電話応対でCS向上事例

-NTT ME株式会社-
不安全設備申告における生成AI活用で待ち時間がほぼゼロに

記事ID:C20129

NTT MEでは、NTT東日本から委託を受け、電話線の垂れ下がりや電柱の損傷といった「不安全設備」に関する申告を受け付ける故障電話窓口「113」の運営を担っています。2025年9月、「113」では生成AIを活用した自動応答システムの運用を開始しました。このシステムの開発・運用を担当したNTT ME 設備マネジメント部 カスタマサービスセンタの樋口氏に、生成AIの活用状況についてうかがいました。

御社の業務とお客さま応対部門の課題についてお聞かせください。

NTT ME 設備マネジメント部 カスタマサービスセンタ 113部門 運営担当 DX推進G 村岡 龍氏

村岡氏:私たちNTT MEは、NTT東日本が提供する固定電話や光ブロードバンドサービス「フレッツ光」などの地域通信サービスにおいて、お客さま対応業務の一部を担っています。NTT東日本は通信インフラの整備・維持や災害時の通信確保などの役割を担っており、お客さまからの問い合わせ内容に応じて複数の専門窓口を設置しています。
 その中でNTT MEは、NTT東日本から委託を受け、フレッツ光回線や光コラボレーションモデルに関する回線故障や不安全設備への対応を行う「113」、新規申込みや移転などを受け付ける総合窓口「116」をはじめとしたお客さま対応業務を担っています。
 近年は、電話によるサポートに加え、チャットやFAQなどのWeb系窓口も活用されており、NTT MEはこうした多様なサポートチャネルの運営・応対を通じて、お客さまに安心してサービスをご利用いただくための支援を行っています。

NTT ME 設備マネジメント部 カスタマサービスセンタ 113部門 運営担当 DX推進G 樋口 正樹氏

樋口氏:故障受付窓口「113」では、通信サービスの故障に関する問い合わせを受け付けています。また、電話線の垂れ下がりや電柱の損傷など、人や交通の安全に影響を及ぼすおそれのある「不安全設備」に関する申告も受け付けています。
 不安全設備は、放置すると重大な事故やけがにつながる可能性があるため、その申告への対応には迅速性と正確性が求められます。従来は、次のような流れで対応していました。

ビジュアルIVR(スマホ版)の画

 入電があると、まずIVR(自動音声応答システム。音声ガイダンスに従って電話機のボタンを操作し、問い合わせ内容に応じた窓口へ振り分ける仕組み)で窓口を選定し、担当窓口のオペレーターが垂れ下がりの原因や設備の状態を詳しく聞き取り、危険性・緊急性を判定します。次に、修理担当者が現地へ向かえるよう、住所、目印となるランドマークや電柱番号などを確認します。さらに、申告者の連絡先を聞き、現地で場所が特定できない場合に連絡してよいか了承を得ます。その後、該当地域の設備保全を担当する部署へシステムを介して連絡し、連絡を受けた保守担当部門が現地確認、安全確保、設備の修繕・復旧などを行います。

 不安全設備に関する問い合わせはその性質上、台風、大雪などの自然災害の発生時に増加します。特に、近年のゲリラ雷雨では緊急を要する被害が発生し、入電数が通常時の2倍以上に増えることもあります。しかし、このように入電が集中すると、応対するオペレーターが不足し、お客さまを長時間お待たせする状況が頻発していました。また、従来のIVRはプッシュボタン操作で申告内容を振り分ける方式であったため、お客さま自身が適切なメニューを選ぶ必要があり、高齢の方や操作に不慣れな方にとって負担となっていました。また、スマートフォンでは、通話中にプッシュボタンの操作画面を表示する方法が分からないというケースも多く、長時間お待ちいただくお客さまだけでなく、応対するオペレーターにも負担がかかる状況が生じていたのです。

導入までの経緯を教えてください。

樋口氏:NTT ME 設備マネジメント部 カスタマサービスセンタでは、こうした状況を改善し、復旧に向けた作業が迅速に行えるよう、生成AIを活用して不安全設備に関する申告を受け付け、対話を通じて現地の状況など修理手配に必要な情報を聞き取り、修理担当者を手配する業務までを自動化する取り組みを始めました。お客さまを長時間お待たせしないことが最優先でした。そのため、受け付けから手配までの処理をできるだけ人の手を介さず、一気通貫で実行できるようにし、多くの問い合わせに効率的に対応できる環境づくりを目指しました。
 一方、一般の故障申告や複雑な問い合わせなど、生成AIだけでは対応が難しいケースについては、オペレーターへ転送するなど、適切に対応できる仕組みとしました。
 2025年9月、生成AI技術を活用した自動応答システムの正式運用がスタートしました(図参照)。現在、すべての不安全設備に関する申告全体の60%以上について、自動手配を実現しています。

【図:生成AIによる自動受付・振り分けフロー】

採用したシステムと、導入の決め手は何ですか。

樋口氏:生成AIの受付基盤には、NTT東日本グループの自社ツールではなく、NTTテクノクロスのシステムを採用しています。導入の決め手は、多くのお客さまから同時に申告を受け付けられることでした。また、受付には生成AIを使用し、後処理には内製ツールを組み合わせるという、システム構成が実現可能であったことも決め手の一つです。

導入後、どのような効果がありましたか。

樋口氏:大きな変化の一つは、不安全設備の受付に必要なオペレーターの人数を抑え、その分の人員を通常の故障受付に配置できるようになったことです。また、先にお話ししたように、災害発生時には設備不良を申告するためにお電話いただいたお客さまを、電話口でお待たせすることが多くありました。しかし、AI受付の導入後は、不安全設備の申告における待ち時間がほぼゼロになりました。
 受け付けから手配までを一気通貫で自動処理することで、業務効率化とお客さま対応の迅速化を両立できたことが、最大の効果であると捉えています。

CX向上に向けた今後の予定を教えてください。

不安全設備の問い合わせに応対する「113」のオペレーター

樋口氏:不安全設備向け自動応答システムは運用開始から約1年が経過したところで、さまざまなデータを蓄積することができました。不安全設備の窓口へは、一般の方だけでなく警察関係者をはじめ、さまざまな方から問い合わせが寄せられます。そうした多様な属性や状況に応じて、質問内容にも細やかな調整が必要となります。今後は、システムからの質問の意味が分からないといった負担を減らせるよう、相手の属性に合わせてヒアリング項目を最適化し、一人ひとりが回答しやすいガイダンスへ改善することで、受付時間を短縮し、よりスムーズで利便性の高い受付を実現したいと考えています。
 私たちの部署では機器配送や修理担当者の派遣手配なども行っていますが、さまざまなチャネルで故障復旧をサポートできるようになり、お客さまとの接点も多様化しています。それに伴い、CSやCXの向上に向けた取り組みにもより幅広い視点が求められています。そうした環境に対応できるよう、これからも手配を担当する部署・組織と協力し、網羅的なアンケートデータを集約・分析してCX向上へ反映する取り組みを継続します。

会社名 NTT ME株式会社
設立 1999年(平成11年)4月
所在地 東京都新宿区西新宿3-19-2
従業員数 13,000名(2026年7月時点)
事業内容 電気通信及び情報通信等に関する事業、ビジネスサポートに関する事業
URL https://www.ntt-me.co.jp/
〔ユーザー協会会員〕

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