電話応対でCS向上事例
-株式会社長野自動車センター-「おもてなし指導員」と「お客さま満足度アンケート」で、 選ばれる自動車教習所を目指す
記事ID:C20060
1960年に長野市内で設立し、2020年に60周年を迎えた株式会社長野自動車センター。少子高齢化時代でも選ばれる自動車教習所になるために、大切にしている価値観や取り組んでいることについて、総務部の酒井氏、北村氏に話をうかがいました。
事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。
取締役 総務部長 酒井 政三氏
酒井氏:長野自動車センターは長野市内の長野自動車学校、長野中央自動車学校と、飯田市に隣接する高森町にある天竜自動車学校の三つの自動車教習所を運営しています。教習所の業務は主に、教習生を対象とした技能、学科の免許講習、法令で定められた高齢者講習、企業からの依頼で運転指導をする企業講習などがあります。ほかにも当センターでは道路標識、区画線などの交通安全施設の設計、施工も行っています。お客さまは高校を卒業したばかりの方から高齢者まで幅広く、講習の手続きや予約に関する問い合わせが日々多くあります。問い合わせの電話には各校の庶務課の事務職員だけでなく、教習指導員も応対しており、教職員130名ほど全員が接遇力向上に取り組んでいます。
電話問い合わせの8割は高齢者から。ゆっくり丁寧な話し方を心がける
電話でのお問い合わせの特徴についてお聞かせください。
総務部 次長 北村 佳靖氏
北村氏:全国どこの自動車学校にも共通すると思いますが、最も多いのは高齢のお客さまからの講習予約に関するお問い合わせです。「高齢者講習」に対して、ネガティブな印象を持つ方もいらっしゃるので、こちらの応対で気持ちを害さないよう心がけています。また、相手の話すスピードに合わせてゆっくりと話すことや、言葉を復唱して確認するなど、高齢の方にあった応対を意識しています。講習の日時の聞き間違いは、大きなトラブルにつながることもあるので、高齢の方だけに限らず、必ず復唱して間違いがないようにしています。
酒井氏:もう一つの特徴として、学生の親御さんからも多くのお問い合わせをいただきます。特に、卒業シーズンや夏休み期間は、県外の学校に進学されたお子さんが、帰省がてら自動車学校に通うというシーンが多くなります。学生のお客さまの講習費用は、親御さんが負担するケースが多いので、ご本人が来校する前に受講内容や費用の確認をされることが多いですね。
電話応対教育において、特に大切にしていることはありますか。
電話応対の様子
酒井氏:以前、テレコム・フォーラムの記事の中で、『電話を切った後に会ってみたいと思わせる応対』という主旨のコラムがありました。とても印象的で素敵な言葉だったので、これをモットーにしています。電話の先の方に「実際に会って話してみたい」という気持ちになってもらうためには、明るく大きな声でハキハキと話すといった基本的なことがとても重要です。相手の顔が見えない電話だからこそ、自分たちの顔の表情や雰囲気が伝わるので、その点をしっかりと指導していきたいですね。
少子高齢化時代に選ばれる自動車教習所になるために、接遇向上委員会を設置
電話応対で大切にしている考え方や取り組みについてお聞かせください。
講義の様子
酒井氏:自動車教習所は、差異化が難しい業種だと思います。免許取得にかかる時間はどの学校も同じで、教習内容も法令に定められています。少子高齢化時代の到来を考えると、少しでもお客さまに選ばれる教習所にならなければと、接遇向上委員会を設けました。委員会ではアイデアを出しながら、さまざまなことに取り組んでいます。その一つに『おもてなし指導員』があります。教習生は教習の合間の10分間に、事務窓口で次の講習に関する手続きを行う必要がありますが、事務職員は数名のため、窓口に並ぶ教習生すべてに対応しきれないケースもありました。そこで、『おもてなし指導員』がカウンターで接客もすることになりました。今は、昔のように指導員が教習指導だけをしていればよいという時代ではありません。指導員は、通信教育でCS研修を受けたり、外部講師の講習を受講して接遇の基本を身につけています。また、座学だけではなく教習中でも実践できるよう、一週間ごとにローテーションで『おもてなし指導員』を担当し、お客さまと対話をすることで接遇力を高めています。
