電話応対でCS向上事例
-株式会社ベルーナ-「すべてはお客様のために」を感謝、安心感、共感、積極性の4つの行動指針で追求する
記事ID:C20050
1968年(昭和43年)に埼玉県上尾市で創業し、衣類や生活雑貨の通信販売事業を中心に多様なサービスを展開している株式会社ベルーナ。「すべてはお客様のために」を共通の想いとして掲げるアパレル・雑貨事業のコールセンターの皆さんに、日々の電話応対で大切にしている価値観を聞きました。
事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。
カスタマーサービス本部
オーダーサポート部
カスタマーサービス
部長代理 塩見 美延氏
塩見氏:ベルーナは、『お客様の衣食住遊を豊かにする』という経営理念のもと、1968年(昭和43年)の創業以来「顧客志向、顧客密着」を合言葉に通信販売をはじめとして、多様なサービスを展開してきました。グループ売上の約半分を占めている「アパレル・雑貨事業」では、2022年3月末の登録会員数が2,200万人を超えました。その8割は40代以上のミセス層のお客さまで、特に65~69歳の女性会員比率が高いのが特徴です。「アパレル・雑貨事業」のコールセンターは、埼玉県内に5拠点、千葉県内に1拠点あり、約1,000名体制で全コールの約65%を受電しています。また、BCP対策の意味でも、宮城、大阪、徳島、沖縄に外注のコールセンターを設けています。また、コロナ禍で通信販売の需要が大幅に高まり、グループ全体の受電体制を強化する必要性が出てきたため、事業部の垣根を超えた「マルチセンター化」を推進しています。マルチセンターにおいては、事業部ごとに異なるお客さま層に対応するため、相手の年齢や状況にあわせた応対や、複数の事業の知識が求められるなど、従来よりも仕事の難易度は高くなります。着任するオペレーターが困惑しないよう、経験の長い社員が気を配りながら、指揮や管理にあたっています。
「すべてはお客様のために」を実現するために、4つの行動指針を制定
電話応対の上で、貴社が大切にしている価値観をお聞かせください。
大宮オーダーレセプションセンター
主任 兼 カスタマーサービス本部
オーダーサポート部
カスタマーサービス主任
藤川 美花氏
藤川氏:「すべてはお客様のために」という想いで、どこよりも親しみやすいコールセンターを目指しています。そうした想いをオペレーターと各センターの管理者が意識できるよう、『クレドカード※』を作成しました。このカードでは「感謝」「安心感」「共感」「積極性」の4つの行動指針を定めています。行動指針を定めたのは2012年で、「すべてはお客様のために」という言葉が示すところを皆で統一化したほうが良いと考え、外部講師を招いて半年間かけて策定しました。参加したオペレーターや管理者で「どうしたらお客さまに喜んでもらえるのか」をとことん話し合い、アイデアを絞り出して出来上がったものがこの4つの行動指針なのです。
4つの行動指針を定めて、どのような効果がありましたか。
コールセンターの行動指針を記載した携帯式カード
塩見氏:やはり目指すところを共有できたことが大きいですね。実際に、新しく入ったオペレーターが朝礼で、「お客さまから厳しいお叱りがあった時に、どうすればよいのだろうと言葉に詰まってしまったのですが、その時、クレドカードを握りしめて一生懸命お客さまに説明していた先輩オペレーターの姿を思い出し、勇気が出ました。行動指針があることで、難しい状況でも落ち着いて、お客さまに寄り添った応対ができたのだと思います。最後にはお客さまも笑って電話を置いてくださいました」と発表してくれたのを見て、クレドカードの効果を実感しました。
クレドカードに記載されている4つの行動指針はどのように浸透させていますか。
電話応対の様子
塩見氏:朝礼・昼礼・夕礼などで、日々クレドカードを唱和しています。新しく入ったスタッフに対しても、トークや発声の技術を学ぶよりも先に、4つの行動指針に基づいた接客の心構えを伝えたり、実際の電話応対が4つの行動指針に沿ったものになっているかという観点で個別にフィードバックしています。やはり、日ごろから行動指針を意識していないと、とっさの時に応対ができないため、オペレーターから管理者まで、組織全体で意識を統一できるよう、4つの行動指針が書かれたクレドカードを常に意識するよう工夫しています。
選手の「自分もそうなりたい」という想いを引き出し、埼玉県大会で上位入賞の常連に
