電話応対でCS向上事例

-株式会社ファンコーポレーション-
ゲームクリエイターのオーラルコミュニケーション力を高め、選ばれ続けるサービスに

記事ID:C20080

2002年から電話応対コンクールに出場し、オーラルコミュニケーション(聞く、話すなど口頭での意思伝達)の力を高めてきたゲームソフト開発会社の株式会社ファンコーポレーション。創造的な人材を育成する独自の教育方針について、石本社長に話をうかがいました。

貴社の概要と電話応対との関わりについてお聞かせください。

代表取締役社長 石本 則子氏

石本氏:ファンコーポレーションは、3D 技術を活用したゲームソフトの開発会社で、2000年に創業しました。社員数が20人ほどのアットホームなクリエイティブカンパニーで、主業務のゲームソフト開発に加え、キャラクターライセンス事業、また今年から新規事業としてフードテック※の分野にも取り組んでいます。電話応対でいえば、会社の代表電話には管理部門のスタッフをはじめ、全社員が応対しています。ゲームソフトの開発会社ではありますが、社員のオーラルコミュニケーションスキル強化の一環として、2002年より電話応対コンクール(以下、コンクール)に取り組み、今年で22年になりました。

三つの教育の柱を有機的に結合させ、人材育成や企業文化の醸成につなげたい

クリエイティブカンパニーとして、人材育成ではどのようなことに取り組んでいますか。

全スタッフが率先して電話応対を行う

石本氏:クリエイターや技術者の専門教育とは別に、会社が大切にするフィロソフィーを培う教育として三つの柱があります。一つは、後ほど具体的に説明しますが、コンクールなどを活用したオーラルコミュニケーション教育です。二つめは、大学教育を事業に活かすアカデミックな取り組みで、2006年から年に1人ずつ東京工業大学の社会人大学院へ技術経営を学びに行っています。大学院では広い視野で意見交換をする機会が多いので、人と議論をすることで何かを形にするという、事業の基本姿勢を身につけてもらい、仕事の質を高めています。三つめは、おもてなしの心を持ってお客さまと接する、いわゆるホスピタリティを大切にすることです。私たちは情報というサービスを提供して、お客さまに満足していただくという業界です。その根底にお客さまを想う気持ち、ホスピタリティがなければ真にご満足いただけるサービスにならないと考えています。この三つの柱はそれぞれが独立しているのではなく、すべてが有機的に絡み合って、人材や企業文化に強く根づいています。

ゲームソフトの開発会社で、電話応対スキルを強化する理由をお聞かせください。

コミュニケーション能力が上がることでアウトプットの質の向上にもつながった

石本氏:電話応対は数あるコミュニケーションの中でも、口頭の言葉に集中する技術だと思っています。クリエイティブなものづくりの中で、一番問題となるのはコミュニケーションエラーです。デザイナーもプログラマーも、チームやお客さまの指示をきちんと理解し、その理解を形にするのが仕事です。相手の話の意図と自分の理解が違った場合、せっかく作ったものがゴミ同様になってしまいます。ヒューマンエラーを減らし、仕事の精度を高めるためには、口頭での相互理解、つまりオーラルコミュニケーションの力が非常に重要なのです。その強化に向けてはさまざまな研修などがありますが、確実に成果が出るのは電話応対教育です。電話という限られた情報伝達手段の中で、どれだけ正確に、またお客さまの潜在的な希望やニーズをうまく汲み取れるかを強化するために、20年以上にわたりコンクールを活用してきました。

コンクールに挑戦して学んだことは、本業でのコミュニケーション能力向上にも大いに役立っている

実際に電話応対コンクールに参加した皆さんは、どのような成果を感じていますか。

第4研究開発室 室長代理 長田 江里加氏

長田氏:私は、他社の電話応対のプロの応対を聞けたことが学びになりました。デザインの仕事はともすればアウトプットに注力しがちですが、実はお客さまとのやりとりからご希望や意図を汲み取ることがとても重要です。コンクール出場を通して、こちらから質問をすることで真意を引き出す方法を身につけられたことが大きいですね。

