電話応対でCS向上事例
-株式会社建設システム-電話応対とデジタル接点のバランスを取り、さらなる顧客満足度向上につなげたい
記事ID:C20061
1992年に静岡県富士市で設立し、建設業向けに施工管理ソフトウェアの開発・販売を行っている株式会社建設システム。全国約42,000社のお客さまに対し、約30種類のソフトウェアのサポート業務を提供するコンタクトセンターにおいて、どのような価値観を大切にしているかをお聞きしました。
事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。
東氏:建設システム(KENTEM)は、建設業向け施工管理ソフトウェアの開発・販売を行う会社です。1992年に静岡県富士市で設立し、土木・設備・建築業界に向けた3D施工データの作成、施工管理システム(下写真参照)や工事写真の管理などのクラウドサービスを提供してきました。コンタクトセンターは全国に7ヵ所(札幌、富士、静岡、名古屋、広島、福岡、沖縄)あり、約42,000社のお客さまに対して、ソフトウェアの使い方などのヘルプデスクサービスを提供しています。
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土木管理業務をトータルサポートする施工管理システム「デキスパート」
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遠隔臨場に特化した確認・管理が行える施工管理システム「Site Live」
お客さまの課題に適切な解決方法を提案し、安心できるサポートを目指す
電話応対で大切にしている考え方や電話応対の取り組みについてお聞かせください。
カスタマーサクセスグループ
取締役部長 髙橋 尚也氏
髙橋:コンタクトセンターの使命として「お客さまの課題に適切な解決方法を提案し、安心できるサポートを提供する」と掲げています。よくある言葉に聞こえるかもしれませんが、お客さまが本当に求めていることが、ご質問と違っていることは少なくありません。中にはITの知識があまりなく、うまく説明できない方もいらっしゃるので、お話をよく聞いて問い合わせの背景や意図を的確に理解することを心がけています。また、「資料を修正して明日までに持ってくるように言われた」「この問題を解決しないと現場が動かない」という状況下のお客さまは、切羽詰まった状態で電話をかけてこられます。相手の立場や気持ちを理解して、聞かれたことだけに答えるのではなく、適切な解決方法を適切なタイミングで提示することを大切にしています。
コンタクトセンター
デジタルサポート推進部
部長 東 英孝氏
東氏:最近は電話で問い合わせるのではなく、インターネットで調べられるようにしてほしいという声が多いため、FAQ(よくある質問)を強化しています。アクセス数はここ3年で倍増し、年間で100万PVを超えるほどになりました。それに伴い、電話サポートにもFAQの案内を組み合わせています。例えば、土木工事は、現地調査、施工、検査、納品という基本の流れがあるため、次の段階をある程度予測することができます。1ヵ月後にはここで困りそうだなと思った時には「もし次にこの工程を予定しているのであれば、FAQをご案内しましょうか」など、プラスαの提案をしています。このようにオペレーターは現場の業務を理解している必要があります。また、当社の製品ラインアップは30種類ほどあるため、すべてのソフトウェアを習得するまでに約3年という時間がかかります。1ヵ月かけて座学講義やロールプレイングをし、次の2ヵ月で実際の問い合わせに応対し、慣れてきたら次のソフトウェアの習得に移行するという方法を採っています。応対教育に時間はかかりますが、その分お客さまが求めている情報を、即座に的確に提供できるようになると考えています。
応対教育で工夫している点についてお聞かせください。
電話応対の様子
東氏:上述のとおり、いくつものソフトウェアを同時に扱うのではなく、1つずつ操作や応対の訓練をしています。経験値が増えると1つのソフトウェアの習得期間は短くなりますが、トータルで3年かけて研修するというのは、当社の特徴といえるでしょう。また、コンタクトセンター内だけで通用するスキルではなく、他部署でも活躍できることを見据えた育成をしています。実際に、3年かけて経験を積んだオペレーターは、インサイドセールスの部門や、土木のより専門的な商材を扱う部署へ移動することもあります。常に新しいソフトウェアの応対方法を習得するうちに、自然と他部署でも通用する力が身につくのだと思います。
髙橋:当社は電話応対のマニュアル化を積極的には行っていません。というのも、当社のソフトウェアは種類や機能が多く、その場での臨機応変な応対が求められるからです。マニュアルに頼っていたのでは、お客さまの求めるスピード感で対応することはできません。日々の実務経験を通して知識を定着させることに力を入れています。また、月に一度、電話応対の品質担当が応対をランダムにモニタリングし、「もっとお客さまへの共感が必要ではないか」など、一人ひとりの応対についてフィードバックをしています。お客さまの立場や状況を理解し、共感力を高めることによって、自然と応対品質が高まると思うので、学ぶための環境づくりにも力を入れています。
「電話応対コンクール」は、新人もベテランも肩を並べてチャレンジできるのが魅力
「電話応対コンクール」に取り組まれた経緯、成果を教えてください。
東氏:以前は、独自の方法で応対教育に取り組んでいたので、一般的な応対の知識やスキルを取り入れようと、2008年から継続して電話応対コンクール(以下コンクール)に参加しています。一番の良さは、新人でもベテランでも関係なく、肩を並べてチャレンジできるところです。社内の応対コンテストはどうしても上下関係が見え隠れしますが、第三者機関からの評価は公正で、これまで気づかなかったオペレーターの良い点を評価してもらえるので、驚きを感じることもあります。また、コンクールで得た知識をお互いに共有したり、業務においても共通の言葉で話し合えるのも魅力ですね。2022年のコンクールで、初めて静岡県大会の優勝者を輩出したのですが、多くの方から応援メッセージが届くなど、私たちの応対力の良さが成果として見えたことは嬉しかったですね。また、自分たちが全国に通用するような高い品質で電話サポートをしていることは、メンバーにとっても自信や誇りになったと思います。
電話応対コンクールの今後の目標についてお聞かせください。
髙橋:今は、コンタクトセンター内の決まったメンバーが入賞していますが、今後は入社3年目未満などの若手社員の中から頭角を現すメンバーが出てくると嬉しいですね。そのためには、入賞メンバーから知識や経験を引き継いでいくことが必要だと思います。新入社員向けの電話応対研修は、コンタクトセンターのベテラン社員が講師となって指導していますが、同様に経験を積んだ社員の元で練習を重ねることで、「傾聴力、共感力」を若手社員に伝えていきたいと思っています。
電話応対とデジタル接点のバランスを取って、お客さまの満足度を高めたい
最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。
オフィスの様子
髙橋:以前はパッケージソフトを購入してもらい、保守契約を結ぶというビジネスモデルでしたが、昨今は急速にサービス利用型に移行しています。サービス利用型の場合、お客さまが不満に感じるとすぐに解約されてしまうため、これまで以上にサポート力が重要になってきます。また、電話の問い合わせが増えても人員を投入することには限界があるので、デジタルを活用してお客さまに満足していただける体制を組んでいきたいですね。
東氏:当社は、お客さまとのつながりによって成長した会社ですが、そのつながりをすべて人手で担おうとすると、人員不足やコスト高の問題に直面します。人と人とのつながりの良さを追求しつつも、デジタルで解決できる部分、デジタルのほうが優れている領域を見極めたいですね。電話とデジタル、どちらか片方のみが強くても十分とは言えません。うまくバランスを取っていくことが重要だと考えています。
会社名 | 株式会社建設システム |
---|---|
設立 | 1992年(平成4年)7月 |
本社所在地 | 静岡県富士市石坂312-1 |
代表取締役社長 | 重森 渉 |
事業内容 | 建設業向け施工管理ソフトウェアの開発・販売 |
URL | https://www.kentem.jp/ |
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