電話応対でCS向上事例
-日本ケミファ株式会社-正確な情報をしっかり伝えることで、自社の信頼につなげる
医薬品は私たちの病気を治し、健康をサポートする大切な役割を持っています。しかし使い方を誤れば、逆に健康被害につながることもあります。今回は「くすり相談室」を運営する日本ケミファ株式会社で、お問い合わせへの対応や取り組みについて、お話をうかがいました。
日本、そして世界には、数多くの製薬会社があります。そのなかで、御社がどのような特徴をお持ちなのか、教えていただけますか?
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▲信頼性保証総括部
安全管理部長 兼 くすり相談室長
松井 豊氏「弊社は1950年に創業、以来65年にわたり、『医薬品を中核にトータルヘルスケアで人々の健康で豊かな生活に貢献する』という企業理念のもと、医療用医薬品を中心に事業展開を行ってきました。医療用医薬品は、大きく2種類に分けられます。ひとつは、従来になかった薬効を持つ『新(先発)医薬品』で、もうひとつが先発医薬品と同じ有効成分を含む『後発医薬品』です。後者については、ジェネリックという呼び方で、現在政府もその利用を促しているので、ご存じの方も多いでしょう。製薬メーカーの多くは、このどちらかを専業にしていますが、弊社は双方を手がけている数少ないメーカーで、開発から製造、販売まで、グループ内で一貫して取り組んでおります」(信頼性保証総括部 安全管理部長 兼 くすり相談室長・松井 豊氏)
松井さまの肩書きには、「くすり相談室長」とあります。こちらがお問い合わせ窓口となるわけですね。
「はい。多くの製薬メーカーはこうした窓口を独立の部署として持っていたり、外部のコールセンターにゆだねたりするのですが、これを製品の安全管理を手がける『安全管理部』のなかに設置しているのが弊社の特徴となります」(松井氏)
そうなった経緯、また「くすり相談室」が「安全管理部」のなかにあることのメリットを教えていただけますか。
「製薬メーカー各社がこうした窓口を設置するきっかけは、平成6年の厚生労働省管轄法人における『消費者くすり相談窓口』の開設です。これにあわせ、各製薬メーカーもお客さま対応を行う相談窓口開設の検討をはじめました。弊社はそれ以前から『学術部』という部署でお問い合わせ対応を行っていましたが、この流れを受け、平成9年に『安全管理部』に窓口を設置したのです。その後、他社のように、この部署を独立させるかという議論もありました。しかし薬の本来の役割は『病気を治すこと』でありますし、その薬を正しく使っていただくためには薬効や使い方、副作用について、お問い合わせいただいた方にきちんとご理解いただくことが重要です。お問い合わせ窓口が『安全管理部』のなかにあることで、私たちの役目が医療関係者からのお問い合わせに応対することだけではなく、その向こうにいらっしゃる患者さんの健康に資することだと常に自覚することができます。そしてさまざまな情報を、スタッフが共有できるというメリットも、重要です。そうした考えにより、この体制を貫いているのです。この窓口の名称は平成21年に『くすり相談室』となりましたが、その本質は変わることなく、現在に至っております」(松井氏)
現在、「くすり相談室」はどのような体制で運営されているのでしょうか?
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▲信頼性保証総括部
安全管理部 くすり相談室
山上 和美氏「スタッフは10名で、全員が副作用対応もしくは包装資材の校正を主とする安全管理業務と兼務しております。それぞれが日常の業務をこなしつつ、いただいたお電話に対応しています。薬剤師の資格を持つ者も多数おりますし、安全管理部として弊社の製品の情報に精通していることが、お電話に正確な対応ができるメリットとなっております。いただくお電話は月に500~600本ほどで、その多くは薬剤師や医師といった医療関係の方々からのものですね」(信頼性保証総括部 安全管理部 くすり相談室・山上 和美氏)
いただいたお電話への応対で、とくに気を配っているところはありますか?
