電話応対でCS向上事例
-株式会社きらぼし銀行-「お客さまに寄り添える第一人者」をスローガンに業務知識とホスピタリティに満ちたオペレーター育成に取り組む
記事ID:C20077

株式会社きらぼし銀行は、2018年に東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京の3行が合併して誕生した地方銀行です。同社の電話応対に対する考え方や取り組みについてお話をうかがいました。
事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。

営業企画部
相模原カスタマーセンター
所長 山本 優香氏
山本氏:当行は「首都圏における中小企業と個人のお客さまのための金融グループとして、総合金融サービスを通じて、地域社会の発展に貢献します。」というグループの経営理念を掲げ、預金・融資・為替業務といった銀行業務をはじめとする事業を展開しています。電話応対については、神奈川県相模原市のカスタマーセンターにおいて、インバウンド・アウトバウンド総勢約90名のオペレーターが担当しています。問い合わせ対応を中心としたインバウンドについては一日平均約700件の電話応対を行っています。お客さまは高齢の方が中心で、内容は預金の残高や取引内容、相続に関するお問い合わせ、さらにカードや通帳、印鑑の紛失など多岐に亘ります。電話以外のお客さまサポートツールとして、ウェブサイトにAIチャットボットやメールでのお問い合わせフォーム、目的別のFAQなどをご用意するほか、スマートフォンやパソコンから口座開設や各種お問い合わせができる便利なサービスも展開しています。
「お客さまに寄り添える第一人者」となるべく、電話応対に取り組む
電話応対に対する考え方や取り組みについてお聞かせください。

目指すべきコールセンターのあり方を示した「相模原カスタマーセンターOPハンドブック
山本氏:カスタマーセンターに初めて配属されたオペレーターの方には、初日に「相模原カスタマーセンターOPハンドブック」をお渡ししています。これは、目指すべきコールセンターのあり方を示した指南書のようなもので、このハンドブックをベースに、教育担当者が電話応対をはじめとする研修を行います。冒頭では、「一人ひとりのお客さまと向き合う。一人ひとりのお客さまの『思い』に寄り添う」という言葉を掲げており、オペレーター全員が共通した考えの基、お客さまに必要とされる存在を目指して業務に取り組めるようにしています。

営業企画部
相模原カスタマーセンター
SV(スーパーバイザー)
鹿内 明美氏
鹿内氏:ハンドブックは採用や研修時だけではなく、日常的に使うことをお願いしています。常に手元に置いておき、迷った時には、ここに戻って確認するという原典のような存在です。オペレーターの皆さんはパートタイマーや派遣社員が多く、そのような人たちに向けて、分かりやすく当行が目指す姿を伝えるためにハンドブックを活用しています。ちなみにAIチャットボットは、よくあるお問い合わせや比較的簡単なお問い合わせについて、お客さまがキーワードを入れていただくことで回答を得られるようになっています。また、メールでのお問い合わせも開始し、AIチャットボットでは解決できないような個別のお問い合わせにも対応しています。これらのツールは、主に日中カスタマーセンターにお電話できない方などにご利用いただいています。このような背景もあり、電話を利用されるお客さまについては、人と直接話して回答を得たい方や、デジタルツールを苦手とする高齢の方が中心となっています。
2022年度から電話応対コンクールに参加、好成績に周囲のモチベーションがアップ
「電話応対コンクール」に対する取り組みと成果を教えてください。

スタッフ同士が協力し合える関係を構築することで質の高い応対を目指す
鹿内氏:「電話応対コンクール」(以下、コンクール)には、当行経営陣のアドバイスがきっかけで、2022年度から参加しています。初年度は私を含む2名が参加し、初挑戦にもかかわらず、地区大会で2名とも受賞、うち1名は東京大会に進出しました。2023年度も同レベルの結果が得られ、正直に言うと最初からここまでの成績を収められるとは考えてもいなかったので非常に嬉しかったです。また、2023年度は「企業電話応対コンテスト」(以下、コンテスト)にも参加し、優秀賞をいただくことができました。
コンクールは、普段の業務とは一味違う達成感や外部からの評価をいただける貴重な機会です。参加者自身の電話応対に対するモチベーションも高まりますし、協力して送り出したオペレーターが大会で高い評価を受けることで、結果として周囲の人たちの自信にもつながります。コンクールに臨むにあたっては、参加者だけでなく周りのオペレーターの皆さんが「自分は相手役をやります」「時間を計測します」などと自発的に声を掛け合って、練習に取り組んでくれました。この過程が、本当にいい経験になったと思っています。さらに結果が伴ったこともあり、「大変だったけど、練習に参加してよかった」「非常にやりがいがあった」「自分の応対の見直しにもなり、皆で協力することで一体感が生まれた」といった声を聞くことができました。
非対面ツールの拡充とデジタルが苦手なお客さま対応を両輪で推進
最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。

営業企画部
相模原カスタマーセンター
次長 福嶋 希氏
福嶋氏:今後の銀行業界の課題は、顧客接点における対面と非対面の融合だと考えています。非対面のデジタルツールも増えてきていますが、カスタマーセンターとしてはデジタルが苦手なお客さまをサポートすることも欠かせません。カスタマーセンターには銀行業務に関する多種多様な質問をいただきますが、オペレーターには銀行経験がない人もいれば、オペレーター経験のない銀行経験者もいます。そこで、オペレーターがしっかりとお客さまの声を傾聴し、専門的な銀行業務については経験者につなぐという形で対応しています。今後はいかに両者のバランスを取りながら、質の高い応対をしていくかが問われると考えています。
鹿内氏: オペレーターは、自分の感情を臨機応変にコントロールする感情労働だと言われています。評価が得にくく、孤立しがちな業務でもあります。
カスタマーセンターでは、お客さまからのお問い合わせに対応するため、支店の行員と同等の業務知識を持つことが求められます。オペレーターの皆さんには、本当に困難な仕事に挑んでもらっていると感謝しています。幸いなことに、職場はスタッフが協力し合える関係が築かれています。この良さを活かしながら、オペレーターが自らのスキルを高めようと思える、やる気に満ちた職場にしたいと考えています。コンクールやコンテストについても、自ら参加したいと思えるよう、その魅力や効果を発信していきたいと考えています。

電話応対の様子
山本氏:近年デジタル化が進んでいる世の中にあって、当行もその対応が求められています。これまでにチャットボットやメールでのお問い合わせフォームなどの導入により、コール数が30%ほど削減されるという効果も得られています。2023年9月にはウェブサイトで相続のお手続きに関する受付フォームも運用を開始し、好評を得ています。このようなDX化の取り組みは、お客さまの利便性向上に加えて、当社の社員の働き方を変える効果も期待できます。そのため、24時間受付可能で、お客さま自らで完結できるサポートツールは、これまで以上に拡充していかなければならないと感じています。その一方で、デジタルに抵抗感があるお客さまもいれば、実際に顔を見て話したい方、電話で声を聞きながら話したい方もいらっしゃるでしょう。「お客さまに寄り添える第一人者」であるためには、そうしたお客さまに対して、いかに寄り添っていくかも重要なミッションであると考えています。

会社名 | 株式会社きらぼし銀行 |
---|---|
創 立 | 1924年(大正13年)12月 |
発 足 | 2018年(平成30年)5月本社 |
所在地 | 東京都港区南青山三丁目10番43号 |
取締役頭取 | 渡邊 壽信 |
事業内容 | 銀行業 |
店舗数 | 164店舗(有人出張所を含む)※2023年9月時点 |
URL | https://www.kiraboshibank.co.jp/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
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