経営管理部 部長補佐 小田 遥氏

小田氏:私は海外留学経験者ですが、日本で英語でのコミュニケーションを取る時にどんなマインドで接すれば良いのか迷っていました。海外に合わせると日本人にとっては失礼な対応になりますが、日本に合わせすぎると海外では幼稚な人を扱うような応対になってしまいます。そのバランスが課題でしたが、「英語電話応対コンクール」に参加したことで目指すべき方向性を見つけられました。英語の会話でも少し踏み込んで聞くこと、相手の話だけを聞いて判断してはいけないことを念頭に置きながら、日本的なホスピタリティを込めて応対するようになりました。これからは海外の取引先に「日本の会社と仕事をして良かった」と感じていただけるようになりたいです。

第4研究開発室 係長 菅野 春菜氏

菅野氏:コンクールに出場することで、言葉づかいや話の順番などを細部まで考えるようになり、「こう話した方がお客さまに伝わるな」と手応えを感じることができました。コンクールのために学んだことは、実業務のコミュニケーションにもしっかりと活かせていると感じています。

第3研究開発室 主任 高木 悠希氏

高木氏:私はプログラマーですが、Zoomなどで話すと相手の声が低く聞こえるなど、音声表現の大切さが分かるようになりました。今は、電話口で顔が見えない相手に表情を伝えることを意識しています。コンクールに向けた練習をすることで、自分の音声表現レベルがどんどん上がっていき、お客さまの真意を汲み取ることにもつながりました。

今後、電話やメールで人が応対するのではなく、AIチャットボット等の応対が増えると思いますか。

石本氏:もちろんそうなると思います。ただ、ツールの成熟度と、使い⽅が重要になってくるのではないでしょうか。私どもは利用者と開発者の二面からさまざまなAIチャットツールを⾒ていますが、そこそこの頻度で「想定したものとは異なる使われ⽅なのでは?」「お客さまが期待していることとは別の⽅向に誘導されているのでは?」と感じることがあります。自信満々に見当違いな回答をするAIチャットボットは、お客さまに大きなストレスを与えるリスクになります。現状では、このリスクを回避することはできない状況です。一方、人間は電話やオンラインミーティングにおいて、声⾊や表情ひとつで潜在的な問題に気づくことができます。AIがデータを通して解を出すことと、⼈同⼠が表情を含めた⾳声でやり取りして得る情報には⼤きな差があるのです。AIの技術特性を踏まえて、一次応対としてチャットボットを効果的に使いつつ、⼈だからこそできるコミュニケーション技術で潜在的なニーズや課題を吸い上げることが大切だと考えます。それぞれの特性を踏まえて、うまく技術を併用していきたいですね。

価格より仕事内容で選ばれる時代になればこそ、密度の高いサービスを提供し続けたい

最後に、今後の取り組みや抱負をお聞かせください。

石本氏:私たちは、コミュニケーション能力を高めることで、お客さまの満足度を高め、差別化につなげることを強く意識してきました。プレゼンテーションスキルを高めて受注率を上げることも大切ですが、それよりも実際の業務を通じてお客さまに満足いただき、次も確実にお声がけいただけることのほうがありがたく感じます。これからは、価格ばかりが重視されるのではなく、業務の満足度や成果で評価される時代にシフトしていくと思うので、選ばれ続けるサービスを提供したいですね。また、今までBtoB 事業で培ったコミュニケーション能力をこれからはBtoC事業に展開し、幅広いお客さまに価値をお伝えしたいと思っています。そしてBtoB とBtoC 事業の相乗効果により、会社の価値をより高めていくことが目標です。

※ フードテック
フード(食品)とテクノロジー(技術)を組み合わせた造語で、最新のテクノロジーを駆使することによって、まったく新しい形で食品を開発したり、調理法を発見したりする技術。
会社名 株式会社ファンコーポレーション
設 立 2000年(平成12年)9月
本社所在地 神奈川県川崎市高津区溝口2-17-27 エムスタ第4ビル3階
代表取締役社長 石本 則子
事業内容 ゲームソフト開発業、キャラクターライセンス事業、フードテック事業
URL https://www.funco.co.jp/
〔ユーザ協会会員〕

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