北村氏:ほかには、満足度アンケート調査を実施し、集計結果を毎月公表しています。自動車教習所の売り物は、やはり教習内容だと思います。選ばれる教習所になるためには、入校から卒業までどのようなことを、どのような接遇で教えられたのか、それを教習生がどのように感じたのかを把握し、改善することがとても重要です。そのため、アンケート項目は多岐にわたっています。学科や技能の教習内容だけでなく、指導員の話し方や態度、事務職員の応対品質などの項目を設け、満足度の5段階評価に加え、自由コメント欄も用意しています。「いつも優しく笑顔で対応してもらった」「名前を覚えてくれて嬉しかった」のようなコメントも、全職員にしっかりとフィードバックしています。これらの取り組みにより、各校の接遇力をより良い方向へ進化させていきたいですね。
卒業生を対象にしたアンケート
「企業電話応対コンテスト」に参加したことで、部門間の連携が取れるようになった
「企業電話応対コンテスト」に取り組まれた経緯、成果を教えてください。
CS研修の様子
北村氏:企業電話応対コンテスト(以下コンテスト)には、接遇力向上の一環として2010年から参加しています。コンテストで指摘されたことは3校合同の研修会の中で、それぞれの立場から意見交換し、改善に取り組んでいます。それ以前は、3校が連携して応対力向上にあたるという取り組みはありませんでした。コンテストに参加したことで、各部門が連携を取って改善につなげることが重要だと分かりました。例えば、「夏休みに入校したい」という問い合わせに、予約が一杯だという主旨の回答をする場合にも、ただ断るのではなく、次につながる提案をしたほうが良いという指摘がありました。この指摘に対して、営業担当と教習担当が連携し、入校できる時期や教習方法などの情報を事務職員に集めるようにしました。その情報を電話でも伝えるようになったところ、一度の問い合わせで終わるのではなく、お客さまとの関係性が深くなりました。また、クロージングの際に名前を名乗るようになったのも指摘を受けてからですね。「今回お電話を承りました北村です。ぜひお越しください」のような一言を加えられるようになり、接遇力が高まってきたことを実感しています。
酒井氏:コンテストに参加することで、確実に電話応対の力がついてきていると感じます。一方で、応対力が伸び悩む時期にも差し掛かっているので、今後は「電話応対技能検定(もしもし検定)」にも参加して、座学研修にも力を入れていきたいと思っています。座学で学んだことを実技に活かすというサイクルを続けることで、接遇力をさらに向上させることができると思います。その繰り返しによって、コンテストでさらにレベルアップした姿をお見せして、「クロージングが素晴らしい」というコメントをいただくことが目標です。
接遇の基本となる「明るく、気持ちの良い挨拶」を徹底したい
最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。
酒井氏:やはり一番の目標は、電話応対を含めたお客さま満足度の向上です。そのためには、基本となる挨拶ができるようにしたいですね。当社の経営理念に『顧客第一主義』とありますが、挨拶ができない人は顧客第一主義を実践することができません。教職員には会議などを通じて挨拶の重要性を伝えたり、各校で毎朝「いらっしゃいませ」などを全員で唱和したりしています。まずは、明るく、気持ちの良い挨拶を徹底し、そこから接遇力の向上、お客さま満足度の向上につなげていきたいですね。
会社名 | 株式会社長野自動車センター |
---|---|
設立 | 1960年(昭和35年)2月 |
本社所在地 | 長野県長野市中御所4-4-13 |
代表取締役 | 毛涯 克洋 |
事業内容 | 自動車教習所/道路安全施設の設計・施工 |
URL | http://www.nagano-drivingschool.com/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
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