電話応対でCS向上事例

-株式会社頸城建工-
社員の自主性を育み、お客さまに喜んでもらうことで100年続く会社にしたい

記事ID:C20022

「住まいのリフォーム専門店アクト」として、新潟県を中心にリフォーム業を展開する株式会社頸城(くびき)建工。企業の成長を支えるのは「働く人の成長」と考え、主体的に行動できる人材の育成に力を入れています。

事業概要についてお聞かせください。

流通スタジオ外観

福田氏:頸城建工は、1970年(昭和45年)に新潟県上越市で設立した公共工事と住宅リフォームを手がける総合建設会社です。おかげさまで、2020年(令和2年)に創立50年を迎えました。設立当初は公共工事がメインでしたが、1993年(平成5年)に建築部門を立ち上げ、『住まいのリフォーム専門店アクト』として新潟県内6店舗で、リフォームに特化した事業を展開しています。

電話応対マニュアルはあえて作らず、「お客さまのお名前で呼ぶ」を最低限のルールに

電話応対の体制や、応対の際に心がけていることを教えてください。

代表取締役 福田 孝則氏

福田氏:建築部門には約50名在籍しておりますが、電話応対を担う専門部署はなく、社員全員が電話に応対しています。「3コール以内で取る」、「お客さまのお名前で呼ぶ」といった基本的なルールはありますが、自分の頭で考えて臨機応変に対応することが大事なので、マニュアルはあえて作っていません。「お客さまのお名前で呼ぶ」というルールは、以前、一流ホテルに宿泊した際に、「福田さま、福田さま」と呼ばれたことに驚き、そのおもてなしの心にワクワクしたことがきっかけでした。以来、社員にも一流ホテルの姿勢を学んでもらいたいと、毎年そのホテルで会議や研修を行っています。また、電話がかかってきた際に、瞬時にお客さまの情報が分かる環境が必要と考え、二十数年前にCTI※1を導入しました。その当時、中小企業でCTIを導入しているところはまだなかったのですが、いち早く導入することで、どの店舗で誰が電話に出てもお客さまをお名前で呼べるようになりました。「お客さまに寄り添う応対」といっても方法はさまざまですが、お名前で呼ぶことは、目に見えて距離を縮められる一つの方法だと思います。

管理部
カスタマーサポート室
チーフ 大槻 史恵氏

大槻氏:住宅のリフォームはお客さまのプライベート空間に入ることになるので、お客様はその業者選びには慎重です。ですから、ファーストコンタクトとなることが多い電話での印象はとても大切だと考えています。また、初めての電話では「何を話せばよいかわからない」とおっしゃるお客さまが多いので、こちらから積極的に質問をして、1つでも多くご要望を引き出すことを心がけています。そうすると、「親身になって相談にのってもらえている」という安心感を持っていただけるので、スムーズにお話を進めることができます。

コロナ禍における電話応対の工夫や、ICTの活用についてお聞かせください。

福田氏:工夫というわけではありませんが、昨年の1回目の緊急事態宣言時は、お客様の安全を第一に考えて1ヵ月間、訪問をやめ電話でのフォローに切り替えました。コロナ禍では人と人との関わりが疎遠になりがちだったり、平時より時間にゆとりがある為か、電話フォローはお客様に喜んでいただけました。それを機にお客様との信頼関係がより深まったように感じます。
 また、弊社では20年ほど前から自社で開発したテレビ会議システムを使用していました。そういったものの利用に慣れていたこともあり、コロナ禍ではいち早くオンライン商談に切り替えることが出来ました。現在もお客様の状況に応じてオンライン商談を活用しています。

