電話応対でCS向上事例
-リコージャパン株式会社-「お客様の立場で考え、行動する」ことで、カスタマーサクセスに貢献するコンタクトセンターへ
記事ID:C20053

複合機などのメーカーから、デジタルサービスの会社に変革しているリコーグループ。日本国内の販売を統括するリコージャパンのマーケティング本部に所属し、全国10拠点でコンタクトセンター業務を展開しているCXセンターの皆さんに、接客応対で大切にしていることをお聞きしました。
事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。

マーケティング本部 CXセンター長
若宮 治氏
若宮氏:リコージャパンは、リコー製品を中心とした商品・サービスの提供をはじめ、業務改善を含めたコンサルティングからシステム構築、アフターサービスまで、さまざまなソリューションを提供する会社です。私たちCXセンターは、主にお客さまからの故障連絡や操作の問い合わせ、消耗品の注文、リモートサポートなどの業務を担っています。問い合わせの手段は電話がメインですが、メールやチャットボットも増えています。加えて、お客さまの声を受ける、また製品を直すことなど単にお客さまのお困りごとを解決するだけではなく、さらに、よりお客さまに活用していただくための活用サポートなどを提案し、お客さまの業務のお役に立てる取り組みをしております。CXセンターは全国に10拠点あり、人数はパートナー会社を含めると約1,000名になります。
「CUSTOMER-CENTRIC お客様の立場で考え、行動する」が接客応対の基本
電話応対やその教育について大切にしていることを教えてください。

センター戦略室 人財戦略グループ
シニアマネージャー 野中 郁子氏
野中氏:CXセンターでは、『世の中から評価されて、お客さまから最も信頼されるコンタクトセンターになろう』というスローガンを掲げています。その根底には『リコーウェイ(リコーグループの理念)』に謳われている『CUSTOMER-CENTRIC お客様の立場で考え、行動する』という価値観があります。これは何かを判断する際には、常にお客さまの立場になって考える、お客さまが起点であるということを示しており、私たちの大事な指針となっています。電話応対教育という観点でいえば、自分が話すことに主眼を置くのではなく、お客さまの声にならない声、例えばため息一つからもその心情を察することを重視しています。
若宮氏:加えて、応対教育の成果としては、自分たちの勝手な判断ではなく、お客さまをはじめとする外部の方からの評価をしっかりと把握し、高めていくことが大切だと考えています。お客さまはほかの会社とリコーグループを横並びで評価しています。私たちの応対品質が、相対的に見てどのくらいの位置にいるのか、お客さまの成功に寄与することで、どのように信頼を高めていけるかが、これからのコンタクトセンターには重要だと考えます。そのため、昨年(2022年)の新年の挨拶では全国のメンバーに向けて、「7年ぶりに電話応対コンクールに出場します。一緒にチャレンジしていきましょう」というメッセージを発信しました。ほかにも「コンタクトセンター・アワード」にも初めてチャレンジしました。おかげさまで、「マネジメント・オブ・ザ・イヤー賞」を獲得するなど、結果が少しずつ出始めています。
コンタクトセンター運営で、工夫していることをお聞かせください。

電話応対の様子
若宮氏:第一にはつながりやすさを重視しています。全国どこからでも誰でもコールが取れるCTIシステムを導入、同時に対応をエスカレーションした場合も、お客様をお待たせせずに受付内容や顧客情報を共有できるCRMシステムを全国統一化しています。また、繫忙時間や繁忙期に備え、Voiceボットも導入し、Voiceボットでの受付からカスタマーエンジニアへの自動手配を行ったり、折り返しご連絡をするという運用をしています。さらに、お客様のご要望にお応えし、Chatボットや解決支援アプリ、YouTubeやTwitterなど様々なチャネルを用意し、お客様をお待たせしない工夫をしています。
野中氏:私共は約60のダイヤルを保有し、リコープロダクト製品に加え、Office365や会計ソフトなど様々な企業様へのお問い合わせに対応しています。高い対応品質の維持、向上のために、弊社は二方向から改善活動をおこなっています。1点目は、対応品質基準によるモニタリングです。全コミュニケーターが均質の対応ができるように、さらに各々が向上していけるように、対応品質基準を定義し、モニタリング及び改善活動を行っています。そして2点目は外部機関の対応品質監査です。応対専門の外部機関の厳しい目による監査を実施し、自分たちの現在地を確認し、向上につなげています。このように内部の改善活動と外部機関による広い視野をもった多様な指摘をもとに、改善アクションを定義実行し、さらなるお客様満足度の向上を目指しています。さらに、弊社で展開している“活用サポート活動”(良いお客さまづくり)を有機的に組み合わせ、お客さまに一層寄り添った応対を進めています。

