電話応対でCS向上事例

-日東精工株式会社-
電話応対コンクールは自らの現在地を知る貴重な機会 「お客さま満足度120%」の電話応対を目指す

記事ID:C20070

日東精工株式会社は京都府北部の綾部市に本社を置き、ねじ製品をはじめとする工業製品を製造・販売するメーカーです。同社の電話応対に対する考え方や取り組み、「電話応対コンクール」への参加を続ける背景や効果などをうかがいました。

事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。

人事総務 部長 布川 貴英氏

 当社は、ねじ製品や自動組立機、計測・検査装置などを製造・販売しています。京都府綾部市に本社・本社工場を含む四つの工場、国内に支店や営業所、出張所、さらに国内外に37のグループ企業を有しています。同じ綾部市には明治20年代に女性の雇用を目的に創業された企業があり、地元から男性の雇用創出と地域の発展を望む声が多く聞かれました。そうした要請を受け、1938年に当社が創立されました。現在も従業員の約7割が綾部市や周辺の方となっています。

人事総務部総務課の様子

 電話応対については、本社は人事総務部総務課の3名が代表電話を取り次ぎ、各工場では管理部の2名ほどがそれぞれ電話を取り次ぐ体制になっています。日常的に取り引きされている方は担当窓口に直接電話するため、代表電話には窓口をご存じない方や経理部門の方、一般株主の方などからのお問い合わせが多いです。また、電話以外の応対としては、Webサイトに製品や採用など目的別にお問い合わせフォームを設けています。

電話応対品質についても「お客さま満足度120%」を目指す

電話応対に対する考え方や取り組みについてお聞かせください。

製造ライン

 当社の経営の柱の一つに「お客さま満足度120%」という考え方があります。お客さまのご要望を上回るレベルの製品・技術の提供を目指すというものですが、電話応対や来客応対も含めて、お客さまに120%満足していただくことを目指して取り組んでおります。具体的な施策としては、新入社員研修の一環として日本電信電話ユーザ協会所属の講師によるビジネスマナー研修があり、その中で半日ほどかけて電話応対のカリキュラムを実施しています。さらに、フォローアップ研修として、入社6ヵ月後の社員に対して振り返りの研修も行っています。
 また、当社は会社の起こりが地域の雇用創出に端を発しているため、人材は会社の財産であり、社員が活き活きと働いていただくことが地域への貢献につながっていくという考えに立って事業に取り組んでいます。そのため、創業時から優れた人材を育成するという方針がありましたので、人材教育には特に注力してきたという背景があります。そうしたことを受けて、全社の人材育成計画の中に毎年「電話応対コンクール(以下、コンクール)」をプログラムの一つとして取り入れています。コンクールへの参加は、20年ほど前に当時人事総務課長だった荒賀誠(現社長)が、「今の自分の電話応対スキルが世間的にどのくらいのレベルかを確認できる機会であり、若手社員のチャレンジとしてふさわしいのでは」と提案したことがきっかけとなっています。
 ちなみに、当社は社是に「健康を増進し、よい人づくりをすること」を掲げて、創業当初より健康で働きやすい職場環境づくりに努めてまいりました。中期経営計画の戦略テーマにも「健康経営」の概念を盛り込んで、社員のQOL(生活の質)向上に取り組んでいます。その結果、近年では、経産省と東京証券取引所が選定する「健康経営銘柄」と女性の活躍にフォーカスした「なでしこ銘柄」、日本健康会議が認定する「健康経営優良法人(ホワイト500)」、スポーツ庁が認定する「スポーツエールカンパニー」を取得しております。公的な評価制度によって当社の現在地を知るという考え方や、自分たちの物差しだけで測っては実態が分かりにくいため、世間的な評価で自社を知って改革していこうといった取り組みは、20年ほど前のコンクールへの参加から、脈々と続いているものになります。

コンクールは若手社員が参加、拠点や部門を越えた交流も有意義

「電話応対コンクール」に対する取り組みと成果を教えてください。

電話応対コンクール研修

 コンクールは事務部門や営業部門を中心に参加を募り、2000年代初頭から毎年10名ほどが参加しています。例年、新入社員が約半数を占め、入社数年の若手社員や過去に参加して再チャレンジしたいという社員も参加します。
 コンクールを経て、当初電話の出方も分からなかったような新入社員から「電話の取り次ぎに自信がついた」「うまく回答でき、お客さまにも喜んでいただくことができて嬉しかった」といった声が聞かれます。若手社員は、コンクール参加を目標に掲げて濃密な練習に取り組んでいますので、そうした姿勢が電話応対のスキルアップにつながっているのだと思います。また、コンクールに向けては、新入社員の参加者に対して先輩社員がマンツーマンで指導に当たります。一つでも上の大会を目指すという目標が明確で同じ課題に全員が取り組みますので、互いに褒めたり、アドバイスしたりする場面が生まれます。モチベーションが高まりやすい傾向がありますので、この点もプラスに働いているのではないでしょうか。各事業部や工場から普段顔を合わせないような社員同士が教え合い、切磋琢磨して取り組みます。そういう業務以外でのコミュニケーションも非常に有意義だと感じています。

コンクールや動画コンテンツなどで電話応対品質向上を図っていく

最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。

電話応対の様子

 当社は中期経営計画の戦略に基づいた五つの行動指針を掲げています。それは、「お客さま目線で全員営業を実践しよう」「お客さま目線で環境課題を考えよう」「お客さま目線で付加価値を見つけよう」「お客さま目線で投資対効果を高めよう」、そして「お客さま目線でサービスエクセレンスを提供しよう」というものです。これらをそれぞれの部門が業務に落とし込み、全社的に実践することによって「お客さま満足度120%」の実現を目指しています。コンクールへの参加もその一連の取り組みとして、今後も続けていきたいと考えます。
 また当社では「Nライブラリ」という社内独自の動画コンテンツを作成し、研修などに活用する取り組みを進めています。これは、例えば経営企画室が「財務戦略」、労務課が「ダイバーシティ」、監査部が「コンプライアンス」というように、部門ごとの得意分野を教え合うという趣旨のコンテンツです。社員自らが講師となり、スライドや原稿を作成し、撮影から編集まですることで、自分自身の学びとなることも目的です。「Nライブラリ」の動画コンテンツは日東精工グループのネットワーク上に置かれていますので、国内の支店・営業所・出張所、さらに国内外のグループ企業からも24時間アクセス可能です。今後は、そのラインナップに、ビジネスマナーの一環で電話応対などを取り入れていきたいと考えています。

会社名 日東精工株式会社
創立 1938年(昭和13年)2月本社
所在地 京都府綾部市井倉町梅ヶ畑20番地
代表取締役社長 荒賀誠
事業内容 ねじからねじ締め機、計測・検査装置まで取り扱うトータルファスニング企業
URL https://www.nittoseiko.co.jp/
〔ユーザ協会会員〕

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