電話応対でCS向上事例

-富士山の銘水株式会社-
ビデオ通話ツールの活用によりウォーターサーバーに関する問い合わせの一次解決率が向上

記事ID:C20095

富士山の銘水株式会社は、山梨県富士吉田市に本社工場を構え、ミネラル水の製造・販売を行っています。ウォーターサーバーに関する問い合わせを受け付けるお客様サービス部の松野 秀二郎氏に、課題解決の取り組みについてうかがいました。

御社の業務内容とコールセンター部門の課題についてお聞かせください。

ウォーターサーバー本部
お客様サービス部 次長
松野 秀二郎氏

 当社では天然水ブランド「FRECIOUS(フレシャス)」を展開し、ウォーターサーバーと宅配水による事業を行っています。また、2021年からは浄水型ウォーターサーバー「every frecious(エブリィフレシャス)」も展開するなどお客さまのニーズに合わせたサービスを提供しています。天然水「フレシャス」は、2010年からサービスを開始しました。現在、富士吉田市にある工場で採水したバナジウム入り天然水など3種類の天然水を提供しています。ウォーターサーバーはこれまで天然水型が主流でしたが、コロナ禍による生活様式の変化もあり、数年前からは水道水をカートリッジでろ過する浄水型ウォーターサーバーが全体の6割を占めるようになっています。東京、神奈川、千葉、埼玉エリアを中心にした直接販売のほか、営業代理店からの委託販売も行っています。コールセンターでは主に、契約したお客さまからの問い合わせ対応や新規契約の受注受付、ウォーターサーバーのトラブル対応などを行っています。水の消費量が多くなる7~9月が繁忙期となり、自然災害が起きると契約の申し込みや配送関連の問い合わせが増える傾向があります。

天然水ブランド「FRECIOUS(フレシャス)」

 電話窓口は内容により二つに分けて対応しています。問い合わせ全般は本社(山梨)のコールセンターで約80名のオペレーターが対応し、ウォーターサーバーのトラブルに関しては東京にあるお客様相談室で約20名が受け付けています。トラブル対応で特に課題となっていたのが機器の状況をお客さまから事前に聞き取る業務でした。ウォーターサーバーには正常/異常を知らせる複数のランプがあり、どれが何回点滅しているかによって示す意味が異なります。ランプの状態をヒアリングする必要があるのですが、音声でのやり取りには限界がありました。そこで、ランプの状態を携帯電話で動画撮影していただくことを試しましたが、動画ファイルをオペレーターが受け取って確認し、折り返し連絡するなどの一つひとつに稼働を取られ、対応が先に進まず解決まで1~2週間かかることも頻繁にありました。また、動画を撮るのが面倒というお客さまもおり、ウォーターサーバーを無償交換せざるを得ないこともありました。回収後に確認すると故障ではなく使い方の問題だったという事象もあり、コスト面での課題も生じていました。(松野氏)

システム導入までの経緯をお聞かせください。

お客様相談室における電話応対の様子

 そこで、お客さまが簡単に動画を撮ることができ、オペレーターがリアルタイムにサーバーの状況を確認する手段として、ビデオ通話ツールに目を向けました。機器の操作に馴染みのない高齢のお客さまの場合、動画撮影してファイルを送付するまでの過程でつまずくことも多かったため、わずらわしさを感じさせないという基準で複数のツールを比較しました。同時にオペレーター側の使い勝手の良さも重要視しました。通常のアプリサービスでは、相手のメールアドレスを取得してアプリのインストールを依頼し、その上でURLを発行してメール送信して接続という手順を踏みますが、これではお客さまとオペレーター双方にわずらわしさが生じます。導入したツールは、お客さまのアプリインストールやアカウント作成などが不要で、SMSでスマホ宛てにURLを送信するだけですぐにビデオ通話を始められます(図参照)。コスト面ももちろんですが、接続手順のシンプルさが決め手となり、2022年に導入し運用を開始しました。(松野氏)

オペレーターからSMSで送信されたURLをクリックするだけで、すぐにビデオ通話を始めることができる。お客さま側でのアプリインストールやアカウント作成などは不要。

システム導入でどのような効果がありましたか。

お客様相談室における電話応対の様子

 お客さまからの通話に対して1回で解決することが多くなったと実感しています。実際、初回の解決件数の割合を示す一次解決率を比較すると、ビデオ通話ツールの導入前は60%でしたが、導入後は80%に向上しました。実は、オペレーターからも、導入以前は「使い方を覚えるのが大変」「オペレーションがうまくいくか不安」といった意見がありましたが、対応効率やお客さまに対するサービス向上の点で必ず効果が上がると伝えた覚えがあります。今ではほとんどのオペレーターが使いこなすようになり、折り返しの連絡など効率の悪かったやり取りがスムーズになった、といった声が挙がっています。また、別の用途として、商業施設などで販売員がデモンストレーションをしている時にお客さまから「聞いていた料金やサービス内容と違う」といった質問を受けることがあるのですが、その際にビデオ通話でつなぎ、お手元の契約書を確認しながら解決するといったケースもあります。また、登録内容の変更や追加注文などはチャットボットやボイスボットで応対し、人でなくては難しい業務にオペレーターを専念させることで、コールセンター全体の業務効率が上がりました。(松野氏)

今後の展開についてお聞かせください。

 先ほどの通り、20%は一次応対で解決していないことになります。さまざまなケースがありますが、例えばお客さまが職場から電話してきた場合、サーバーを撮ることができませんので、在宅時に架電するといった対応になります。今後はそうした点も含めて効率化推進を検討したいと考えています。契約いただいているお客さまと直接コミュニケーションを取れるのは、我々コールセンターだけの特権です。CSアンケートの実施はもちろん、企業電話応対コンテストへの参加などを通じて、CS向上、CX向上のためのさらなる取り組みを進めてまいります。(松野氏)

※ S M S
ショート・メッセージ・サービスの略称で、電話番号宛てに送受信できるメッセージサービスのこと。
会社名 富士山の銘水株式会社
創業 2010年(平成22年)11月
所在地 山梨県富士吉田市上吉田4961番地1
代表取締役社長 粟井 英朗
資本金 1億円
社員数 連結387名、単体363名(2023年4月1日現在)
事業概要 ミネラル水の製造・販売及び輸出入ほか
URL https://www.fuji-meisui.co.jp/
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