電話応対でCS向上事例

-株式会社アイリスプラザ-
事業の変化・成長スピードに合わせてカスタマーサポートツールとクラウド型PBXを導入

記事ID:C20104

アイリスグループの一角として通信販売の業務を行うアイリスプラザ。“見える化”を進める上で課題となっていたコンタクトセンターの環境・設備に関する取り組みや導入効果についてうかがいました。

御社の業務内容とコンタクトセンター部門の課題についてお聞かせください。

アフターサービス部
コンタクトセンター
センター長  吉田 修也氏

 アイリスプラザは「いつもあなたのそばに」をコンセプトに、消費者の生活をより豊かにするパートナーを目指して事業を展開しています。現在、会員数は400万人に達し、アイリスオーヤマ商品を中心に家電や食品をはじめ、家具、ペット用品、日用品など30種のカテゴリーの商品を約50,000点取り扱っています。アイリスオーヤマの公式通販サイトのほか、大手ECサイトに出店しており、私たちコンタクトセンターでは商品購入前の相談や購入後の返品、お届け日の確認、その他サービスの相談といった問い合わせの応対を電話やメール、チャットで受けつけています。
 これまでの応対業務における課題は多岐にわたりますが、事業の変化・成長スピードに対してコンタクトセンターの環境・設備が追いついていないことが根本的な問題だったと考えています。数年前から、オペレーターの生産性などについての“見える化”ができていないという課題がありましたが、それでも当時の体制・人員で電話やメールでのお問い合わせに十分対応できていました。しかし、2020年のコロナ禍以降、状況が激変したのです。コロナ禍でマスクが不足する中、アイリスオーヤマが国内での生産をいち早く始めたというニュースが広まり、お問い合わせが急激に増加しました。当時は、お問い合わせいただいたうちの半数ほどしか対応できない時期もありました。コロナのピークを過ぎ、お問い合わせ数も落ち着きましたが、認知度の上昇とともにお問い合わせ内容も多岐にわたるようになりました。そうした期待に応えるためにも、人海戦術的な対応ではなく効率的な応対環境を構築し、改善につなげる必要があったのですが、そのころ使用していたシステムはオンプレミス型(情報システムを自社で管理する形態)であり、複数のツールを継ぎ足して活用している状態でしたので、すぐに手を打てる環境ではありませんでした。そこで、応答内容の分析と情報の可視化という着眼点を持ち、課題解決のための取り組みを始めました。

ツール・システム導入までの経緯をお聞かせください。

同コンタクトセンターではアフターサービスに関する問い合わせやご意見の受付が主で、商品サポートは別のコンタクトセンターが担当している

 まず、電話やメールに関連して何を“見える化”できると良いのかそれぞれの課題を洗い出し、既存システムでほしいデータが取得できないかを試した上で、外部にも目を向けてシステム刷新を進めました。先ほども触れましたがデータ収集が定量的にできていない点が問題として挙がりました。電話については、オンプレミス環境でIVR※1を一部活用してはいたものの、IVRからオペレーターに接続するまでの待ち時間がブラックボックス化するなどで数値が十分に収集できていませんでした。そのような状況では、データ分析による問題の発見や改善策の立案を進めることができません。メールに関しては、返信や解決までの処理件数など問い合わせに対して回答が完了しているかどうかの評価軸しかなく、また、対応のアンケートも取得自体が目的化され、データを活かした次へのアクションにつなげられていませんでした。こうした点を踏まえ、機能や価格、サポート体制や柔軟性の観点から検討し、問い合わせ管理やFAQの構築などが可能なカスタマーサポートツールを基幹ツールとして、電話についてはクラウド型PBXの導入をそれぞれ決定し、1年半ほどで現場運用を開始しました(図参照)。

問い合わせ管理やFAQの構築などが可能なカスタマーセンターのシステム。カスタマーサポートツールを基幹に、クラウド型PBXと連携して活用している

導入後の効果はいかがでしょうか。

同コンタクトセンターではアフターサービスに関する問い合わせやご意見の受付が主で、商品サポートは別のコンタクトセンターが担当している

 以前の電話対応システムではIVRの情報を基に適切なオペレーターへ配分する「スキルルーティング設定」ができない、一部の着信に関しては着信時に番号が表示されず、お客さまにヒアリングしてから対応を行うため通話時間が長くなり、ご迷惑をおかけするという問題がありましたが、システム刷新でそれらを解決できました。そして、ダッシュボード機能を通じてこれまで見えていなかった部分をリアルタイムで“見える化”できたことが何より大きな効果と考えています。電話については通話時間だけではなく、応答率や保留時間、保留割合、有人接続までの待ち時間やIVR完結率、処理時間など、メールについては対応率や返信率、お客さまへ返信するまでの時間や解決するまでの対応回数、顧客アンケート評価といった項目ごとに、予測分析やオペレーターの生産効率につながる指標について定量的な目標を設けることができ、CX向上、サービスレベルの向上に向けた取り組みができるようになりました。これはオペレーターの生産性向上にも役立っています。例えば平均処理時間(AHT)を挙げると、システム刷新前と後では、10~15%短縮しています。もともとオペレーターの実力値としてその素地があったものの、目標が示されたことで具体的なアクションにつなげやすくなったのだと思います。

今後の展開について教えてください。

公式通販サイトや複数の大手ECサイトで販売されるアイリスオーヤマの商品

 一例を挙げると、IVRに電話番号宛てに送受信できるメッセージサービスであるSMS※4を連携させてメッセージ送信することを考えています。電話の内容によって送信するSMSの内容を変えたり自動音声で回答することで、オペレーターが対応できなかったお客さまにも応対できるようになります。また、メールでのAI 活用も検討しています。お客さまのこれまでの問い合わせ傾向から回答例を事前に用意し返信することができます。チャットに関しては、今後は電話やメールと同様、"見える化"を進めたいと考えています。これまでの課題の完遂を目指すとともに、AIなどを活用した業務の平準化と効率化、CXの向上に向けた取り組みを進めたいと考えています。

※1 IVR
Interactive Voice Responseの略。顧客からの入電の際、あらかじめ用意された音声による案内や顧客の入電理由に応じた番号入力で、コミュニケーターへ対応の振り分けを行うシステム。
※2 CX
Customer Experienceの略。商品やサービス購入前の段階から購入後のサポートまでの一連の期間に、お客さまが企業に対して持つ評価のこと。
※3 EX
Employee Experienceの略。従業員が働くことを通じて得られるすべての経験・体験のこと。
※4 SMS
Short Message Service(ショート・メッセージ・サービス)の略。電話番号宛てに送受信できるメッセージサービスのこと。
社名 株式会社アイリスプラザ
創業 1991年(平成3年)3月
所在地 宮城県仙台市青葉区中央2丁目1-7 アイリス青葉ビル7F
事業内容 インターネット通信販売業
URL https://www.irisplaza.co.jp/
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