電話応対でCS向上事例

実際の音声データを使った勉強会で、指導者と企業の双方が大きなメリットを実感

電話応対技能検定 指導者勉強会レポート

2019年9月、大手食品メーカーの株式会社Mizkan Holdingsのグループ企業である株式会社Mizkan Partnersの協力により、電話応対技能検定の指導者※が勉強会を開催しました。この勉強会では、同社の電話応対窓口に実際に寄せられたお客さまの声(電話応対の様子を録音した音声データ)を題材にしたことで、より実践的な内容になりました。勉強会に参加した指導者はもとより、音源を提供した同社も、社内の指導者だけでは気づかない応対のポイントを知ることができた貴重な機会となりました。

 「お客さまに喜ばれるビジネス電話応対の実現」「電話応対のエキスパートとして即戦力になり得る社内の指導者の育成」を目的とする電話応対技能検定(もしもし検定)は、筆記試験による4級から、実技試験をともなう3級、そしてより上位の2級、1級とステップアップしつつ、より高い技能を習得できる仕組みを取り入れています。3級以上は15時間の講座受講が必要になりますが、これを担うのが指導者級資格保持者です。指導者級資格保持者は全国で388名(2019年11月現在)おり、実技試験の審査も行います。その指導力の向上と審査における公平性の確保のため、全国で勉強会を行い、日々研鑽を積んでいます。

ミツカングループの二つの電話応対窓口の音声データを活用した勉強会

▲電話応対技能検定 第5期指導者部会 委員長 (株式会社コンシェルジュ 取締役) 植村 知佐子氏

 2019年9月に実施した勉強会では、ミツカングループの問い合わせ窓口である「ミツカンお客様相談センター」と、ミツカンが運営する体験型博物館「MIZKAN MUSEUM(ミツカンミュージアム)」への電話から1本ずつ、合計2本の音声データを使用しました。

 勉強会の進め方は、まず、指導者級資格保持者である参加者を2チームに分け、音声データを聞き個々人で採点。その点数をチーム内で協議したのちに全体の意見をまとめ、発表する形式で行いました。会場には、株式会社Mizkan Partnersの戸田社長、ミツカンお客様相談センターの石原センター長、ミツカンミュージアムの榊原館長も臨席しました。

 「普段の勉強会では、もしもし検定の実技試験の音源を採点用の教材にしています。しかし今回は、『ミツカンお客様相談センターへの賞味期限について問い合わせるお電話』『MIZKAN MUSEUMへの開館時間や展示内容を確認するお電話』というお客さまの“生の声”を使用することで、マニュアルにはないお客さまからのお問い合わせ内容やご意見への応対をどのように評価するかなどを通じ、普段の勉強会より実践的な内容になったのではないかと思います」(植村氏)

 また企業に所属し、社内の電話応対を指導する企業内指導者にとっては、ほかの会社にはどのような電話がかかってきているのか、そしてその電話にどう応対しているのかを学ぶ貴重な機会にもなりました。

 自社の日常業務では触れることのないお問い合わせ内容や応対は、普段の研修以上の気づきにつながったのではないでしょうか」(植村氏)

指導の成果を第三者が評価する貴重な機会を体感

  • ▲株式会社Mizkan Partners MIZKAN MUSEUM (電話応対技能検定指導者級資格保持者) 吉田 朱里氏

     そして今回の勉強会では、音声データを提供した株式会社Mizkan Partnersにも、大きなメリットがあったと言います。

     「弊社では私ともう一人、合計2名の指導者級資格保持者が電話応対を指導しています。今回のように第三者である指導者級資格保持者が多く参加する勉強会で弊社の音声データを実際にご評価いただき、同じ言葉を何度も繰り返す際に声の大小やトーンを変えるなど表現の工夫、お客さまへ寄り添う姿勢などにお褒めの言葉をいただいたことを大変嬉しく思います。今回の経験を、今後の指導に活かしていきたいと思います」(吉田氏)

