電話応対でCS向上事例

-株式会社あいプラン-
葬儀という特別な状況下でのお客さまの気持ちに寄り添った応対が大切

記事ID:C20035

北海道で、結婚式やお葬式などの冠婚葬祭事業を中心に、人生の節目のセレモニーに関するサービスを幅広く提供している株式会社あいプラン。今回は、葬祭部門のインバウンドコールセンター立ち上げに尽力した大塚 周雄氏に、葬祭業ならではの電話応対についてお話をうかがいました。

事業概要についてお聞かせください。

渉外営業室 シニアマネージャー
大塚 周雄氏

 あいプランは1963年(昭和38年)に北海道で設立されました。結婚式、お葬式などの冠婚葬祭事業を中心に、介護やレストラン事業など人生の節目のセレモニーをお手伝いする会社です。北海道内に、葬儀場が50ヵ所、結婚式場が5ヵ所、レストランが5つあり、合わせると1,500名ほどが働いています。
 私は、葬儀のインバウンドのコールセンターに長く関与しておりますが、葬儀は、24時間365日稼働し、お問い合わせの電話が途切れることがありません。内容は、これから葬儀を迎えそうだというご相談、葬儀後の諸手続きや仏壇や墓石に関すること、シーズンによっては初盆やお正月の迎え方など、非常に広範で多岐にわたっています。葬儀の仕事はその性格上、次に持ち越すことができない業務がほとんどですので、その点が大変なところです。

コールセンターが発足した経緯や、発足当時の苦労をお聞かせください。

インバウンドコールセンター

 以前は、店舗の事務スタッフが電話応対をしていましたが、葬祭のご連絡は翌日に持ち越せない内容が多いので、勤務時間が伸びてしまうことも多かったのです。そこで、7年ほど前にコールセンターを立ち上げました。ゼロベースでスタートしたので、スタッフの教育が大変でしたね。当時は、体系的な研修プログラムもなく、試行錯誤しながら進めていたので、独り立ちまでに半年ほどかかっていました。今は教育プログラムも整って、机上で1か月ほど宗教や商品知識を学んだ後、先輩オペレーターの横について3か月目には電話が取れるようになります。想定される質問は、FAQのような形でキーワードを入れると画面上に候補がポップアップで表示されるようになっているので、経験が浅くても対応できるようになりました。

大切な方を亡くしたばかりの人の気持ちを推し量って応対する

葬儀業のコールセンターにはどのような特徴がありますか。

お見送りをするスタッフ

 高齢の方からのお問い合わせが多いということがあります。高齢の方とのお話では、しっかりと傾聴することを心がけているので、電話時間が長くなってしまうこともあります。そういった場合でも、焦らず丁寧にお客さまの伝えたいことを聞き取るようにしています。
 話すスピードも相手の方がテキパキと話す方であれば、こちらもそれに沿ってテンポよく話し、ゆっくり一つひとつ話す方であれば、辛抱強くじっくりと対応しています。また、地域の慣習や宗教、亡くなった状況などによって正解は一つではないので、お客さまの情報をお聞きするのに時間がかかります。
 例えば、北海道では常識とされていることでも、本州では非常識ということもありますし、北海道の中でも地域によって違いがあります。北海道は、本州からの移住者で構成されている土地柄ですので、ある地域では出身地の風習が根づいていても、札幌などの都会では慣習にとらわれないということがありますね。また、葬儀は、心理的に日常とは異なる状況の方も多くいらっしゃいますので、それを推し量って応対しなければなりません。淡々と必要事項を話されるご家族もいらっしゃれば、電話口で涙ながらに話し、途中から言葉にならない方もいらっしゃいます。だからといって、聞き間違いをすると大変なことになります。多くの方は病院で最期を迎えますが、似たような名前の病院があるので、「市立病院」と聞いて「札幌市立病院」と思い込み勝手に判断しないよう、しっかりと確認するようにしています。

葬儀業ならではの電話応対の留意点をお聞かせください。

葬儀入電アラーム

 会話のトーンで言えば、ドレミの「ミ」くらいの音程で話すよう、指導しています。ブライダルでは2つ上の「ファ」や「ソ」くらいの音階で電話に出るのですが、葬儀はそれでは高すぎます。また、オペレーターの後ろで笑い声がしないようにすることにも気をつけています。葬儀のご用命の電話が入った時は、ランプ(葬儀入電アラーム)と警告音で全員に静粛にするよう、注意喚起します。大切な方を亡くした直後の方々にとっては、いつもと変わらない日常を送っている人たちとの間に距離を感じるものです。笑い声はそれを増幅させる要因となりますので、このあたりのご遺族の心情をくみ取った応対をすることを常に意識しています。
 オペレーターは縁の下の力持ちと言われることが多いかもしれませんが、弊社では司令塔の役割を果たします。実際に、各式場の使用状況や受付の状態を常に把握して、正確な情報を瞬時にお伝えすることが求められます。オペレーターは、お客さまと最初にコンタクトを取るので、とても重要な役割を担っています。

電話応対コンクールは個人が評価されるため、日々の応対につなげやすい

電話応対コンクールへの取り組みや成果についてお聞かせください。

 社内で評価されるものとは違い、中立的な立場で公正な評価をされるので、定期的に電話応対コンクールに出場することは意味があることだと思っています。一方で、どの研修やコンクールにも当てはまるのですが、参加した直後、一時的に意識やスキルが向上しても、それを維持していくことが課題になります。ただ、ほかの研修と違って、電話応対コンクールは組織というよりも個人が評価されるので、参加者は学んだこと、評価されたことを真摯に受け止めて、日々の業務に活かしやすいと思います。
 今後の希望を言えば、業種によって応対の仕方は異なるので、それを踏まえた指導があるとありがたいです。例えば、高齢者層を対象としている企業は、こういうところに気をつけなければならないとか、同じインバウンドのコールセンターでも、私たちは元気よく出られるサービスではないので、業種に応じた指導や大会があると良いと思います。

ライフエンディングステージを総合的にサポートできる会社になりたい

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

 これまでは、葬儀を起点としてお客さまとのおつき合いが始まるところがありましたが、今後は「ライフエンディングステージ」を総合的にお手伝いする会社になりたいと思っています。例えば、認知症の対策や健康相談、相続や不動産売却のお手伝い、遺品整理などさまざまな業務があります。かつては、ご町内の世話役に頼むとすべて自動的にやってもらえるような時代がありましたが、今は自分のことは自分でやらなければならない、家族がいても迷惑をかけられない、という時代です。そういった皆さまの人生の終盤のステージをトータルでサポートできる会社になっていきたいですね。

会社名 株式会社あいプラン
設 立 1963年(昭和38年)
本社所在地 北海道札幌市中央区南2条西8丁目12-1
資本金 8,000万円
代表取締役社長 新道 喜信
事業内容 冠婚葬祭の施行を目的とする会員システムの運営、結婚式場、 葬祭式場、飲食店等の経営
URL https://www.apg-aiplan.com/
〔ユーザ協会会員〕  

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