電話応対でCS向上事例
-那須信用組合-地域密着の信用組合として接客応対力を高め、お客さまとの信頼関係を深めたい
記事ID:C20071
那須を中心とした栃木県の北部地域を営業エリアとし、地域経済の発展に寄与することを目指している那須信用組合。地域密着の信用組合だからこそ大切にしている価値観や接客応対力向上の取り組みについてお聞きしました。
事業概要をお聞かせください。
専務理事 石澤 典雄氏
石澤氏:那須信用組合は、栃木県の北部地域を営業エリアとする協同組織金融機関で、平成14年6月に7つの組合が合併して「新生・那須信用組合」としてスタートしました。「地域とともに繁栄し、地域そして地域のお客さまにとって一番、親近感・安心感・信頼感のある金融機関になる」という経営ビジョンを掲げ、栃木県北部エリアに暮らす人々の経済的発展に寄与することを目指しています。その一例として、保証会社を通さない那須信用組合独自の個人消費者ローン「ハッスルトゥルー」があります。これは、保証会社の審査が通らず、金融支援を受けられなかったお客さまに対しても、地元の方限定に金融支援ができる商品となっています。困っている方に対して画一的な対応をするのではなく、地域密着の地元協同組織金融機関ならではの特色を大切にしています。
新入職員1名に対し一人のコーチがつき1年間しっかりと指導している
電話応対教育の体制と、どのようなことを大切にしているかをお聞かせください。
電話応対の様子
石澤氏:店舗は9店舗あり、職員数は全体で約100名ほどです。専門のコールセンターはなく、お客さまからのお問い合わせには各営業店で対応しています。新入職員など若い職員が最初に電話を取り、そこから担当者に取り次ぐというケースが多いですね。お問い合わせの内容は、振込や借入れ、手数料に関するものが多く、電話が中心ですが、eメールでのお問い合わせもあります。新入職員には、1年間コーチをつけて、電話応対だけでなく、各種業務の手続きや窓口でのお客さま対応などをしっかりと教えています。業務をどれだけ一人でできるようになったかを把握するために、100項目以上のスキルチェックシートを用意し、毎月の達成状況をコーチがチェックして指導し、本部に報告しています。担当のコーチは「女性活躍推進委員会」のメンバーが中心ですね。この委員会が那須信用組合の接客応対力を支えていると言っても過言ではありません。
「女性活躍推進委員会」が作られた目的や取り組み内容を教えてください。
業務部 参事 上原 紀美子氏
上原氏:発足当初は「明るい窓口づくり委員会」という名称で、「明るい窓口」でお客さまを応対することにより、当組合の地域密着金融機関としてのイメージを定着させ、より多くの「なすしんファン」を作ることを目的とし、電話や窓口での応対を改善する取り組みをしていました。時を経て、応対力の向上だけでなく、事務手続きの効率化や経費の削減、融資商品の推進などさまざまな業務に取り組むようになりました。
応対品質向上の面では、年に一度の臨店(店内外の美化や整理整頓の状況、お客さまの対応状況確認)による状況確認や、各営業店に電話をして応対品質をチェックしています。チェック項目には「3コール以内に出られたか」「自分の名前を名乗れたか」「受け答えが明るかったか」などがあります。また、女性活躍推進委員会の毎月の会議では「この営業店のこの点が良かった」や「電話に出るのが遅かった」「語尾上げ・語尾伸びがあった」など、接客応対で良かった点や改善すべき点について話し合い、各営業店にフィードバックしています。
「女性活躍推進委員会」の活動を続けてきて、どのような効果がありましたか。
女性活躍推進委員会の会議
上原氏:内部では「女性活躍推進委員会」のことを「女活(じょかつ)」と呼んでいるのですが、応対品質チェックの時期には、営業店の職員が「今日は、女活の人がチェックに来るかもしれない」などと言って、ポスターがはがれていないか、店舗の前やカウンターが清潔になっているか、などを日々チェックしています。応対品質の点検を定期的に行うことは、お客さまの視点に立って自分たちの接客に関するその時々の状態を見直すことにつながっているので、継続することで応対品質が全体的に底上げされてきたと感じています。
新入職員の接客応対の登竜門として「電話応対コンクール」を活用成長する姿が誇らしい
「電話応対コンクール」に取り組んだ経緯、成果を教えてください。
新入職員研修
上原氏:新入職員が必ず通らなければならない登竜門として、「電話応対コンクール(以下、コンクール)」があります。今の新入職員は自宅に固定電話がなく、電話に出ることに対して恐怖心や抵抗を感じる人が多いので、それを払拭するためにも全員が参加しています。コンクールに向けた研修プログラムには、接客マナーに関する項目が体系的に組み込まれているので、課題に取り組むことで応対力が身につくところが良いですね。大会に向けては「こう聞かれたらこう答える」「言葉のキャッチボールを意識する」など、さまざまなシーンを想定したスクリプトを本部の教育担当が出場者とマンツーマンで精査し、それに基づきトークの特訓を重ねています。
石澤氏:コンクールに出場した職員は、訓練を重ねる中で接客応対に自信がついて一人前になっていくので、その姿が誇らしいですね。営業店にかかってくる電話は、新入職員が取ることが多いのですが、4月はやや自信がなさそうな応対であっても、3ヵ月、半年と過ぎるにつれ、電話での話し方が飛躍的に上達することを実感します。
電話や接客の応対品質について、目標を教えてください。
上原氏:教育担当としては、新入職員が出場する場合でもコンクールの県大会で入賞することを目標にしています。参加者は「出場してすごく勉強になった」と話していますし、入賞すると自信をもって応対できるようになります。さらには、報奨金も授与されるので、賞を取ると嬉しいことがたくさんあります (笑) 。コンクールでの成長を通して、お客さまから「〇〇さんの応対が良いから『なすしん』にしたよ」といわれるような職員を多く育成したいですね。
石澤氏:当組合では、窓口に来られたお客さまと、営業先のお客さまに年に1回アンケートにご協力いただき、その結果を全店舗にフィードバックしています。その回答でも「○○さんはとても感じがよく、那須信用組合にしてよかった」という評価をいただくことがあります。地方では、預金先に地方銀行を選ぶ人が多いのですが、だからこそ、働く人の対応の良さに魅力を感じて「なすしん」を利用したいと思う人を増やしていくことが非常に重要です。今後も、職員一人ひとりが、地域のお客さまに選ばれるような応対力を身に付ける機会を増やしていきたいですね。
電話応対コンクールで培った力をフィールドセールス活動にも活かしたい
最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。
FS活動出発式の様子
石澤氏:那須信用組合には「FS(フィールドセールス)活動」というお客さまとアポイントを取り、さまざまな情報を提供したり、お客さまが抱えている課題・資金ニーズや当組合への要望などの情報を収集する活動があります。電話応対コンクールに向けて特訓すると、お客さまと会話する力が自然に身につくので、次の段階はその力をFS活動のテレフォンアポイントに活かしていきたいです。ご自宅に個人ローンなどの営業の電話をして断られるケースが多いのですが、お客さまの状況に共感し、気持ちが伝わる話し方を実践し続ければ、信頼感が醸成されると思います。身につけた接客応対力を活かして、お客さまとの信頼関係構築につなげられると良いですね。
組織名 | 那須信用組合 |
---|---|
設立 | 1956年(昭和31年)1月 |
本店所在地 | 栃木県那須塩原市永田町6-9 |
理事長 | 稲村靖 |
職員数 | 75人(2023年3月31日時点) |
URL | https://www.nasushin.co.jp/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
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