ミツカンの現場スタッフも参加し“指導者の視点”を共有

▲勉強会に先立ち、挨拶する戸田社長

 「オブザーバーとして参加したスタッフ4名は普段、外部の指導者などとの接点がないので、まず電話応対のプロの姿を見てもらい、刺激になればと思いました。そしてワークショップでは指導者級資格保持者と同様に、音声データを聞き、自身の判断での採点を行いました。ここでそれぞれの音源データについての指導者の評価、注目ポイントと、自分たちの採点がどのように異なったのかを知ることは、より良い応対へのヒントになったと思います。参加した4名が“指導者の視点”を共有したことで、自分たちもそうしたレベルまで応対を学んでいくモチベーションになり、努力することを期待します。さらに今回の経験を職場に持ち帰り、ほかのスタッフと分かち合うことが、全体のスキルアップにつながれば良いと思っています」(吉田氏)

 勉強会の終了後は、日々お客さまからのお問い合わせを受け付けるミツカンお客様相談センター、また全国各地から多くの見学者を集めるミツカンミュージアムの見学も行われました。こうした体験も、今回の勉強会参加者にとって大きな刺激となりました。

※ 電話応対技能検定(もしもし検定)指導者級養成講座の受講および実技試験を経て合格した指導者(指導者級資格保持者)。電話応対に関する高度な知識、技能を有し、本検定の実施にあたっては、指導官や試験官などの役割を果たす。

Short Interview 指導者級資格保持者の勉強会を見学して

指導者の真剣な姿に思わず引き込まれました

  • ▲株式会社Mizkan Holdings 専務執行役員 株式会社Mizkan Partners 代表取締役社長 兼 CFO 戸田 達也氏

     今回のような、電話をテーマとした専門性の高い指導者の方々の勉強会に参加する機会は貴重で、楽しみに思い出席しました。参加者の弊社の音声データについて真剣に討議する姿に、引き込まれるものを感じました。弊社のお客様相談センターは、単にお問い合わせやクレームに応対する部署ではなく、お客さまから直接ご意見をいただき、製品の開発や改良、マーケティングに活かすための大切な部署です。弊社のセンターは、スタッフそれぞれが、お客さまの声を製品作りに活かしてきたという自負を持って仕事に向き合っており、それが高いモチベーションにつながっています。今後もメンバーがお客さまの声に真摯に向き合っていく姿勢を、より高めていきたいと考えています。

応対技術を高め、聞き出す技術向上へ

  • ▲株式会社Mizkan Partners 品質環境部 お客様相談センター センター長 石原 一秀氏

     今回は、指導者級という実力を持った方々が同じ音源を客観的にどう判断するのかを知る貴重な機会となりました。実際に皆さまの討議においても、自身では気づかなかったご指摘を多くいただくことができ、オペレーターを指導する私たちにも大きなメリットがありました。お客さまの声を製品作りに役立てるには、電話を通じお客さまの本当のお気持ちを聞き出す技術が必要です。今回の経験を活かして、よりレベルの高い応対を実現し、「ファンを増やす」という目標に向け、進んでいきたいと思います。

お酢の歴史や社会貢献を通じブランドのファン獲得を

  • ▲株式会社Mizkan Partners MIZKAN MUSEUM 館長 榊原 健氏

     ミツカンミュージアムは「ミツカンというブランドのファンを増やす」ことを目指し、4年前に開館しました。運営に関してはホスピタリティを最も重視しています。おもてなしと、お酢の歴史、そしてミツカンというブランドの歩みを分かりやすく紹介する館内の展示や、随所にある映像や体験コーナーなどを通じて深く知っていただき、長期的な業績に資するだけでなく、観光施設としての地域活性化、さらには子ども達の学習施設として活用してもらうことで社会貢献に取り組んでいきたいと思っています。

会社名 株式会社Mizkan Partners
創業 1804年(文化元年)
本社所在地 愛知県半田市中村町2-6
代表取締役社長 兼 CFO 戸田 達也
資本金 9,032万円
事業内容 家庭用/業務用 調味料・加工食品、納豆の製造販売(グループ全体)
URL https://www.mizkan.co.jp/

関連記事

入会のご案内

電話応対教育とICT活用推進による、
社内の人材育成や生産性の向上に貢献致します。

ご入会のお申込みはこちら