電話応対でCS向上事例
-岐阜県立岐阜商業高等学校-
「文武両道」の名門校が、電話応対技能検定「もしもし検定」受検を生徒に勧めるわけ
現在、“固定電話を知らない若者”の電話応対能力不足が問題となっています。岐阜県立岐阜商業高等学校は「もしもし検定」の導入で、この課題に取り組みました。
貴校の沿革や特徴について教えてください。
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▲校長 林田 仁氏
「本校は前身である岐阜市立岐阜商業学校の開校から数え、今年が111周年となります。本校の特徴は、校訓“不撓不屈”のもとでの文武両道で、例年、日商簿記一級の高校生合格者の約半数を輩出し、税理士試験の科目合格者、公認会計士試験の短答式合格者も出ております。進学希望者は国公立大学や有力私立大学に進み、就職希望者は岐阜、愛知の有力企業から引く手あまたです。スポーツにおいては部活動の多くが全国レベルで、昨年プロ野球ドラフト1位の高橋 純平選手のほか、オリンピックマラソン金メダリストの高橋 尚子選手も本校出身です」(林田氏)
「高校生の早期離職」の背景にある電話応対能力の不足
そのような学業、スポーツで活躍できる原動力はどこにあるのでしょうか。
「本校には伝統校としてのプライドがあり、生徒、教員とも、不断の努力を続けています。また本校にあこがれ、入学を目指す生徒が多いことも、優れた成果の原動力になっていると思います」(林田氏)
「もしもし検定」に取り組んだきっかけを教えてください。
「今の高校生は、プライベートな携帯電話に慣れ親しんでいるため、見知らぬ人の電話を受けたり、他人あての電話を取り次いだ経験がない者も珍しくありません。しかし就職すると、オフィスにはさまざまな人からさまざまな用件の電話が入ってきて、電話の取り次ぎや、用件の確認など、これまでにない技能が要求されるのです。本校の卒業生からも、こうした電話への応対がプレッシャーになり、仕事が手につかないという声が聞かれました。そこで電話応対能力向上を目指し、受検料が安価で、かつペーパーテストで手軽な『もしもし検定』4級の活用を決めたのです」(吉田氏)
試験対策だけではない実践的補習で電話応対技能の向上を
試験に向けての学習には、どのような形で取り組んだのでしょうか。
「希望者を募り、放課後の補習として行いました。講師には実施機関から伊藤 享子先生をお招きし、実践的な内容での講義をお願いしました。先生には約9時間の講義に使うフローチャートや、就職後も使える独自の教本をご用意いただき、講義内容も座学だけでなく、模擬電話を使った実技も行うことで、実力のつく内容になったと思っています」(吉田氏)
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▲在校生や卒業生がオリンピックに多数出場。運動系の部活だけでなくIT・簿記選手権大会などの文科系の部活動でも好成績を収めています
実際に受検された立場から、感じたことをお聞かせいただけますか。
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▲2015年度卒業生 土谷 瞳氏
「あまり使わない敬語を、電話で使う難しさを感じました。しかし将来必ず知らなければならない『お客さまと電話でお話しする上での話法やマナー』について身につけることができ、本当に良かったと思います。また同時に学んだビジネスマナーについても、これまで知らなかったこと、あやふやだったことがはっきりと理解できました」(土谷氏)
履歴書への「もしもし検定」記載が面接での好印象へ
ご指導なさる立場からご覧になって、いかがでしょう。
「土谷はさらに3級にも挑みました。実技試験向けには自分の応対を録音して聞き直す学習を繰り返し、見事合格しました。この合格による資格取得と『文面での理解と実践は異なる』という経験は、彼女にとって大きな糧になると思います」(吉田氏)
導入後の生徒の意識の変化や、就職に向けての効果について教えてください。
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▲就職指導部長 吉田 一幸氏
「初年度の受検者は約20名でしたが、その数は年々増え、直近では約50名と就職希望者の約4割になりました。直接的な効果は何とも言えませんが、履歴書に『もしもし検定4級合格』と記すことで、志望動機や学校で学んだこと以外の会話の糸口ができて、生徒にとっては自分自身のアピールにつながります。そして受検で学んだビジネスマナーや言葉遣いとともに、面接官に好印象を与えることになると思っています。また就職後も『とても高卒1年目とは思えない落ち着いた電話応対ができる』との評価で、後輩の就職活動に好影響となっているはずです」(吉田氏)
受検しやすい環境作りで高校生の応対能力の底上げを
最後に「もしもし検定」や日本電信電話ユーザ協会について、ご要望があればお聞かせください。
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▲希望者を集い、「もしもし検定」の授業を放課後に実施
「電話応対能力を上げるという意味では『もしもし検定』も4級に止まらず、実技を含む3級取得が望ましいと思いますが、ほかにも資格試験を受ける商業高校の生徒にとって、その費用負担は小さくありません。本校は文部科学省の指定するスーパープロフェッショナルハイスクールに選ばれているため、教員も生徒も多忙で、なかなか新しいことにチャレンジできませんが、その中で新たに『もしもし検定』に取り組んだことを評価していただき、“学割”といった格別のご配慮をいただければと思います」(林田氏)
「『もしもし検定』の知名度をより高めていただければ、企業の合格者への評価も高まり、導入する学校も増加するでしょう。受検者がさらに増えれば、生徒のコミュニケーション能力の底上げにもつながるはずです。“学割”はそうした動きも加速すると思いますので、ぜひご検討ください」(吉田氏)

組織名 | 岐阜県立岐阜商業高等学校 |
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開校 | 1904年(明治37年)4月1日 |
所在地 | 岐阜県岐阜市則武新屋敷1816-6 |
校長 | 林田 仁 |
学科 | 流通ビジネス科、情報処理科、会計システム科、国際コミュニケーション科 |
URL | http://www.kengisho.ed.jp/ |
電話応対技能検定実施機関
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