電話応対でCS向上事例
-株式会社ワコール-お客さまの声に寄り添い、感動を届ける「世界一温かい窓口」を目指す顧客体験の向上
記事ID:C20122
株式会社ワコールは、インナーウェアを中心に幅広いアパレル事業を展開しています。同社の顧客対応を担う顧客戦略部の越智氏と多田氏に電話応対への取り組みについてお聞きしました。
事業概要及び顧客接点についてお聞かせください。
マーケティング本部 顧客戦略部
お客様センター長 多田 由美氏
多田氏:当社はインナーウェアやアウターウェア、スポーツウェアを中心とした製品の製造・卸売及び小売を主な事業としています。お客さま対応の窓口としては、「お客様センター」をはじめ、ワコール通販カタログやワコールウェブストアなどの販売チャネル、商品カテゴリー別に五つのフリーダイヤルを設けています。お客様センターは、主に一般的なご相談やお申し出(クレーム)に対応する部署で、年間約12,000件、月平均1,000件のお電話をいただいています。時期による入電数の増減は少なく、商品のメディア露出に左右されるといった状況です。お客さまの属性は40~60代が中心で、女性が約9割です。主なお問い合わせは、商品の選び方や、成長期、マタニティ、加齢による身体の変化といった女性のライフステージに関するお悩みが中心です。
お客さま応対の平準化を目指す
電話応対に関する課題と対策について教えていただけますか。
社内で勉強会や研修などを行い、応対の平準化を進めている
多田氏:顧客戦略部の基本方針「顧客体験価値を高め、ワコールファンを拡大する」の実現に向け、お客様センターでは単なる商品知識の提供にとどまらず、声のトーンや言葉選びといった細部にまで心を配り、一人ひとりの顧客に寄り添う上質な応対を追求しています。多くの企業において共通の課題かと思われますが、多様化するお客さまのニーズに対応するにあたり、スタッフ個人による応対力のばらつきが生じていました。それが組織全体のレベルにも影響してくるため、2年前に「応対の平準化プロジェクト」を立ち上げました。この施策は、誰が電話を受けても同じレベルの対応ができることを目標としています。中でもばらつきが大きかったのが、お申し出への対応です。お申し出対応は苦手意識を持ちやすく、メンタル面も含めて負荷が大きくなる傾向があります。そこで、聞くべき内容や謝罪のタイミング、話の展開方法をスクリプト化することで、個人の判断や表現に頼らなくても標準的な対応ができる仕組みを整えました。オペレーターからは「気が楽になった」「電話応対に抵抗を感じなくなった」という声も聞かれるようになり、電話チーム全体のボトムアップにつながっています。スクリプトの整備に加え、応対の録音を用いたフィードバックや、スクリプト内容に関する筆記テストを定期的に実施し、オペレーター一人ひとりの判断力と表現力の向上も図っています。また、高齢のお客さまへの対応では、全員が高齢者の聞こえ方や理解の仕方に関する外部研修を受講し、声は高すぎず低すぎない音域を保ち、「ここまででご不明な点はございませんか」などと細かく確認しながら会話を進めるよう徹底しています。
2012年から参加、「全国大会優秀賞」で 社内にアピール
電話応対コンクール(以下、コンクール)への取り組みについて教えてください。
お客様センターの電話チーム
多田氏:コンクールには、2012年から毎年参加しています。きっかけは、社内での勉強会や外部研修で応対技術を磨いていても、客観的に自社のレベルを把握できる場がほしい、さらにスタッフのモチベーションアップにつなげたいという思いがあったことでした。毎年2~3名が参加しており、2025年度は京都府代表として全国大会に初出場し、優秀賞を受賞しました。社内報やニュースリリースでも広く紹介し、受賞トロフィーを社内に展示したことで、“縁の下の力持ち”になりがちだったお客様センターを社内にアピールすることができました。スキル向上と客観的評価の指標として活用を始めたコンクールでしたが、職場の雰囲気にも好影響をもたらしています。出場経験のあるメンバーが、初参加のメンバーに「イエス・ノーで答えられる質問を投げかけよう」「書き言葉と話し言葉を混在させないように」といったアドバイスを自然に伝え合うようになり、入賞を目標に、チームで協力しあうムードが生まれています。また、「ワコールさんに相談して良かった」「安心しました」といった声をいただく機会が増えてきたと感じています。今年度からは企業電話応対コンテストへの参加も予定しており、さらなるレベルアップに取り組んでいます。
お客様センターチーム6名で資格取得を推進
電話応対技能検定への取り組みについてお聞かせください。
多田氏:現在、お客様センターのチームは6名の女性で構成されており、1名が1級、5名が3級を取得しています。お客さまの年齢層が高めということもあり、スタッフの年齢構成も50代が4名、40代が1名、20代が1名となっています。「股引がほしい」といった昭和世代の言葉づかいを20代のスタッフが理解できないケースもあるなど、お客さまとの世代ギャップ対応は課題の一つです。こうした点からも電話応対技能検定の取得を通じて、知識と技術を体系的に身につけ、チーム全体の応対品質向上につなげています。
目指しているのは「世界一温かい窓口」
今後の目標について教えてください。
多田氏:AIやデジタル化が進む時代であっても、電話をかけてこられるお客さまは一定数いらっしゃいます。直接話すことで人と人がつながる電話の価値を改めて大切にしたいと思っています。声からは、お客さまの不安やお悩みが伝わってきます。下着というデリケートな商品特性を踏まえたきめ細やかな応対が、当社ならではの強みとなっていますので、これからもお客さまの不安を安心に変えられる窓口として、「世界一温かい窓口対応」を目指していきます。なお、ワコールならではの応対の特徴として、電話の締めくくりの言葉を明るく温かく印象づける工夫を行っています。コンクールでも「他社と違う」と質問を受けるこの応対スタイルが、ワコールらしさを体現していると感じています。
マーケティング本部
顧客戦略部長 越智 貴紀氏
越智氏:私は、2026年4月に顧客戦略部長に着任しました。インナーウェアは平均年間購買回数が2回にも満たない商品です。だからこそ、店頭での接客はもちろん、お客様センターにいただく一つひとつのお問い合わせ、アプリのUI※1やUX※2、アンケートへのご回答、商品のご使用感など、お客さまがワコールとつながっていただけるすべての接点を「顧客体験(CX)」と捉えています。それぞれの質を丁寧に高めていくことが、お客さまとの距離を縮め、最終的にはLTV(顧客生涯価値)の最大化につながると考えています。FAQの整備など自己解決できる環境づくりも含め、今後も顧客体験全体のブラッシュアップに取り組んでいきます。
- ※1 UI(ユーザー・インターフェース)
- ユーザーと製品やサービスのやり取りをつなぐ接点。
- ※2 UX(ユーザー・エクスペリエンス)
- ユーザーがWebサイトやアプリなどのサービスを使う時に感じる体験(ワクワクや喜びなど )
| 会社名 | 株式会社ワコール |
|---|---|
| 創業 | 1946年(昭和21年) |
| 本社所在地 | 京都府京都市南区吉祥院中島町29 |
| 代表取締役社長執行役員 | 川西 啓介 |
| 事業内容 | インナーウェア、アウターウェア、スポーツウェア、その他の繊維製品及び関連製品の製造、卸売販売など |
| URL | https://www.wacoal.jp/ |
| 〔ユーザー協会会員〕 |
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