電話応対でCS向上事例

-株式会社 葬仙-
葬儀を安心して任せていただけるよう応対力向上を目指す

記事ID:C20046

1980年(昭和55年)に鳥取県米子市で中国地方初の葬儀会館を開設した株式会社葬仙。人生最後のセレモニーとなる「葬儀」を行う会社として、電話応対で気をつけていることや応対力向上の取り組みについて聞きました。

事業概要と電話応対体制についてお聞かせください。

営業部 次長 1級葬祭ディレクター
別所 伸彦氏

別所氏:葬仙は、昭和55年に鳥取県米子市で中国地方初の葬儀会館を開設した会社で、現在は鳥取県と島根県で13の葬儀専用会館を運営しています。葬儀の事前相談から葬儀後の各種手続きまで、トータルでサポートしているのが特徴です。13店舗それぞれのフロントスタッフを中心に営業職も含めて24時間365日いつでもお客さまからの電話に対応できる体制になっています。お問い合わせ内容は、身内の方の葬儀に関するものが多いのですが、最近では「終活(人生の終わりに向けた準備活動)」をする方が増えた影響で、ご本人からの相談も増えています。また、コロナ禍における安全な葬儀の方法や、「家族葬」、お寺など宗教に関するしきたりなどについて、葬儀社に直接お問い合わせをいただくケースも増えています。

葬儀というデリケートな場だからこそ、正確に情報を聞き取ることが重要

人生最後の祭儀となる「葬儀」を行う会社として、電話応対で気をつけていることはありますか。

営業部 フロント統括マネジャー
山田 広子氏

山田氏:亡くなられてすぐの葬儀ご依頼の電話は、辛い気持ちを抱えながらかけてくる大変デリケートなものなので、特に気を配っています。フロントスタッフに就いてから数年間は、電話を受けるだけで手が震えるくらい緊張していました。その中で私たちが特に気をつけていることは、第一声のお悔やみの言葉を事務的にではなく、心を込めて伝えることです。お客さまが動揺されている時に、私たちの言葉で気持ちが逆なでされることがあってはなりません。「お迎えに行きますから安心してください」とお声がけする一方で、病院名や住所、お名前の漢字などは正確に聞き取れるように、一言一句丁寧に確認しています。また、葬儀に関する言葉には専門用語が多いので、初めてその言葉を聞く方にも伝わるように、例えば「安置」は「故人さまにお布団でお休みいただく」など、適切に言い換えるように配慮しています。

その他に、工夫をしていることを教えてください。

電話応対の様子

山田氏:電話口で、住所などが聞き取れなかった場合、1度は聞き返すことができますが、2度目からは難しくなります。そのため、滑舌や声の大きさなどでどうしても聞き取れないときは、他の情報でリカバリーしています。その一つが「受電シート」です。これは、電話を受ける際に記入するもので、聞き間違いや聞き洩らしを減らすために記録しています。新入社員が慣れるまではシートを手元に置き、次に聞くべきことを横から手助けすることにも役立っています。また、生花などお供え物の注文はFAXで送っていただくのですが、FAXが使えない環境の場合は電話でお聞きすることもあります。お名前を聞き間違えると、そのまま名札に記載されてしまうので、正確に聞かなければなりません。例えば、山田さまであれば「山、川の山」のような形で必ず漢字表記を確認しています。同時に、お客さまが提示された例えとは、別の漢字に例えて確認をすることや復唱することを徹底することで、間違いを大幅に削減することができました。

コロナ禍を経て、電話応対技能検定(もしもし検定)で学んだ「聴く力」の重要性を再認識

電話応対教育として、どのような取り組みをされていますか。

別所氏:社内の機能別ミッションの一つに「電話応対・相談力向上分科会」というものがあります。この分科会は、最初の受電がお客さまにとっての葬儀のスタートであり、何よりも安心して任せようと思っていただけるよう応対力を向上させることを目的としています。一般的に、冠婚葬祭業者は敬語やマナーに詳しいだろうという印象を持たれているため、正しいマナーや話し方を習得する機会を設けています。その一環で、電話応対診断と、もしもし検定を活用しています。分科会発足前に、不定期でもしもし検定を受検していた時は、従業員一人ひとりの意識改革までには至りませんでしたが、継続して取り組むことで意識が変わってきたように感じています。