サポート体制
7年ぶりの電話応対コンクールは、自発的に取り組む人で組織が活性化された
7年ぶりに電話応対コンクールに取り組んで、どのような成果を感じていますか。

電話応対研修
野中氏:2022年度の電話応対コンクール(以下、コンクール)には30名のスタッフが挑戦したのですが、賞を取れそうな人を推薦するのではなく、自発的に手を挙げた人で取り組みました。出場に向けてさまざまな練習をしましたが、選手個人のスキルに留めるのではなく、指摘されたことを職場に持ち帰って、上司やメンバーと共有するよう求めました。コンクールには出場していないコミュニケーターが、出場した選手の影響を受けて、応対スキルやマインドを高められたことが最大の成果だと思っています。一方で、今はまだその成果を充分に図れているとは言えません。来年度は、カスタマーサクセスにどれだけ貢献できたかを「見える化」して、社内外に展開したいと思っています。成長は自己満足ではいけません。それをお客さまに評価していただくことが今後の課題と考えます。
定池さんは実際にコンクールに出場されてみて、どのように感じていますか。

ビジネス推進部
プロダクトサポート2グループ
定池 佳奈恵氏
定池氏:私はコミュニケーターのほか、チームの応対品質向上活動の推進を担当しております。お客さま対応に携わる中で、自身の実力を知るために挑戦してみようとコンクール出場に手を挙げました。業務に支障が出ないよう1日15分、問題の理解やCS、営業視点、話し言葉、音声表現など講師とリモートでレッスンを重ねました。お客さまとの電話応対では、日頃からお客さまに満足していただけることを心がけていますが、コンクールを通じて、お客さまに満足していただけるとはどういうことなのか、お客さまの心情に対する自分の声、お客さまとの距離を考えた間の取り方など、一つひとつを深く考える機会となりました。特に印象深いのは、音声表現です。自分なりにできているつもりでしたが、講師の音声を録音し、自分の音声と何度も聞き比べ、足りないところにようやく気づくことができました。その後は、毎日、講師の音声との違いをチェックし、細かな音の中から、お客さまに満足していただける表現が分かるようになってきました。おかげさまで地区大会での入賞を果たし、神奈川県大会へ出場することができました。コンクールが終わり残念だったのは、毎回楽しみにしていたレッスンがなくなってしまったことです。今後は私自身が経験したレッスンの楽しさ、学びの世界をチームメンバーへの指導に役立てていきたいです。
最高の顧客体験を提供し、お客さまの成功に貢献することで、共に成長していきたい
最後に、今後の目標についてお聞かせください。
若宮氏:目指すところは「CXセンターの存在価値をいかに高めるか」ということです。コンタクトセンターはお客さまとの大事な接点を担う部署だからこそ、顧客ロイヤルティーの向上に深く貢献し続けることが必要です。そのことがやがて外部の評価につながることになると考えます。また、CXセンターのお客さまとの接点活動が、いかにカスタマーサクセスにつながるようにできるかが、最も重要です。お客さまにとって「最高の顧客体験」を提供し、CXセンターがお客さまの成功に貢献することで、我々も一緒に成長していきたいですね。

私たちは、お客様のその先のお客様に届く価値を創出する、すなわちお客様の企業価値向上に向けた改善・改革を実現するため、常にお客様と共に考え、共に創り上げていく姿勢で取り組んでいます

会社名 | リコージャパン株式会社 |
---|---|
創 立 | 1959年(昭和34年) |
本社所在地 | 東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル |
代表取締役社長執行役員 CEO | 木村 和広 |
拠点数 | 349拠点(2022年4月1日現在) |
事業内容 | さまざまな業種におけるお客さまの経営課題や業務課題の解決を支援する各種ソリューションの提供 |
URL | https://www.ricoh.co.jp/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
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