電話応対でCS向上事例
-三村鉄工株式会社-
高い品質の電話応対で、新規のお客さまの安心と信頼を獲得
油圧シリンダの専門メーカーである三村鉄工株式会社は、電話応対技能検定(もしもし検定)の導入で“ご当地的なマナー”を払拭。さらに女性社員に「優れたマナーと電話応対品質を身につける」という新たなキャリア形成の道も開きました。
御社の概要について教えてください。
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▲代表取締役社長 三村 勇雄氏
弊社は油圧シリンダを主力製品とするメーカーです。油圧シリンダという製品に馴染みがない方がほとんどだと思いますが、工事用のクレーンのアームを曲げ伸ばしする円筒状のパーツや、そのクレーン車の左右から張り出し車体を支えるパーツが、分かりやすい例でしょう。また、護岸工事で使う止水用の杭は、かつて大きなハンマーで機械的に打ち込んでいましたが、この分野でも弊社の油圧シリンダを使うことで、工事の低騒音、低振動化が可能となりました。弊社の主な取引先は、そうした製品を作るメーカーとなります。(三村氏)
優れた電話応対で、お客さまを工場見学にスムーズにご案内
電話応対との関わりについて教えてください。
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▲総執行役員常務 小林 貴宣氏
弊社は、長いお付き合いのある得意先との取引が売上の多くを占めますが、新規のお客さまからお声がけをいただくことも、もちろんございます。そうした場合、弊社の製品だけでなく、工場設備、現場を見ていただき、弊社が信頼に足る会社であるとご納得いただきます。つまり電話は、そうした新規のお客さまをスムーズにご案内する入口となるのです。(三村氏)
電話応対の質が低ければ、どれだけ良い製品を作り、良い現場を実現しても、お客さまの「見学に行ってみよう」という行動につながりません。お客さまがご来社いただいた時も、きちんとしたマナーで接遇し、工場までご案内することは非常に大切です。つまり、製造の現場が品質向上に頑張ることと、電話の応対、接遇マナーは業績向上のための両輪であると思っています。(小林氏)
有力同業者からの賞賛の言葉が品質向上活動のきっかけに
そうした電話応対や接遇について、御社にはどのような課題があったのでしょうか。
私たちは全国のお客さまと取引をしております。しかし、その取引における言葉づかいにおいて、ややなれなれしい言葉や、敬語を省いてしまうようなことが少なからずありました。例えば、近隣にあって親交の深い取引先との間では方言で話すほうが親しみを感じますし、遠慮のない物言いでも許されるでしょう。しかし、それが新規のお客さまからのお問い合わせにおいても、敬語を省く言葉づかいになってしまうこともありました。また、「敬語は冷たい」「相手に距離を感じさせてしまう」といった意識も、社員の間に少なからず存在していました。(小林氏)
そんな時、弊社の電話応対を評価していただく機会がありました。比較的きちんとした言葉づかいのできる社員が有力な同業者からの電話に応対しました。その方は応対に感銘を受けられ、弊社会長に「御社の電話応対はすばらしいですね」と伝えていただいたのです。その話を耳にし、私は「電話応対で人の心を動かせるのであれば、全社的な電話応対品質の向上は避けて通れない。そしてその先に会社の成長がある」と確信しました。(三村氏)
社員に電話応対技能検定(もしもし検定)受検を奨励、将来は報奨金も
どのように、応対品質の向上を目指したのでしょうか。
社員の研修をお願いしていた教育機関に相談したところ、もしもし検定をおすすめいただきました。そこでまず営業、購買、総務より、10名の女性社員の講習をお願いしました。実はこの10名という女性の数は、同規模の地方のメーカーでは高い比率だそうです。私はそうした社員のモチベーションをどう高めていくか、ずっと考えていたのです。もしもし検定は、応対品質の向上だけでなく、こうした社員の新たなやりがいやキャリア形成につながるのではないかという意図もありました。(三村氏)
去年の秋から受講を始め、現在9名が3級に合格し、中にはさらに上の級を受検する意欲を見せている者もいます。近い将来、もしもし検定有資格者に報奨金を出せるよう、社内制度の改正も考えているところです。(小林氏)
もしもし検定の導入で、どのような効果がありましたか。
受検を通じ敬語への拒否感は薄れ、「基本を知っているからこそ、敬語でも、ややくだけた言葉でも、お客さまに寄り添うことができる」と、学ぶことができました。(三村氏)
電話の言葉づかいが明らかに良くなりました。担当の営業社員が不在時でもお客さまのご用件をしっかりとうかがい、より満足いただける応対ができるように、徐々になってきていると思います。(小林氏)
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▲オフィスの様子
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▲本社外観
将来はあらゆる社員に高いコミュニケーション能力を
今後の展望について教えてください。
より上の級を目指したいという社員には、弊社としてもしっかりサポートしていきたいと思います。先ほど三村が申し上げたように、それが本人のキャリア形成につながり、会社としての力にもなると思っていますから。(小林氏)
今後は他部門にも、受検対象を広げようという考えも持っています。営業部門のみならず、高いコミュニケーション能力は有利に働きます。相手の心を掴み、条件をうまくまとめるためにも役立ちますし、外部提供者との折衝においても、また、内部コミュニケーションにおいてもしかりです。(三村氏)

会社名 | 三村鉄工株式会社 |
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創業 | 1952年(昭和27年) |
本社所在地 | 香川県さぬき市末371番地6 |
代表取締役 | 三村 勇雄 |
事業内容 | 油圧機械器具製造 |
URL | https://www.mimura-iron.co.jp/ |
電話応対技能検定実施機関
株式会社ソアテック
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