電話応対でCS向上事例
電話応対技能検定 研究会リポート 劇団四季「美しい日本語の話し方教室」
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▲劇団四季 五所 真理子さん
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▲劇団四季 白瀬 英典さん
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▲劇団四季 畠山 典之さん
昭和28年。浅利氏を始めとする8人の青年たちが旗揚げした劇団四季。現在では、年間300万人の観客を劇場に呼ぶ、人気劇団であることは御存じの通りです。
劇団四季の芝居はセリフが聞き取りやすい
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▲話し方を指導する俳優さんたち
みなさんは、同劇団の芝居はセリフが聞き取りやすい、という話をお聞きになったことはありませんか。その秘密は、「母音法」「呼吸法」「フレージング法」という3つの独自メソッドにあります。観客が楽しんでくだされば劇場は賑わう、そのために最も優先されるべきは、明晰で聞き取りやすいセリフを話すことだと浅利氏は考えました。以来60年、常に模索を重ね、観客から「聞き取りやすい」と感じられるセリフの話し方を体系化し、その理念を今日まで実践し続けてきました。
一方で浅利氏は、学校における日本語教育に疑問を感じていたといいます。先生の授業をおとなしく聞き、ノートを取ることは上手でも、自分でしゃべることはまったく不得意のまま育ってしまった日本の子供たち。危機感を抱いた浅利氏は、話すことを学べる機会を提供するために、小学5年生と6年生を対象にした『美しい日本語の話し方教室』を始めました。今回は、電話応対技能検定 指導者級資格保持者のみなさんにも、小学5年生として参加していただき、本教室はスタートしました。
キレイな字を書くのに練習が必要なように、美しい話し方も練習が必要
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▲小学5年生として参加した講師のみなさん
「朝起きてから夜寝るまでにみなさんが、いちばん多くしていることは何でしょうか?」
同劇団の畠山さんが参加者にそう語りかけるところから、教室はスタートしました。私たちは生活の中で、話すことを無意識に沢山しています。キレイな字を書くのに練習が必要なように、話し方もまた、練習が必要です。
そのためには、母音をしっかり発音することが重要です。まずは全員で「あいうえお」の母音を丁寧に発音する練習をしました。和やかな雰囲気の中で授業は進みます。
日本語は一音一音を離して発声することが理想。しかしこれを話し言葉として成立させるのは、とても難しいそうです。これを身近な挨拶「おはようございます」を使って、母音を意識しながら話してみることに。「おはようございます」をまずは、母音だけで「おあおーおあいあう」と話します。この時、母音の一音一音をしっかりと分離させて話すことが大切です。
次に「明日は雨だけど学校へ行ってみよう」を例に、日本語の構造と母音の重要性を学びました。日本語の音は、子音で口の形を決め、母音で音を出すようになっています。同劇団のセリフの聞きやすさの秘密もここにあるといいます。
例文を、参加者全員で母音だけで話す練習をします。そのあと、子音を入れて話します。するとはっきりときれいに聞こえることに気づきます。
歌を歌うことは相手に語りかけること
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▲全員で「友だちはいいもんだ」を大合唱
授業の後半では、劇団四季のオリジナルミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』のテーマソングである『友だちはいいもんだ』という歌を使って、美しい話し方を学びました。同劇団の方はいいます。「歌を歌うことは語りかけることです。歌詞の意味をまずはしっかり理解することが大切です」と。いきなり歌うのではなく、歌詞を全員で読むことからスタート。歌も話し言葉と同じように、キレイな言葉だと、より気持ちが伝わります。そのために、歌においても話す場合と同様に、母音を意識することが重要になります。まずは参加者全員で母音だけで歌ってみます。この時も心を込めることを忘れてはいけないといいます。次に、子音も入れて、全員で合唱。参加者の方が童心に返り、和やかな空気が充満する中、授業は終了となりました。同劇団の方を見送る、参加者の爽やかな笑顔が、その満足度を物語っているようでした。
美しい日本語を守る「もしもし検定」
電話応対技能検定 指導者級資格保持者のために実施された今回の研究会。その目的と今後の展望について、日本電信電話ユーザ協会・事務局にうかがいました。
「『もしもし検定』では、電話応対の基礎知識だけでなく、ビジネスマナーやコミュニケーション能力の向上にも重きを置いています。相手に恥をかかせないためには、ビジネスマナーを知っておく必要があります。また、相手の聞きたいことを察するためには、コミュニケーション能力も必須です。そして今回参加した、電話応対技能検定 指導者級資格保持者というのは、いわば『もしもし検定の顔』です。そのため、指導者級資格保持者のスキルの向上に、事務局としては今後も力を入れていきたいと考えています。また、今回、劇団四季にも協力いただいた『コミュニケーションはトレーニングで上達する』をこれからさらに追求していきたいですね。最近では、営業職の方や学生の受験も増えてきました。これはとてもうれしいことです。もしもし検定は、美しい日本語を守る検定です。まずは4級から、ぜひ多くの方に受験していただきたいと思います」
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劇団四季
2013年7月14日に、創立60周年を迎えた劇団四季。現在は、全国8カ所の専用劇場と全国各地の会場で、年間に約3,000ステージ以上の公演を行っています。劇団の原点であるストレートプレイから、オリジナルミュージカル、海外ミュージカルまで、その上演レパートリーは多岐に亘ります。-「演劇」がもつ感動を、ひとりでも多くのお客様にお届けしたい-それが劇団四季の願いです。
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▲撮影:荒井 健
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▲撮影:上原 タカシ
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