具体的に、電話応対技能検定(もしもし検定)を活用してどのような効果を感じていますか。

研修風景

山田氏:ベテランの私でも研修講師の方から、自分では気づかなかった癖を的確に指導していただくことがあり、自分が理解しているマナーや常識が正確ではなかったことに気づき、級を取得する以上に得るものが大きいと感じました。そして、これを社内で受検し続けたほうがよいと提案し、約30名のフロントスタッフが中心となって毎年受検しています。現場のオペレーションの都合上、全員が一斉に受検することは難しいのですが、それぞれの受検者が得たものを各エリアに広めることで、一人が二人、二人が三人になるよう、葬仙全体で電話応対への意識やスキルを高めていきたいです。また、研修時に講師の方からは「聴く力」が大事だと教わりましたが、コロナ禍以降はマスクで表情が見えにくいため、「聴く力」がさらに重要になっていると思います。葬儀の専門家としてお客さまの悲しみに寄り添い、心の負担を軽くできるよう、さらに「聴く力」を高めていきたいですね。

また、2019年から継続して企業電話応対コンテストへ参加されていますが、こちらについてはいかがでしょうか。

山田氏:もしもし検定と同様に企業電話応対コンテストも、日常業務である電話応対を社外の専門家の方から客観的に評価していただけるという点で大変役立っています。例えば、電話の取り次ぎ方に弱点があるということが評価から浮き彫りになった際には、フロントメンバーだけではなく全従業員にメールで資料を共有し改善を促すことができました。このように日々の業務を見直すことで、電話応対の品質向上に努めるきっかけになっています。

コロナ禍で、葬儀のスタイルや人々の意識にどのような変化があったのでしょうか。

オンライン相談

別所氏:まず、県外に居る方は身内の葬儀であっても帰って来られないという状況が続いたので、オンラインで相談するようになりました。電話とは違って、見積書や資料をその場で見ていただけるので、理解しやすいというメリットがあります。対面での応対で言えば、コロナ禍の初期の頃は、マスクをしているお客さまの表情を読み取ることが難しく、「満足していただけたのか」と自問自答することも多くありました。2年も経つと、お客さまの目から表情を読み取りニーズを察してご提案したり、はっきり説明したりすることが定着したので、応対にも自信が持てるようになりました。また、葬儀の在り方も変わってきました。以前は、多くの方が参列して涙を流すことは遺族を支える力になっていましたが、コロナ禍以降は、家族葬など少人数でのご葬儀が増えました。「賑わいがなくて寂しい」と感じる方もいらっしゃれば、「周囲に気兼ねなくお別れができた」と思うお客さまもいらっしゃいます。コロナ前と比べて価値観に多様性が出てきたので、お客さまが何を求めているかを見極めることが大切です。シンプルな葬儀を求めるお客さまもいれば、その逆を求めるお客さまもいるので、お客さまのニーズの「一歩先」のサービスを提供していきたいですね。

葬儀業にとどまらず、サービス業の中で「日本一」と思われる応対力を目指したい

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

別所氏:葬儀社は、一般の方にはなじみの薄い特殊な業態ですが、私たちは誇りを持って働いています。そして、私たち燦ホールディングスグループでは「日本一満足・感動いただけるサービス」を目指しています。この「日本一」には葬儀業だけでなく、サービス業全体において「日本一になろう」という意図が込められています。そのためにも、一人ひとりが「このままでもいいかな」という考えではなく、高い理想を持ってどんな業種の方と比べても引けを取らないような応対力を身につけていきたいですね。

会社名 株式会社 葬仙
創業 1980年(昭和55年)
本社所在地 鳥取県米子市長砂町1075
資本金 1,000万円
代表取締役社長 宮永 誠治
事業内容 葬祭事業、仏壇仏具、墓石などの販売・斡旋
URL https://www.sousen.co.jp/
〔ユーザ協会会員〕

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