電話応対でCS向上事例

-株式会社山陰合同銀行-
FAQ統合や生成AIなどによるオムニチャネル化を推進し お客さまへ一貫した顧客体験を提供

記事ID:C20125

島根県、鳥取県を基盤に、山陽、関西、東京などに拠点を置く広域地方銀行である株式会社山陰合同銀行。ダイレクトチャネル部の皆さまに、マルチチャネルによるお客さま応対の取り組みについてお聞きしました。

御社の業務内容とお客さま応対部門の課題について、お聞かせください。

ダイレクトチャネル部
副部長 池田 信行氏

池田氏:株式会社山陰合同銀行は、広域な店舗ネットワークを活かし、金融サービスだけでなく、各種コンサルティングサービスを提供しています。近年はスマートフォンの利用拡大に伴い、口座開設から各種取引がWeb上で行えるアプリ「DanDanBANK」や、デジタル地域通貨・デジタル給付金・民間のポイントサービスなどの管理・利用が可能な「さんいんウォレット」といった、利便性の高いサービスの提供を行っています。コンタクトセンターには約40名のスタッフが在籍し、お問い合わせに応じたサービス内容の説明や残高・入出金明細の照会、紛失・盗難関連の相談の応対に加え、預金・クレジット・年金・ローンを一本化する商品の案内をアウトバウンドで行うなど、プロフィットセンターとしての役割も強化しています。インバウンドについては、12月と3月が特に受電件数が多く、通常の月より2,000件程度増加します。

ダイレクトチャネル部
グループ長 土江 真弓氏

土江氏:お客さまからのお問い合わせはすべてコンタクトセンターで受け付け、内容に応じて営業店などへ振り分ける体制ですが、以前はこの点に課題がありました。営業店とコンタクトセンターの間でナレッジが統合されていなかったこともあり、お客さまがコンタクトセンターのオペレーターに伝えた要件を営業店の担当者へ、同じ内容を繰り返し話さないといけないという状態が数年前から続いていたのです。こうしたヒアリングの重複に加え、2024年に「DanDanBANK」、2025年には「さんいんウォレット」といった新サービスの提供開始により、問い合わせ件数の増加も見込まれていました。また、お客さまの志向が非対面コミュニケーションにシフトしていることを踏まえ、音声基盤の更改時期の到来予定を踏まえて、非対面チャネルでも対面と同等のサービス品質の提供を実現する、コンタクトセンターシステムとAI、有人チャット、FAQを統合した「オムニチャネル」化に向けた取り組みを開始しました。

導入までの経緯を教えてください。

【図:オムニチャネル戦略によるインバウンド(イメージ)】生成AIや音声認識システムなどによる会話履歴の自動要約、FAQの推奨表示などのサポート機能により、応対する際のオペレーターの業務をアシストすることで、顧客体験向上とともに、従業員満足度の向上を実現した。水色のアイコンは「ボイス系」、紺色のアイコンは「ノンボイス系」を示しています。

池田氏:従来の電話中心の応対から脱却し、チャットやFAQなど多様な接点を統合するため、2023年頃からオムニチャネル化に向けたシステム構築に着手しました(図参照)。導入システムは、ノンボイス系とボイス系に大別されます。まずノンボイス系では、自社内にサーバーやシステムを設置して運用していたコンタクトセンターシステムを使っていたため、ナレッジや顧客接点情報が分散していました。そこで、FAQの統合とナレッジの一元化を目的に、2024年7月にFAQシステムを刷新し、顧客向けとオペレーター向けの情報が紐づいたデータベースを再構築しました。これにより、オペレーターはFAQ検索を活用し、参照情報をショートメッセージで受電中のお客さまへ送信できるようになり、より正確で分かりやすい情報提供が可能となりました。さらに、2025年には有人チャットとビジュアルIVRを導入し、非対面チャネルを拡充しています。
 一方、ボイス系では、2024年10月に音声基盤とCRMを刷新し、新たなコミュニケーションの基盤を構築しました。IVR(自動音声応答)や生成AIなど複数のシステムを新たに導入・連携し、コンタクトセンター全体を進化させました。課題であった取り次ぎ効率の改善については、IVRによりお問い合わせ内容に応じた一次振り分けを実施し、紛失や明細照会、営業店応対案件などの事前振り分けを可能にしました。さらに、生成AIの活用も進めています。従来は、応対終了後に履歴を手入力していましたが、AIの文書要約機能により作業を大幅に効率化できています。また、お問い合わせ内容の分類・数値化やカスタマーハラスメントの傾向分析にもAIを活用し、応対品質の可視化と改善につなげています。

FAQとIVR、生成AIそれぞれの導入効果について教えてください。

池田氏:FAQシステムの効果としては、店舗情報や手数料など、お問い合わせの多い内容に迅速に対応できるようになったこと、また電話・チャットなど複数チャネルで一貫した回答を提供できるようになった点が挙げられます。IVRについては、お客さまを最適な窓口へ迅速に案内できるようになり、応対時間の短縮と顧客体験の向上を実現できた点が挙げられます。

ダイレクトチャネル部
副企画役  長岡 晃代氏

長岡氏:生成AIの活用においては、インバウンド業務におけるオペレーターの負担が大幅に軽減され、捻出された時間をアウトバウンド業務へ充てられるようになりました。また、要約機能により応対内容を管理者が把握しやすくなり、指導・育成にも活用できるなど、マネジメント効率の向上にも役立っています。
 今後、金融業界においては有人チャットを含めたノンボイス応対の割合が増え、逆に電話での応対は減っていくと考えています。そのことは、電話よりもノンボイスでのやり取りを選ぶお客さまが増えてきているというデータに裏付けられています。ノンボイス応対にシフトすることがCX向上につながるという考えの基、新たな取り組みを現在も進めています。

CX向上に向けた今後の予定について教えてください。

口座が開設できるアプリ「DanDanBANK」(左)と、デジタル地域通貨・デジタル給 付金・民間のポイントサービスなどの管理・利用ができる「さんいんウォレット」(右)

池田氏:当行では中期経営計画のDX戦略において、CX(顧客体験)の向上を目的に「オムニチャネルプロジェクト」を推進しています。これまで紹介したコンタクトセンターの機能拡張も、すべて本プロジェクトの取り組みです。本プロジェクトは、2025年に日本オムニチャネル協会が主催する「DXイノベーション大賞」において第3位に選ばれるなど、第三者機関からも評価を受けています。
 今後、金融機関の顧客応対は、従来の対面チャネルから非対面チャネルへのシフトがさらに加速すると考えています。AIエージェントの登場により、ボイスボットやチャットボットの仕組みも大きく変化する中、24時間365日の顧客応対の実現を目指し、効率化とサービス向上の両立を図りながら、継続的なDX推進に取り組んでいきます。

※ AIエージェント
ユーザーの目的達成に向けて自律的に判断し、最適な手段を選んでタスクを実行するAIの技術。
会社名 株式会社山陰合同銀行
所在地 島根県松江市魚町10番地
創業 1878年(明治11年)12月1日
設立 1941年(昭和16年)7月1日
事業内容 金融サービス
従業員数 1,793名
URL https://www.gogin.co.jp/
〔ユーザー協会会員〕

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