電話応対でCS向上事例

-指導者級資格保持者のための品質向上研究会レポート-
大切にしていることを考えることから始める「幸せに働ける組織・職場の作り方」とは

記事ID:C20057

電話応対技能検定(もしもし検定)の指導者級資格保持者を対象とした「品質向上研究会」が、2023年1月13日(金)と1月14日(土)に開催されました。株式会社オフィスイーケア・代表取締役 楠元 睦巳氏による講演「幸せに働ける組織・職場の作り方」を中心に、今回の研究会をレポートします。

幸せに働ける組織・職場づくりに役立つワークショップ

講師 株式会社オフィスイーケア
代表取締役 楠元 睦巳氏

 品質向上研究会では、毎回、指導力向上に役立つ講演を企画しています。2023年初となる今回の研究会は、昨年同様、オンライン(Zoom Meeting)での開催となり、幸せに働ける組織・職場づくりに関する講演を実施しました。
 開会の辞、専門委員会稲葉委員長の挨拶に続き、株式会社オフィスイーケア・代表取締役 楠元 睦巳氏が講演・ワークショップを行いました。楠元氏は介護事務所運営支援、組織開発を専門に行う介護コンサルタントであり、専門的な立場から組織運営における昨今の課題について「顧客や職員の価値観の多様化が進み、社会や市場に激しい変化が起きている今、従来の組織運営では対応できない課題が増加し、職員に負担を強いている」と指摘します。
 では、どうしたら職場環境を働きやすいものに改善できるのでしょうか。「幸せに働ける組織・職場」とは、すべての職員がその人らしく働けるようにすることであり、「組織メンバー間の関係性」と「組織メンバー全員の主体性」が重要だと言います。そのための手段として、進化型・自律分散型組織の導入支援を行うプログラムであるDXO(ディクソー)を取り上げ、「今回の講義ではDXOのプログラムの一部を体験していただく」と説明しました(図1及び図2参照)。ワークに臨むにあたり、「より良いワークのために、聞くことに注力してほしい」と参加者に伝えました。

  • 幸せに働ける組織・職場づくりのためには、「組織メンバー間の関係性」と「組織メンバー全員の主体性」が重要

  • 今回は全プログラムのうち、「関係性の土台を構築する」と「組織の存在目的を知る」を体感

円滑なコミュニケーションにより良好になる組織メンバー間の関係性

 ワークの手始めとして、参加者を4人で1つのグループに編成。それぞれのグループ内で自己紹介と役割を決める作業を行い、「関係性をつくるワーク①」に移りました。このワークは、「仕事をしていて嬉しかった体験、辛かった体験」について1人の話し手がエピソードを語るもので、聴き手は、話し手が大切にしていることをシートに記入します。そのあと、聴き手がエピソードの感想を話し手に伝え、話し手はその感想に対するコメントを伝えます(図3参照)。例えば、「普段あまり接点のない他部署の社員に仕事上のミスをサポートしてもらった」というエピソードが語られると、聴き手はそれを受けて、語り手が大切にしている価値観として「感謝、つながり、共感」のキーワードを挙げていくといった流れになります。
 続いて、このチームメンバー全員が「大切に思うこと」をまとめる作業に移りました。参加者は、頻度の多いキーワードをグルーピングし、関連性の高いワードや連想するワードを追加していきます。回答では、コミュニケーションに関する「分かりやすさ」「傾聴」、相手に対する思いとして「やさしさ」「思いやり」、関係性を重視する「協調性」「認め合う」「理解」といった言葉が多くみられ、どのチームも熱の入った意見交換が行われました。
 このように、参加者はワークを通じてコミュニケーションが円滑に進む状態を体感し、価値観が共有されることで、組織の中で良い関係性が育まれていくことを学ぶことができました(図4参照)。

  • 「仕事をしていて嬉しかった体験、辛かった体験」を語り合う

  • コミュニケーションが円滑に進む状態を体感するワーク

社員から湧き上がる方向性を見つめることでメンバー全員が主体的に

 「大切にしたい言葉をつくるワーク」では、「Why(なぜ、私たちの組織は社会に存在しているのか)、What (社会や顧客に届けている具体的な価値は何か)、How(その価値をどのような姿勢で届けているのか)を創る」作業を行いました。まず、一人ひとりが大切に思っていることをヒントにして、チームとしてのWhy、What、Howを考えました(図5参照)。具体例としては、Whyでは「円滑で気持ち良いコミュニケーションのため」「人と人をつなぐ役割」「一人ひとりの幸せのため」、Whatについては「相手の求めているものを届ける」「満足と感謝」、Howでは「役に立ちたいという想い」「寄り添う」「真摯な姿勢・感謝の気持ち」といった言葉が挙がりました。続いて、メンバーから出たこうした意見を参考に、意思決定者がチームのWhy、What、Howを決定しました。
 メンバー(社員)それぞれが大切にしていることを発表し、価値観の重なりからチーム(組織)の方向性を見つめるこのワークを通して、全員が主体的になれることを参加者は体験できたようです(図6参照)。

  • 湧き上がる会社の方向性を見つめることで、誰もが主体的になれる

参加者それぞれが新たな気づきを発見

 楠元氏は最後に、今日のワークの総括として、自分自身の内側にある大切なものを見つめる練習を行い、自己を理解することで他者理解がしやすくなり、それによってコミュニケーションの質が変わる、と語りました。また、経営者を含む社員から湧き上がる会社の方向性を見つめることで、やらされ感がなくなり、自ら何をすべきかが判断しやすくなり、それによって誰もが主体的になれる、と改めて振り返りました。さらに、ワークの様子について、「Why、What、Howのワークで各グループの特徴が出ていて良かったです。また、固い表現は避けて、言いやすくわくわくするような言葉にまとめてほしいとお話ししたところ、思いが伝わってくる言葉が多く、皆に響く言葉となっているかを気をつけている様子が見受けられました」と感想を述べ、参加者の取り組み姿勢を称えました。
 このように「幸せに働ける組織・職場の作り方」をテーマとした今回の講演では、参加者それぞれが新たな気づきを発見することができたのではないでしょうか。

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