームのレポート機能を活用して、お客さまのペインポイントが把握できるようになりました(上図参照)。さらに、Web上の遷移を確認できる機能を使い、問い合わせ前にどのページを閲覧し、どこでつまずいて FAQを探し、それでも解決できずに問い合わせをした、といった情報が分かるようになりました。この2点が導入前と大きく変わった点です。それらにより、Web画面にあるチャットの入り口が分かりにくいという問題を発見し、改善することでチャット利用数を増やすことができました。また、ある特定ページに関連したFAQがよく見られているといった現象を受け、特定ページへお客さまが来訪した瞬間、画面の端に関連するFAQを表示させることで、結果としてFAQ閲覧数も増やすことができました。さらに先に述べましたが、システム開発不要で修正対応ができるようになった点も効果として挙げられます。
 繰り返しになりますが、カスタマーサポート向けプラットフォーム導入によって問題点を発見できるようになり、積極的にサポート体制を築くことができるようになった点が大きなポイントと言えます。こうしたデジタルチャネルの取り組みについてはコンタクトセンターとネット担当がコミュニケーションする機会を設けて進めていますが、以前はそれほど交流がありませんでした。プラットフォーム導入をきっかけにどういう施策をうてばよいのかをミーティングの場で一緒に検討するようになり、ツールの機能改善を通じて課題感を共有し、“共通言語”を持って会話するようになったことが、プロアクティブな非対面チャネル構築に欠かせないプロセスだったと感じています。

CX向上に向けた今後の予定などを教えてください。

コンタクトセンターは東京に2拠点、大阪と札幌には各1拠点あり、300名以上のオペレーターが在籍している

押川氏:まずはお客さまとのやり取りを分析し、コンタクトセンターの業務を高度化したいと思います。具体的には、お客さまからの問い合わせの傾向をリアルタイムに把握し、コールリーズン分析を詳細に行うことで、より適切なサポートが実施できるものと思います。また、 お客さまが自己解決できるよう、適時適切なタイミングで的確な情報を提供できるようFAQの充実を図ります。さらに、お客さまごとにWebサポートやプロモーションの出し分けを進めるなど生成AIの技術なども活用し、非対面チャネルの体験が快適なものとなるよう、CX向上に取り組んでいきます。

会社名 みずほ証券株式会社
創業 1917年(大正6年)7月
所在地 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエア
従業員数 6,676名(2024年9月30日現在)
事業概要 金融商品取引業
URL https://www.mizuho-sc.com/
〔ユーザ協会会員〕

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