電話応対でCS向上事例
-株式会社太郎庵-ランプのような温もり、情熱を感じられる応対こそが太郎庵らしさ
記事ID:C20016
シンボルマークのランプのように、お客さまに温もりと情熱を感じてもらえる接客応対を大切にしている株式会社太郎庵。老舗菓子店でありながら、地元会津の日本酒蔵とのコラボ商品を開発するなど、新たな取り組みで地域の活性化にも貢献しています。今回は、太郎庵が接客応対で大切にしていることを高橋氏にうかがいました。
事業概要についてお聞かせください。
太郎庵は、福島県会津地方の歴史や文化をお菓子で表現するというコンセプトのもと、1949年(昭和24年)に創業しました。会津坂下町という小さな町にありながらも、日本で一番のお菓子屋さんになりたいという思いを込めて、『太郎庵』という名前にしたそうです。会津では男の子が生まれると、菅原 道真公のように立派に育ってほしいと『会津天神』と呼ばれる張り子の人形を贈る風習があります。この張り子にちなんで作られた『会津の天神さま』というチーズとバターのクリームが入っている栄養満点のブッセが子どもから大人まで人気の商品です。
太郎庵に来るとほっとする、ワクワクすると感じてもらえる応対を
御社の接客応対の特徴についてお聞かせください。
支援部
マネージャー
高橋 康予氏
太郎庵のシンボルマークはランプなのですが、ランプは温もりの象徴であると同時に、燃えている炎が情熱の象徴でもあります。私たちはランプのように温かく、情熱を持ってお客さまに寄り添い、「太郎庵に来るとほっとするな、ワクワクするな」と感じていただけるような応対を目指しています。また、電話応対はお客さま応対の一つと捉えているので、研修では「いつも笑顔でいること」「身振り手振りで伝えること」声でも微笑みが分かるような「笑声が大事であること」を伝えています。コロナ禍で常にマスクをした状態で接客をするようになり、目で感情を伝えることに一層気をつけるようになりました。マスクで隠れてしまうと、これまで、口元の情報量がどれだけ多かったのかを実感しますね。また、余談になりますが、太郎庵には音楽や芸術が趣味という人が不思議と多いのです。お菓子は、生活必需品というよりは嗜好品にあたるので、それが無くても生きてはいけます。ただ、それがあるとワクワクして、心が豊かになるという点ではお菓子と音楽や芸術には共通点があるのかもしれません。お菓子作りでも、お客さま応対でもそのような情緒的なよさ、豊かさを大切にしたいと思っています。
コロナ禍で、接客で応対にはどのような変化がありましたか。
店舗での接客の話になりますが、以前は来店されたお客さまに試食やお茶を勧めていたのですが、コロナでできなくなりました。また、ゴールデンウイークやクリスマスなどの繁忙期は店内が大変混雑するのですが、感染を防ぐために昨年は入場制限をしました。これまで当たり前のようにやってきていたことを、コロナによって変えざるを得なくなりました。ただ、悪いことばかりではありません。入場制限によってお客さまにもスタッフにもゆとりが出て、ゆったりと買い物をしていただけるようになりました。商品のお渡しも混乱せず、お客さまのお見送りをしてから、次のお客さまを案内するなどの応対もスムーズにできるようになりました。また、社内業務においても無駄なもの、不必要なものがみえてきて、リモート会議に変更したり、勤怠管理はデジタルに変更する予定です。デジタル化という観点では、お客さま同士でお菓子を食べながら語り合う「仲良し会」という座談会があるのですが、試験的にリモートでも行ってみました。
ランプのような「太郎庵らしさ」をどのように継承しているのでしょうか。
社員が提出する日報に対して、社長がコメントを返すという「社長通信」(右ページ参照)が、1年365日、お正月も休まず毎日配信されます。それによって、太郎庵での大切な価値観や理念、行動基準を共有し、社員全員が分かるようになっています。レジの使い方など機能的なことはマニュアルで伝えることができますが、文化や価値観など情緒的なことはマニュアルにはできません。お客さまのお言葉や先輩たちの事例、背中を見て学ぶものだと思っています。社長通信は手書きで書かれており、ファクシミリで各店舗に配信されます。アナログですよね(笑)。社内の業務はチャットツールなどでやり取りもしているのですが、やはり手書きだと気持ちがよく伝わるような気がします。デジタル化で無駄を効率化することも重要だと思いますが、アナログの良さを大切にするところも太郎庵らしいと思っています。
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「社長通信」
「電話応対コンクール」に出場した若手社員全員の成長を強く実感できる
電話応対教育について取り組んでいることを教えてください。
若手の教育の場として「電話応対コンクール」を活用しています。コンクールには3年目くらいの若手社員が出場するのですが、地区大会や県大会までの数ヵ月間、過去の出題問題でトレーニングを重ねています。実際にはお客さまはさまざまな状況下で電話をかけてこられるので、研修でもお客さまがどのような状況、心情であるかを聞き取ることから始めています。最近は、業務時間を利用して週に1回、2時間程度の練習をしています。さらに、自分の時間を使って練習している社員は格段と成長を感じますね。コンクールに出場して賞を取ると、本人の自信につながったり、お店のお客様も喜んでくださったりするので、賞を取ることも大事だと思っています。ただ、太郎庵としては、出場する社員全員の電話応対力を高めることが参加の意義だと考えているので、どの賞を目指すというような目標はありません。
また、コンクール出場の成果は、「参加者全員に必ずある」と思っています。というのも、言葉の一つ一つに対して深く考える習慣がつくので、お客さまの心情に寄り添えるようになるからです。また、電話への苦手意識がなくなることはもちろん、普段の業務やお客さまへの応対に自信がつき、良い意味で「大人になったな」と実感します。トレーニングは業務時間外になることもあるので、参加の判断は最終的に各自に任せています。ただ、前向きに取り組む社員が多いので、学びたい、向上したいという風土が会社の中にあるのかもしれませんね。
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店舗スタッフ
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工場スタッフ
結婚相手のご両親から「太郎庵で働いている人なら安心だね」と言われるような会社になりたい
最後に、今後の目標についてお聞かせください。
お客さまにとっても、地域にとってもランプのように「太郎庵があると安心する」と思われるような存在になりたいです。それと同時に地域をリードするような会社が理想です。それには、会津の良さ、古き良きところを残しつつも、チャレンジする姿勢が大切だと思っています。新しい試みや新しい商品を期待されるような会社、地元の人が誇りに思ってくれるような会社、例えるなら、社員が結婚する時に、お相手のご両親から「太郎庵で働いている人なら安心だね」と言われるような会社になりたいですね。
会社名 | 株式会社 太郎庵 |
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創 業 | 1949年(昭和24年)8月 |
本社所在地 | 福島県河沼郡会津坂下町字福原前4108-1 |
代表取締役 | 目黒 徳幸 |
事業内容 | 和菓子、洋菓子製造販売 |
URL | https://www.taroan.co.jp/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
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