電話応対でCS向上事例

-名古屋第二赤十字病院-
個々人の目標達成に向けた努力が、企業電話応対コンテスト優秀賞として結実

医療機関の電話交換業務には、患者さんの状況を短時間で把握し、適切な担当部署につなぐ能力が求められます。名古屋市の名古屋第二赤十字病院に、そうした業務の実態と応対能力向上への努力をうかがいました。

こちらの病院の概要を簡単にご紹介いただけますか。

  • ▲管理局
    業務部
    総務課長
    渡邊 勝氏

    「当病院は急な病気やケガに対応する『急性期病院』としての機能を重視した病院です。またほかの病院では対応が難しい、高度な治療を必要とする患者さんを受け入れる病院としての役割も担っています」(渡邊氏)

患者さんのお電話にやわらかく受け答えし、適切に取り次ぐ

病院における、電話応対の特徴について教えてください。

「こちらでは私以下7名のスタッフが、シフトによる24時間体制で勤務し、多い時には1日1,000件を超えるお電話を受け、用件別に適切な応対窓口につないでいます」(安藤氏)

病院ということで、一般の企業での電話応対と異なる部分はありますか。

「当病院は、交換係が外線電話を受け付けるという、かつて大きな会社で一般的だった仕組みを採用しています。しかし、患者さんの中にはかかりつけの外来に直接かけている感覚の方もいらっしゃいます」(渡邊氏)

「病院で働く女性を皆看護師だと考え、交換係が電話に出ると、病状や対処法などに話が進む例がしばしばあります」(安藤氏)

そうした場合、どのような対応をされているのでしょう。

「突き放した印象を抱かれないよう、お話の要点を聞き取りつつ、会話の合間に『こちら交換係から○○○にお電話をおつなぎします』と申し出るようにしています」(安藤氏)

負荷軽減のため、難易度の高い電話は専門部署がバックアップ

かかりつけの科がはっきりしない患者さんには、どう対応されるのですか。

「担当医の名前や症状、最終的には診察券の患者番号から確認します。また担当科に電話をつなぐ時は、次回同じ作業が発生しないよう、患者さんに『何科につなぎます』ときちんと伝えます」(安藤氏)

担当医が処置中などで電話に出られない場合はどうするのでしょう。

  • ▲24時間体制で電話交換係が勤務

    「患者さんの状況を確認しつつ対応策を探ります。患者さんにあらためてのお電話をお願いすることもありますし、緊急を要するようであれば別の医師や看護師につなぎ、指示を仰ぎます」(安藤氏)

    「判断の難しいお電話については、医療系はこちら、事務系はこちらというように、バックアップ先を用意しています」(渡邊氏)

医療機関や業務上の関係先からのお電話はどのように取り次ぎますか。

「ほとんどは医師に指名でかかってくるので、スムーズです。ただセールス電話など業務外のものだと感じた場合は、医師に一言伝え、指示を仰ぐことにしています」(安藤氏)

「病院に対する行き過ぎたクレームなどの電話もかかってきます。そうした電話の情報は、交換係だけでなく、院内で知識を共有し、また専門の部署が対応にあたります」(渡邊氏)

コーチングによる自発的な技能向上の目標に、電話応対技能検定(もしもし検定)も採用

電話応対能力の向上については、どのような取り組みをされているのでしょう。

  • ▲電話交換係長
    安藤 真琴氏

    「当病院は、個々人のレベルアップに『コーチング』という、コーチとの対話を通じた自発的な行動で目標達成を図る手法を用いています。もしもし検定や企業電話応対コンテストは、そうした目標の一つです」(渡邊氏)

    「もしもし検定は受講=修了ではなく、学んだことが身についているかどうかを試験で問われます。また試験も研修の中身そのままではなく、学んだ内容と社会的なマナー全般への理解が問われます。これらが技能向上の目標に適切と考えています」(安藤氏)

もしもし検定のどこに着目し、導入したのでしょうか。

「院内だけでの応対技術向上には限界がありました。もしもし検定は、合格に向けての学習で適切な応対、正しい敬語などを身につけることができます。また研修などを通じ、他企業さまのレベルを知るきっかけにもなります。病院としても受検や研修への参加は勤務扱いの出張とし、支援しています」(渡邊氏)

実力の把握とさらなる底上げを目指し、コンテストにも参加

現在までの成果について、ご紹介いただけますか。

「私が現在指導者級資格保持者となり、交換係では2名が現在2級に挑戦中です。また“抜き打ち”の電話への応対に自分たちの本当の実力が現れることに注目し、コンテストにも参加しています。こちらは昨年、優秀賞をいただきましたが、これもまだあくまで通過点だと考えています。今後も交換係全体のレベルアップを目標に、努力を続けていきます」(安藤氏)

「安藤を講師として、院内でもしもし検定4級受検に向けての研修も行っています。勤務時間の関係などから受講者全員の受検は不可能でしたが、それでも3名の合格者を出しました。こうした努力で病院全体の電話応対や接遇マナーがアップすれば、外部からの苦情も減り、交換係の負担軽減につながるはずです」(渡邊氏)

▲応対品質向上の取り組みが院内で認められ最優秀賞を受賞。隣にはコンテストの賞状も掲載

今後の目標、及び日本電信電話ユーザ協会に要望があれば、お聞かせください。

「電話応対能力の向上は、患者さんをお待たせする時間の短縮につながり、また医師や看護師が患者さんに向き合う時間を増やすことにつながるはずです。『この病院は電話を待たせないね』という患者さんの声を支えに、一層の研鑽に励みます」(安藤氏)

「もしもし検定の知名度と内容がより認知されれば、受検者増につながると思います。さらなる普及を期待しています」(渡邊氏)

組織名 名古屋第二赤十字病院
設立 1914年(大正3年)12月
所在地 愛知県名古屋市昭和区妙見町2-9
院長 石川 清
事業内容 医療業務全般
URL http://www.nagoya2.jrc.or.jp/

電話応対技能検定実施機関

公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 愛知支部

http://www.pi.jtua.or.jp/aichi/

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