電話応対でCS向上事例
-株式会社ヤマト-新たな事業分野に踏み出す第一歩は「マナーと応対」の習得から
群馬県前橋市に本社を置く株式会社ヤマトは、「言葉づかいより言葉の意味が伝われば良い」という建設業界の慣習を捨て去り、正しいマナーと質の高い応対でお客さま満足度を高める努力を続けています。
事業概要について教えてください。
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▲取締役 専務執行役員 管理本部長 藤原 昌幸氏
弊社のルーツは第二次大戦後に解体された軍需産業の技術者が集まり、立ち上げた会社です。当時は物資が欠乏していたことから、消防の半鐘から農機具の修理などまで、地域の皆さまが必要とするものを何でも供給してきました。その後、日本の復興とともに空調衛生設備や上下水道及び冷凍冷蔵設備に事業を拡大してきました。現在は建築関連施設、食品流通施設、環境施設を三つの柱に据え、建設製品をワンストップ(基本計画~設計~施工~メンテナンス~資産管理・一部運用から資金供給まで)でお客さまに提供しております。(藤原氏)
古い業界の慣習から脱却し 目指すべきは質の高い応対
御社と電話応対との関わりについて教えてください。
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▲経理部 部長 熊谷 信考氏
各地に事業所を展開していること、また直接お目にかかる機会が少ない取引先もいらっしゃることから、電話は社内向け、社外向けともに重要なコミュニケーションの手段として認識しております。(熊谷氏)
そうした電話の利用において、これまでどのような課題があったのでしょうか。
建設関連産業は、男性中心的な色合いが濃く、またお客さまとの会話も専門的な内容が中心となることから、言葉づかいはさほど重視されない傾向にあり、弊社も例外ではありませんでした。しかし、事業のさらなる拡大を目指す上では、建設業界以外の施主さまと直接コミュニケーションをとることは欠かせません。そうしたお客さまとしっかりした信頼関係を築き、弊社の企業理念である「常に業界最高の技術とものづくりの力を追求し、お客様価値の高い製品・サービスの提供を通して地域社会の発展に貢献します」を実現するためには、正しいマナーや質の高い応対が不可欠であると考えるようになったのです。(藤原氏)
「マナー改善運動」を通じて社員を啓発 意識改革へ
そうしたマナーや応対の向上に向けて、どのように取り組まれたのでしょうか。
2015年に「マナー改善運動」を立ち上げ、2016年4月より本格的な活動を始めました。目標は現場から管理部門まで社内のすべてで「ヤマトの印象」を良くしていくことでした。(藤原氏)
まず人事、総務、経理、情報の4部門から各2名を選び、部長クラスの委員長、副委員長とともに合計10名の「マナー応対委員会」を設立しました。そして、ここで弊社のマナーと応対のあるべき姿、つまり「ヤマトスタイル」について検討しました。その議論を経て、服装、身だしなみから挨拶と敬語、会話の基本など、合計101項目のチェックリストを作り、その実践に励みました。具体的にはこれらの項目から1週間ごとにテーマを決め、毎週の点検活動としたのです。当初は「厳し過ぎる」「銀行のようだ」という声もありましたが、マナーと応対の大切さについて周知することで、社員への理解を広げつつ、現在も活動を続けています。(熊谷氏)
電話応対については、どのような改善を行いましたか。
まずは名乗りと挨拶です。いただいた電話にしっかりと個人名を名乗ることで、お客さまの電話に自分自身が責任を持って応対する意識づけを行いました。また電話には2コール以内で出ることを目指し、もしできなかった場合は「大変お待たせいたしました」と添えることを徹底しました。(藤原氏)
当初は名乗りに恥ずかしさもあったようです。しかし、社内ポスター掲示や朝礼の場でもこうした啓発を続けることで、自然に声の出る社員が増えてきたと思います。(熊谷氏)
電話応対コンクール参加で自社のレベルを認識、電話応対技能検定(もしもし検定)で知識の底上げを
電話応対コンクール、もしもし検定への取り組みについて教えてください。
2017年に、マナー改善運動の一環として日本電信電話ユーザ協会派遣講師の研修を受けた際、コンクールの存在を知りました。自社のレベルを把握したいという思いから前橋地区大会に参加しましたが、成績は思ったほど振るわず、さらなる努力の必要性を痛感しました。(藤原氏)
そこで改めて基礎的な部分からマナーと応対を学ぶため、もしもし検定4級の受検を決めたのです。本社の約40名に4級の受検を呼びかけ、全員が合格しました。(熊谷氏)
これら取り組みの具体的な効果は表れていますか。
支店から「本社の応対が変わった」という声が出ています。そして本社と同じように名乗りと挨拶に取り組む支店も出てきています。こうした本社の考えに自主的に追随してくれる支店が現れたことが、現時点での最も大きな効果だと思います。(熊谷氏)
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▲オフィスの様子
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▲社内に掲示されている
「電話応対3つの重点マナー」のポスター
専門知識を持った社員を育成し マナーと応対力向上で業績アップを
今後の目標について教えてください。
今年はコンクールに向けた社内予選会を行い、選手を選出する予定です。そして地区大会で昨年以上の成績を目標としています。もしもし検定では、より上位級へのステップアップを進めたいと思います。(熊谷氏)
会社としては、マナーや応対の優れた社員が各部署のリーダー的存在になってほしいと思っています。そして将来的にはそうした専門的能力を適切に評価し、活躍の場を提供することも考えています。人材が育ち、弊社のマナーや応対力が高まることは、CSの向上、ひいては業績にもつながっていくはずですから。(藤原氏)
ユーザ協会へのご要望、ご意見があればお聞かせください。
ユーザ協会は、弊社のレベルに合わせ柔軟なご指導をしていただくなど、大変お世話になっております。今後とも弊社のマナーと応対の向上に向け、ご協力いただけるよう、お願いします。(藤原氏)
会社名 | 株式会社ヤマト |
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創業 | 1945年(昭和20年)10月1日 |
本社所在地 | 群馬県前橋市古市町118番地 |
代表取締役社長 執行役員 | 町田 豊 |
事業内容 | 建築・土木、空調・衛生、冷凍・冷蔵、上下水道・水処理・温浴に関する設計・施工・管理に関する事業 |
URL | https://www.yamato-se.co.jp/ |
電話応対技能検定実施機関
公益財団法人日本電信電話ユーザ協会 群馬支部
https://www.pi.jtua.or.jp/gunma/関連記事
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