電話応対でCS向上事例

-株式会社イシダ-
「聞く力」と「伝える力」で機器の復旧時間を短縮しお客さま満足度につなげたい

記事ID:C20024

世界初の「組み合わせ計量機」の開発により、食品業界に計量革命をもたらした株式会社イシダ。食品などの生産から流通に関わる機器を扱うからこそ、トラブルを短時間で解決するため、お客さまの状況を「聞く力」と、正確な情報を「伝える力」を大切にしています。

事業概要についてお聞かせください。

コンタクトサポートセンター
部長 田原 行夫氏

田原氏:1893年(明治26年)に民間企業初の計量機メーカーとして創業して以来、計量技術を核とした事業を展開してきました。中でも弊社が飛躍するきっかけになったのは、ピーマンの計量を機に開発された『組み合わせ計量機』です。スーパーでよく目にする野菜の袋詰めは、以前は農家の方が手作業で重さを調整していました。その労力を少しでも減らしたいと考えた農業組合から「形や重さがバラバラのピーマンを、設定量で袋詰めできる機械がほしい」という要望があり、世界初の製品が誕生しました。近年では、包装、検査、表示などの分野にも進出し、産地から小売店まで一貫してイシダの機器が関与していることから「食のインフラ」を支える企業です。

修理に来てほしいのか、修理方法を教えてほしいのかを的確に捉えることが大事

電話応対の体制についてお聞かせください。

コンタクトサポートセンター
ヘルプデスク 課長 藤田 和男氏

藤田氏:電話応対の部署は二つあります。一つは24時間365日対応の有料コールセンターで、25名が勤務しています。機器の保守契約をしていただいているお客さまからのお問い合わせが中心で、遠隔監視をしながら障害対応をしています。もう一つは、機器の修理依頼や部品の注文を受ける無料のヘルプデスクで、24名が応対しています。無料のヘルプデスクが開設されたのは3年前で、それまでの電話応対は各営業所で対応していました。営業所は専門知識をもつエンジニアの数が限られるため、お客さまのご要望にすぐに応えられなかったり、応対品質も拠点によって違いがあったのです。そこで、どの地域でも一律のサービスを提供できるように、修理・部品に関するお問い合わせを集約しました。

電話応対で心がけていることをお聞かせください。

オフィスの様子

田原氏:イシダの機器は生産や流通に関わるため、現場の状況や緊急性を察知して、ご要望を的確に捉えるよう心がけています。例えば、修理依頼をされるお客さまの中にも、「修理に来てほしい」という方もいれば、「修理の方法を教えてほしい」という方もいます。「修理に来てほしい」と要望されるお客さまに対して、修理方法を長々説明してしまうと、「来てくれないのか」と思われてしまいます。機器が故障して業務が止まっている時は、お客さまも非常に焦っているため、通話時間が長くなって復旧にかかる時間が増えるほど、お客さまのフラストレーションも大きくなります。単に機器の修理をするだけではなく、お客さまの心のケアも大切なことなのです。そのために、まずは現場の状況を正確に「聞く力」が必要です。その上で、トラブルを解決する方法を正確に「伝える力」が求められます。聞く力と伝える力、この両輪でトラブルをいち早く解消し、機器が故障している時間を短縮することができると、結果的にお客さま満足度の向上につながると考えています。

御社の電話応対教育についてお聞かせください。

藤田氏:教育内容は、電話の基本的なマナーと技術知識の強化の大きく2つに分かれています。オペレーターは週1回10分程度、それぞれのレベルや業務内容に合わせて、専門知識を学んでいます。週1回と頻繁に実施している理由は、応対履歴をすぐに振り返り、同じミスを繰り返さないようにするためです。今後は、通話モニタリングの仕組みをブラッシュアップして、電話応対の良かった点や悪かった点を、週1回の学習の中で確認できるようにしたいと思っています。

大きなクレームを機に、徹底的に電話応対の見直しを図ろうと「電話応対技能検定(もしもし検定)」を導入

もしもし検定に取り組み始めたきっかけをお聞かせください。

藤田氏:お恥ずかしい話ですが、お客さまからの大きなクレームがきっかけでした。それを機に、これまでの電話応対を振り返ってみると、技術的な知識ばかりに気をとられ、お客さまに寄り添った応対ができていないことに気づいたのです。もちろん、毎年マナーや接客対応の研修はしていましたが、それだけでは十分ではなく、徹底的に電話応対の見直しを図らないと「イシダの電話応対はダメだ」と思われてしまうという危機感を持ちました。そこで、2020年からもしもし検定に取り組み始めました。もしもし検定では、一定の基準に沿って応対スキルを身につけることができますし、級ごとに学習内容が明確になっているので、応対スキル向上の指針になると思いました。

電話応対の品質に関する基準を得たことで、一人ひとりのモチベーションも上向きに

もしもし検定導入の成果として感じていることはありますか。

コンタクトサポートセンター
コールセンター 課長  鈴木 修氏

鈴木氏:少しずつ電話応対への意識が向上してきたと思います。最初はあまり乗り気ではなかった人も、試験後に「どうだった?」と聞き合いながら一喜一憂していて、楽しそうでしたね。社会人歴が長くなると「合否をもらう」という経験があまりなくなるので、闘志に火がついて頑張れるのだと思います。取り組み始めて間もないので、成果を数値で示すことはできませんが、それまでバラバラだった電話応対品質が一定の基準を満たしたものに変わってきたと感じます。毎年実施しているお客さまアンケートでも、「○○さんの対応が良かった」とご意見をいただくことがあり、本人の自信やモチベーションの向上にもつながっています。

電話応対スキルを向上させるために、今後取り組みたいことはありますか。

鈴木氏:オペレーターの指導者を育成していきたいです。私たちはもしもし検定に取り組み始めて間もないので、今はまだ、個々人の電話応対スキルを向上させることに注力しています。今後、電話応対への意識やスキルがしっかりと定着してきたら、次のステップとして、イシダ独自の応対基準を作って、それを指導できる人材を育てたいですね。

お客さま満足度の向上と、高齢の社員が活躍する場を作るためにシステムを刷新

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

田原氏:単に修理依頼を受けるだけでなく、完了までを見届けられるよう、システムを刷新する予定です。依頼に対する進捗を見える化し、社内外からのお問い合わせに瞬時に回答できると、お客さま満足度の向上につながると思います。また、働き方改革の一環として、CTI※システムに在宅勤務機能を付加したいですね。というのも、現場で修理・点検を担当する「CE(カスタマーエンジニア)」と呼ばれる社員がいるのですが、高齢になり肉体的に現場対応が難しいメンバーも少なくありません。高い技術知識を持った社員が長く働けるようにするためにも、在宅勤務の環境を整えていきたいと思います。これからも、企業理念である「三方良し(自分良し、相手良し、第三者良し)」を意識し、応対品質向上を目指していきます。

※ CTI:Computer Telephony Integrationの略。コンピューターと電話機、PBX(構内交換機)などの電話系装置を統合し、コールセンターやサポートセンターの情報機能を効率化するシステム。

(左)テクニカルサポートセンター(滋賀)、(中央)東京支社外観

会社名 株式会社イシダ
創 業 1893年(明治26年)5月
本社所在地 京都市南区西九条東比永城町75 GRAND KYOTO 3F
資本金 9,900万円
代表取締役社長 石田 隆英
事業内容 産機システム、機械設計、FA システム、印刷事業など
URL https://www.ishida.co.jp/ww/jp/
〔ユーザ協会会員〕

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