「まず、お電話の向こう側にいらっしゃる方が『どのようなことで困っているのか』をきちんと把握することです。薬剤師の先生からのお問い合わせでは、ご相談の内容のほか、その答えを急いで求めているのか、それともお待ちいただくことができるのか。患者さんであれば、ご病気にかかわるデリケートな内容で、口に出しにくいことがあるのかもしれません。そうしたお客さまの真意をくみ取り、正確にアドバイス差し上げることを心がけております」(山上氏)
そのような応対には、高いコミュニケーション能力が必要ですね。
「はい。その能力を高めるには、日々の勉強や努力が必要ですが、やはり自分たちの取り組みだけでは限界があります。そこで私たちは、『もしもし検定』を活用し、そうした能力の向上に取り組んでいます。また『もしもし検定』は、コミュニケーション能力だけでなく、個人情報保護法、ビジネスマナーといった、電話で相談や問い合わせを受ける上で必要な知識も同時に学べるところが大きなメリットとなっています」(山上氏)
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▲企業CMでもおなじみのマスコットキャラクター「くすり屋のヤギさんとくまのベアトリスさん」
「私たちの取り扱う商品が健康にかかわる『医薬品』である以上、まず最優先されるべきは、お答えする内容の正確さです。これについては、『くすり相談室』が安全管理部にあること、そして週1回の事例検討による最新知識の習得で、自信をもってご用意できます。ただ、そうした正確な知識も“伝える技術”がなければ、お客さまに正確にご理解いただけない可能性があるのです。そうしたスキルを身に付けることが必要だと考えたことが、『もしもし検定』を受ける動機のひとつとなりました」(松井氏)
電話応対のスキルを高める練習なども、定期的に行っているのでしょうか?
「はい。まず毎日朝練で早口言葉、よく使う患者さん向けのフレーズなどを、発声練習をかねて行っています。また先ほど申し上げた事例検討のあとには、録音された実際の対応を皆で聞いて、その応対品質や内容についてディスカッションしています。さらに長期的には、スタッフそれぞれが『もしもし検定』の3級、2級、1級へとステップアップするようカリキュラムを組み、トレーニングを行っております」(山上氏)
ほかにも、医薬品ということで、回答に気を遣う部分があるかとは思いますが?
「はい。お問い合わせの内容について、できる限り調べ、また電話を受けたスタッフ以外の知識もあわせ、詳しく回答しています。たとえばジェネリック医薬品は承認プロセス上、先発品と比較して情報量が多くありません。しかしお問い合わせに対しては、文献などから、できうる限りのお答えを差し上げるようにしています。またインターネットなどでお薬の副作用を調べ、不安に思いお電話をいただく例もあります。そうした場合もその可能性などについて、私たちが知っている情報をしっかりお伝えすることで、不安な思いを解消できるよう、尽力しています」(山上氏)
安全管理部のお仕事をしながら、そうしたお問い合わせに向き合っていくのは、たいへんなご苦労があるのではないですか?
「はい。でもこの『くすり相談室』が安全管理部にあることで、医療関係者や患者さんからの実際のご相談内容をしっかりと把握し、社内に共有できるというメリットがあるのです。実際にお問い合わせいただいた内容は営業本部にも共有し、そちらの業務にも活用しています。安全管理部に『くすり相談室』を置くこと、つまり安全と品質を同時に押し進める私たちの姿勢が、弊社の信頼につながっていくと確信しているのです」(松井氏)
▲くすり相談室
本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
会社名 | 日本ケミファ株式会社 |
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設立 | 1950年(昭和25年)6月16日 |
本店所在地 | 東京都千代田区岩本町2-2-3 |
代表取締役社長 | 山口 一城 |
資本金 | 43億400万円(平成26年3月末現在) |
業務内容 | 医療用医薬品・臨床検査薬の製造・販売および輸出入業健康・医療関連事業 |
URL | http://www.chemiphar.co.jp/ |
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