社員が働く喜びを感じることで、お客さまのおもてなしにつなげたい

社員の「おもてなしの心」は、どのように育成しているのでしょうか。

福田氏:会社として指示・命令を出すのではなく、社員の自主性を重んじています。どうすれば自分のスキルが向上するか、仕事が楽しくなるか、お客さまに喜んでもらえるかを主体的に考えて行動してほしいという思いからです。また、社員の成長こそが会社の成長につながるという考え(図参照)から、ES※2も特に重視しています。一流ホテルでの研修もその一環であり、社員から募集して決めている「表彰基準」もES を高めるためのものです。表彰の際に大切なことは、「どのような成績を収めたか」ではなく、「どれだけ周囲に影響を与えたか」だと説いています。人にしてもらって嬉しかったことを共有する「サンキューカード」や、1ヵ月で最も成長した人を表彰する「BMC(BestMotivation Creator)」という制度があり、表舞台で日の当たる社員だけでなく、縁の下で支える社員が表彰を受けることで、仕事のやりがい、働く喜びを感じてほしいと思っています。

肩ひじを張らず、周囲のアドバイスを素直に受け入れることで成績がついてくる

電話応対コンクールに取り組まれたきっかけを教えてください。

福田氏:社員の一番の喜びは、お客さまに喜んでもらえること、そのためには、お客さまに心地よいと思ってもらえるような電話応対スキルが必要だと考え、25年以上前から取り組んでいます。2020年度は会場審査ではなく録音審査でしたので参加しやすかったこともあり、全社で30人ほどが参加しました。

電話応対コンクールで心がけていることを教えてください

大槻氏:「良い成績を収めなければならない」と思うと、普段使わないような言葉づかいになってしまうので、肩ひじを張らないこと、自然体でいることが大切だと思います。個人的には、初心に帰ることも大事なことでした。電話応対コンクールには何度か出場していますが、地区大会ですら入賞できず、あきらめかけた時期もありました。そんな時に先輩が全国大会に出場したので、「自分でも全国に行けるかもしれない」と勇気が湧いて一念発起しました。以前はテクニックに走るところもあったのですが、周囲のアドバイスを素直に受け入れると、自然と成績もついてくるようになりました。2020年度の全国大会では「優秀賞」をいただけたので、自分の応対に自信が持てるようになりましたね。ただ、上には上がいるので、現状に満足せずさらに上を目指そうと思っています。そういう気持ちにさせてくれるのが電話応対コンクールだと思います。

福田氏:弊社はもともと、礼儀・礼節を大切に考え「日本一の挨拶」をスローガンに掲げてきました。電話対応コンクールもその延長で、お客様に礼を尽くした、もっとよい対応をしたいと思った社員が自主的に参加し、継続してきました。その自主性が重要なのだと思います。コンクールの会場には私も見学に伺ったことがありますが、ピリピリとした雰囲気もありますよね。そんな中、弊社の社員は、もちろん上位を目指して緊張はしていると思いますが、他社さんの対応も素直に参考にさせていただいたり、どこか楽しそうにやっています。それが強みでもあり、社員の成長に繋がっていると感じます。

頸城建工の未来を創る人材の確保、育成に力を入れていきたい

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

福田氏:創立50年を超え、100年続く会社にすることが大きな目標です。そのためにも、時代の変化に対応しなければなりません。特にコロナ禍で、変化に対応できない者が淘汰される世界だということを改めて認識しました。私たちはリフォームという形のないものを売っているため、社員一人ひとりが大切な経営資源です。今後は、頸城建工の未来を創る人を育てるためにも、時代の変化に対応できる人材の確保、育成に力を入れていきたいですね。

※1 CTI: Computer Telephony Integration の略で、コンピューターと電話を統合して利用する技術。
※2 ES:Employee Satisfactionの略で、従業員満足度のこと。

会社名 株式会社頸城建工
設 立 1970年(昭和45年)5月
本社所在地 新潟県上越市頸城区西福島522-3
資本金 5,000万円
代表取締役 福田 孝則
事業内容 総合建設業、土木(公共事業)、建築(住宅リフォーム)
URL http://www.kubiki-kenko.com/
〔ユーザ協会会員〕  

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