電話応対コンクールに取り組まれたきっかけを教えてください。
カスタマーサービス本部
オーダーサポート部
カスタマーサービス
雨宮 美佳氏
雨宮氏:電話応対コンクールには、「すべてはお客様のために」という想いを届けるために、応対技術を向上させる目的で参加しました。電話応対コンクールでは、要求の難易度の高いお客さまに対して、しっかりとした応対が必要となるため、実践的なスキルが身につきます。実際に、コールセンターの中心となるSV(スーパーバイザー)のほとんどが電話応対コンクールに参加しており、多数が県大会にも出場しています。参加した選手の成長ぶりや、スキルアップして自信に満ちた応対をする姿を間近で感じることにより、「自分もそうなりたい」と思うメンバーが増えるという良い循環が生まれています。また、県大会での上位入賞者の音声は、部門長、役員、社長などの幹部が一堂に集まる部門長会議でも共有されます。社長の期待も大きいので、私たちは期待に応えられるように応対スキルに磨きをかけています。
藤川氏:出場にあたっては自薦も他薦もあるのですが、新人オペレーターに電話応対コンクールの全国大会の動画を見せると、「すごい。私もこうなりたい!」という気持ちが湧き上がって「やってみようかな」という人が多くなってきました。実際に参加すると、やはり自身のスキルの向上を感じて「参加して良かった」という声が多くありますね。また、個人だけではなく、部署全体の応対品質向上にも良い影響を与えていると思います。
今のよい流れを形成するまでに、どのような工夫やサポート体制があったのでしょうか。
研修の様子
雨宮氏:今はよい流れができていますが、以前は出場する選手をサポートするような体制がなく、個人の想いや力量に頼っていました。最近は、各拠点で選手をしっかり支えていこうと、管理者の意識も高まっています。また、オペレーター一人ひとりが電話応対コンクールの練習風景を間近に感じ、過去の大会のYouTube動画を見ることで、コンクール出場が特別なことではなく、「いつか参加してみたい」という意識を醸成することにつながっているのだと思います。周囲の人が成長した姿を見て、自分の成長に重ねられることが、電話応対コンクールに参加し続ける理由でもあり、経験者が次の参加者を自然にサポートするような流れにつながっているのではないでしょうか。
電話応対技能検定(もしもし検定)は、どのように活用されていますか。
コールセンター
塩見氏:会社で一斉に取り組んでいるわけではなく、コンクール指導者を中心に自らが積極的に「もしもし検定」の資格取得を目指している状況です。というのも、コンクールを通して学んだ知識や技術、また、セミナーに参加して様々な講師から教わる知識が蓄積されると、もっと体系的に理解したい、その成果を目に見える形にしたい、という気持ちが高まるからです。実際に資格取得を契機に、応対品質を統括する役割に抜てきされた人もいます。人材の活躍の場を広げるという点で、「もしもし検定」はとても役立っていると思います。
マルチセンター化が進んでも、同じようにお客さまにご満足いただける応対を目指す
最後に、今後の目標についてお聞かせください。
商品カタログ
塩見氏:コールセンターに共通する課題として、「キャパシティの確保」「応対品質の向上」「ローコスト運営」の三つがあります。それらのバランスを保ちながら、ベルーナでは「いつどんなお客さまからお電話をいただいても、どのオペレーターが応対しても、同じようにご満足いただける応対」を目指しています。言葉にするのは簡単でも実現は容易ではありませんが、その意識が根底にないとコールセンターは成り立ちません。コロナ禍でグループ全体の受電体制を強化するため、事業部の垣根を超えた「マルチセンター化」を推進していますが、どの事業部のお客さまにもご満足いただけるような応対を目指したいですね。
- ※ クレドカード
- 企業の信条・行動指針を簡潔に示した言葉を記載したカード。
会社名 | 株式会社ベルーナ |
---|---|
創 業 | 1968年(昭和43年) |
本社所在地 | 埼玉県上尾市宮本町4番2号 |
代表取締役社長 | 安野 清 |
事業内容 | アパレル・雑貨事業、化粧品健康食品事業、データベース活用事業など |
URL | https://www.belluna.co.jp/ |
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