電話応対でCS向上事例

-カリモク家具株式会社-
お客様相談室に集積される情報を効率よくデータ化し全社的な顧客サービス向上に役立てたい

記事ID:C20093

カリモク家具株式会社は、愛知県知多郡に本社を置く木製家具メーカーです。同社の家具は親子二代、三代にわたる使用など、長く使われることを想定しているため、家具の修理やクリーニング業務にも注力しています。修理などのお問い合わせは、「お客様相談室」で受け付けていますが、いくつかの課題がありました。今回は、その課題解決の取り組みについて、同社の榊原 岳広氏に話をうかがいました。

御社の業務内容とコンタクトセンターの課題についてお聞かせください。

取締役部長 榊原 岳広氏

 当社は1947年の設立で、木製家具の製造・卸業務を行っています。一部販売も行っていますが、基本は卸で家具店や百貨店、住宅メーカーなどに納入しています。営業所は北海道から鹿児島県まで26ヵ所、ショールームも単独・営業所併設合わせて全国に26ヵ所あります。なお、ショールームはお客さまに実際に家具に触れていただいたり、座っていただいて、製品の良さを確認していただく場所という位置づけですので、小売りは一切しておりません。製造工場は愛知県と岐阜県に5ヵ所、木材から家具の材料を造り出す資材工場が北海道・秋田県・マレーシアにあります。実は当社が家具の製造に取り組んだのは1964年からのことで、それまでは木工の製造ではあったのですが、ピアノの鍵盤やテレビのブラウン管を支える木枠部分、ミシン本体の木製部品などを製造していました。
 コンタクトセンターとしては、一般ユーザー向けの窓口としてお客様相談室を、取引先向けの注文窓口として受注センターを運営しています。お客様相談室では月に1,000件ほどの問い合わせがあり、8割以上が、修理・メンテナンスの相談です。なかには、ご自宅の家具を自分の好きな色にそろえたいといった、インテリアコーディネートに関するご相談などを受けることもあります。その際は、コーディネートの知識をもつ社員が応対しています。課題としては、修理対応でお客さまから送られてきた画像と通話の応対履歴を、Notes(HCL社が開発・販売しているグループウェアパッケージ。旧称「Lotus Notes」)をカスタマイズした社内システムに残すことで、CRM(CustomerRelationship Management:顧客管理)に活用していましたが、応対履歴の記載は手入力でしたので、個人により記載内容の精度にばらつきが見られたことでした。また、入力に時間がかかり電話に出られないといった本末転倒の事態を招くこともありました。さらに、お客さまとの応対の成功例などをFAQに作成し社内に展開したいと考えていたのですが、情報は蓄積されるものの活用度合いが低いという課題があり、社員教育やサービスレベル向上の観点から非常にもったいないと思っていました。

システム導入までの経緯をお聞かせください。

コンタクトセンター用のクラウド型基幹(PBX)システムとCRMシステム導入により、お客様相談室、受注センター、コントラクト営業部、EC事業部の連携を可能に

 当初は自社システムの改修も検討したのですが、社内システムのベースとなっていたNotesは今後の継続に不安があったため見送りました。そして10社以上の提案の中から、クラウド型のコンタクトセンターの基幹(PBX)システムとCRMシステムの導入を決定し、2024年4月から運用を開始しました(図参照)。システム選定の決め手は、電話機がいらずパソコンとヘッドセットさえあればどこでも電話が受け取れて将来的に在宅勤務も可能になるということと、AIを活用した音声認識技術により通話を自動的にテキスト化できること、応対履歴の情報共有を強化できること、さらに修理対応特有の品番や使用期間などの情報を入力できるといったカスタマイズが可能であり、従来とあまり違和感なく作業できることでした。

システム導入でどのような効果がありましたか。

修理・メンテナンスの相談を受けるお客様相談室

 コンタクトセンター用のクラウド型基幹(PBX)システムとCRMシステムの導入により、お客様相談室の8名の相談員の電話の待機時間が、平均的になりつつあると感じています。以前は同じスタッフばかり電話を取ってしまい、なかなか取れないスタッフもいましたが、そういう状況が緩和されてきています。また、リモートワークが可能な環境を構築できるため、例えば台風の影響で出社が困難な状況でも在宅でお問い合わせ対応ができるようにして、将来的に人手不足を解消するための雇用促進につなげていきたいと考え、社内でシミュレーションを行っています。一方で、CRMシステムの音声認識の精度については、求めるレベルに達していない点もあるため完全移行できていない状況ではありますが、それでも一定の効果は出ています。以前は、応対履歴を一字一句丁寧に入力するため、残業するスタッフもいましたが、自動テキスト化により6割程度認識できたテキストを使えるので、稼働がずいぶんと軽減できています。それにより、遅くまで残業をするスタッフも減少しています。

最後に、今後の展開についてお聞かせください。

家具の修理の様子

 お客様相談室の日々のお問い合わせで得た情報は、全社的なサービス向上を図る上で、非常に貴重です。現在はお客様相談室、受注センター、コントラクト営業部、EC事業部がそれぞれお客さまに対応していて、顧客情報はそれぞれ別の形式で保管されている状況です。それらの情報は、当社にとって非常に大きな財産ですので、一元管理によって連携を図ることで、セキュリティ面の強化を図るとともに、その価値を一層高めていきたいと考えています。
 統合されたCRMデータから、お客さまに対しては新商品の案内などの販促活動や修理の通知を行うことができますし、社内的には、社員教育の一環としてお客様相談室が実践しているコミュニケーション手法や修理をはじめとする商品情報を、業務経験が浅い若手の営業スタッフなどへ共有することも検討しています。さらに、課題として挙げたお客さま応対の成功例もFAQなどを作成して、社内に発信したいと考えています。そのようにして、お客さまとの応対から得た貴重な情報についてデジタルツールを駆使して分析し、活用していきたいと考えています。修理を依頼される方はカリモク家具に愛着をもっていただいている重要なお客さまですので、そうした情報を取り込んでCRMに活かし、サービス向上を図っていきたいと考えています。

会社名 カリモク家具株式会社(営業部)
設立 1947年(昭和22年)2月5日
所在地 愛知県知多郡東浦町大字藤江字皆栄町108番地
代表取締役社長 加藤 正俊
資本金 4,500万円
社員数 920名
事業所 営業所26ヵ所、ショールーム・アウトレット:ショールーム26ヵ所、アウトレット3ヵ所
事業概要 材料の管理から家具の製造・卸売・販売まで行う木製家具メーカー
URL https://www.karimoku.co.jp/
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