電話応対でCS向上事例

-株式会社アド・ダイセン-
クライアント企業の立場で、 お客さまの「心が動く応対」を

記事ID:C20019

“顧客”から“個客”へというスローガンを掲げ、ダイレクトメール事業を中核に、サービスの幅を広げてきた株式会社アド・ダイセン。ダイレクトメールがお客さまに効果的に届いているかを確認するために立ち上げたコールセンター事業では、お客さまの「心が動く応対」とは何かを日々追求しています。

事業概要についてお聞かせください。

 アド・ダイセンは、ダイレクトメール(以下、DM)によるリテンションマーケティングを中核事業とし、DMのデザインから制作、加工、発送までをトータルで行っています。コールセンター事業は、私たちが制作したDMがお客さまに正しく、良い品質で届いているかを確認するために立ち上げた事業です。常勤スタッフは150人ほどで、うち、スーパーバイザーが30人ほどおります。業務の多くはDMに付帯するもので、例えば、クライアント企業さまのイベント告知後の事務局対応や、通販カタログ送付後の受注センター業務など、さまざまな役割を担っています。(上田氏)

  • 「メールセンター」は全国7ヵ所で稼働中

  • DMの加工・封入を行う「メールセンター」のエントランス

「クライアント企業の理念を反映した応対とは何か」をスタッフと協議する

電話応対において、御社が心がけていることを教えてください。

アド・テレサポート本部 営業部
シニアマネージャー 上田 ゆかり氏

 お客さまの「心が動く応対」というのが私たちの目指すところです。クライアント企業の立場で応対する電話ですので、お客さまがその企業に対してどのような印象を受けたのかを常に意識しています。
 研修では、その企業を理解することから始めており、会社の歴史や企業理念、社風などを事前に学習しています。その中では、仮にお客さまから苦情の電話があった場合には、どのような提案をすれば企業理念を反映した応対になるのか、お客さまがどのような印象を持たれるのかを、スタッフで話し合うこともあります。
 社訓の由来が書かれた資料などをご提供いただいた時などは、それを解読しながら、どのような対応、提案が社訓に見合うものなのかを協議して、企業文化や風土を反映した応対になるよう心がけています。(上田氏)

クライアント企業の文化や風土を150人のスタッフと共有する上で、どのような工夫をしていますか。

 特別なことはしていません。まずは、基本的なモニタリングとフィードバックをきちんと行うこと、それにプラスして一人ひとりに成長の喜びを感じてもらうために社内コンテストを実施しています。社内コンテストの案はいろいろあるのですが、例えば、電話応対の最初の「名前を名乗る」ところだけを聞いて、感じの良さを競い合うものがあったり、コミュニケーターがお互いの仕事ぶりや行動など、いいところを見つけて投票するようなものがあります。このような場では、はきはきと話している人や、お客さまの心に響くような応対をしている人に票が入りますね。これらの取組みによって、良い電話応対をしている人のトークを自ら進んで聞くようになってほしいという意図もあります。(上田氏)

20年以上続く応対の基礎研修が、電話応対コンクールに通じていたことに気づく

電話応対コンクールでは優秀な成績を修めていますが、何かコツはありますか。

アド・テレサポート本部
人財開発担当 加地 倫子氏

 私たちの電話応対の基礎研修では、言葉の選び方も大事ですが、それをどう伝えるか、どう聞こえるかを意識し「活き活きした話し方」であることを大切にしています。丁寧な言葉を並べても、お客さまの心に届かないような応対では意味をなしませんし、さらに「心が動く応対」とは何か、を常に心に留めています。
 電話応対コンクールでは、「どのように話をすればお客さまの心に届くのか」「どのように表現すると分かりやすいのか」を、一人のお客さまについてじっくりと考える時間を持てたことが貴重な経験となりました。また、コンクール参加にあたり、さまざまな先生方から音声表現の大切さを学びましたが、それは弊社の基礎研修にも通じており、当たり前のように思っていたことを一生懸命に極めると、コンクールにも通じるのだ、ということが新たな発見でした。(加地氏)

アド・ダイセンの電話応対の基礎研修とはどのようなものですか。

 内容は、ごく当たり前のことです。電話は相手が見えないコミュニケーションですので、いかに具体的に相手をイメージするかが大切です。1.2メートル先に相手がこちらを向いて座っているとイメージして、その人に向かって話をしなさい、ということがテキストの1ページ目に書いてあります。サラッと読み終えてしまう分量のテキストですが、これまでの実体験をもとに改めて読み込んでいくと、大切なことはすべてそこにあったなと感じます。その教えは、20年近く私どものコールセンターの基本としてあり続けています。また、電話応対技能検定(もしもし検定)指導者向けの講座で、岡部達昭先生の「言葉は脳に届く、声は胸(心)に届くものだから、音声表現の指導は大事なのだ」という言葉を聞いた時、応対の基礎研修のとおりだ、これからも大切に伝えていかなければと改めて認識しました。(加地氏)

精神論ではなく、ロジカルかつ具体的に改善方法を指導する

電話応対教育において、工夫していることはありますか。

 指導する立場としては、いかにコミュニケーターに負担なく弱点を克服させてあげられるかを強く意識しています。例えば、応対が暗いので「もっと明るく」と言っても、それは本人の心がけに頼ることになり、改善されなければ本人の心がけが悪いということになってしまいます。そういった精神論ではなく、相手に明るく聞こえるには、口の開き方なのか、発声の仕方なのか、体の使い方なのか、どこをどうすれば良くなるかを、具体的かつロジカルに教えることを心がけています。(加地氏)

電話応対コンクールに10年間参加されているとのことですが、どのような変化を感じていますか。

 昨今の電話応対コンクールは、日ごろの応対力が高くないと「よし」とはしてくれない、よりリアルな力が試されるものに変わってきていると感じます。大会の直前は、どうしてもコンクールに特化した指導内容になるのですが、それよりも日常の応対力を高めていくことが、県大会・全国大会出場のカギとなると思います。そのため大会前には特別なことは何もせずに、コンクールは日頃の成果を試す場のみと割り切ることもできます。ただ、私たちはコンクールに向けて一生懸命トレーニングに取り組むことで力を養い、その力をどれだけ日々の現場の応対に活かせるかという視点で捉えています。コンクールで培った力を現場の応対に活かす、日ごろの現場での応対力がコンクールにもつながる、そういった循環がうまれるから、電話応対コンクールに参加する意味があるのではないか考えています。(加地氏)

自動化、効率化を進めると同時に、心が動く応対とは何かを追求したい

最後に、御社としての今後の目標についてお聞かせください。

 テレビショッピングの受注業務も行っているので、自動応答の対応は必須だと考えています。また、コロナ禍の中ではBCP※対策の重要性が高まっているので、遠隔からでも操作できる受注管理システムや、在宅コールを導入して効率化を図りたいですね。それと同時に、コールセンター全体でお客さまの心に届き、さらには心が動くような応対とはどういうものかを一層追求していきたいと考えています。(上田氏)

※ BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)の略称で、企業が自然災害、疫病などの緊急事態を想定して、中核となる事業の継続、早期復旧に向け、方法や手段を取り決めておく計画のこと。

会社名 株式会社アド・ダイセン
創 業 1992年(平成4年)1月28日
本社所在地 大阪府大阪市西区阿波座1-3-15 関電不動産西本町ビル7階(旧JEI西本町ビル)
代表取締役社長 大嶋 禎
事業内容 広告代理業
URL https://www.ad-daisen.co.jp/
〔ユーザ協会会員〕  

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