電話応対でCS向上事例

-株式会社 福屋-
いつでも・どこでも「福屋らしい応対」でお客さまの声に応えたい

記事ID:C20014

広島で初めての百貨店として創業し、地域のお客さまから愛され続けている株式会社福屋。わずか8 名で担う電話交換室から電話応対コンクールで受賞者を多数輩出する秘訣について、中村氏、竹重氏に話をうかがいました。

事業概要についてお聞かせください。

  • 総務部 総務部長 中村幸治氏

     弊社は1929年(昭和4年)に、広島で初めての百貨店として創業しました。現在は、八丁堀本店を始め中国地方に12店舗を構えています。企業理念に、「“皆様の福屋”をモットーに、いつの時代においても、お客さまの幸福に寄与し得る百貨店であり続けます」と掲げているとおり、どうすればお客さまに喜んでいただけるかを常に考えて、接客応対をしています。(中村氏)

お客さまの生の声を「日報」で各部署と共有し、快適な売り場づくりにつなげたい

御社の電話応対の取り組みについてお聞かせください。

 10年ほど前に業務効率化を目的に、本店と広島駅前店の電話応対業務を本店の「電話交換室」に集約しました。現在は8名の社員が在籍し、毎日4 〜 5名の社員が300件近くのお問い合わせに応対しています。
 昨年春の緊急事態宣言中は、福屋も臨時休業していたのですが、こんな時こそお客さまの生の声を聞くチャンスだと捉え、電話交換室での応対を続けました。日頃、売り場には「ウォントメモ」というご意見箱を設けているのですが、やはり電話のほうが日々の何気ないご不満やご要望をお聞きすることができます。
 また、コロナ以降はお客さまのお声を「日報」として関係部署に配布することにしました。「広告やチラシが分かりにくい」「駐車場が不便だ」といったご意見を、その日のうちに現場と共有・改善することで、お客さまの理想のお店に少しでも近づけたいと思っています。(中村氏)

福屋の「応対基本3 原則」を、一人ひとりの接客応対に根づかせることが何よりも大事

接客応対で大切にされていることをお聞かせください。

 福屋には、応対の基本3原則として『「ありません」を言わない』、『ご要望に応える努力をする』、『お客様の連絡先をメモし、後日ご連絡を差し上げる』と定めています。これを朝礼や研修時に繰り返し唱和して、自然とそのような応対ができるようにしています。
 例えば、お客さまから「この商品はありますか」と聞かれた時に、すぐに「ありません」と答えるのではなく、ほかの売り場を探したり、メーカーに聞いたり、最善の努力をするということです。この基本3原則が一人ひとりの社員に根づくことが何よりも大事だと思っています。(中村氏)

 また、形式的な応対にならないよう、電話応対のマニュアルは作っていません。私自身も、ベテラン社員の電話応対を聞いて、実践して失敗を繰り返しながら覚えてきました。実は、私は入社から10年近く売り場での接客業務を担当しており、出産、育児休暇を経て復帰した先が電話交換室でした。お客さまのお顔が見えない電話での応対に、最初は戸惑いもありましたが、「顔が見えないからこそできることがある」と、ベテランの方々から応対の仕方を学んできました。電話交換室の社員は、「電話応対が上手くなりたい」という向上心を持っているので、周囲の電話応対を聞いて、自発的に努力をしています。教えることも大事ですが、一人ひとりの電話応対に対する積極的な姿勢が、スキルの向上につながっているのだと思います。もちろん、個人の裁量に任せるだけでなく、困っている仲間をお互いに助け合うなど、人数が少ないところは一致団結して取り組んでいます。(竹重氏)

御社の売り場作りで大切にされている姿勢を教えてください。

 常にお客様の生の声を生かした売場づくりを心がけています。展示会や雑誌などから流行をキャッチしてお店に並べる商品を決めたりしますが、実際に店頭に並んだ商品のすべてがお客様に受け入れられるとは限りません。ですから、日々の接客の中で、福屋のお客さまがどんなものを求められているのかを聞き出し、それを売場に反映させることを大切にしています。(中村氏)

コンクールでも素の自分で、いつも通りの応対をすることが成果に結びついた

電話応対コンクールで、例年優秀な成績を収めていますが、何かコツはあるのでしょうか。

 おかげさまで、昨年は全国大会で優勝することができました。県大会では毎年のように上位に選んでいただくので、『すごいですね』『どのように教育されているのですか』と聞かれるのですが、特別なことは何もしていません。『電話応対コンクール』は、あくまで日頃の業務の成果をお披露目する場であり、私たちに足りていないものを教えてくださるのは、日々のお客さまの声だと考えています。(中村氏)

総務部 電話交換担当 竹重由紀子氏

 大会では、素の自分でいることが大切だと思います。私も以前は、頭の中でセリフを組み立てながら応対していたのですが、ある時原稿を読むような口調になっていると気づきました。今回は、本番で予期せぬところを突かれて頭が真っ白になり、幸いにもそれが素の自分を引き出してくれました。想定していた状況に定型文で応対するのではなく、初めての状況に対して自分らしい応対ができた点を評価してくださったのだと思います。いつも通りの応対に対して全国大会優勝という評価をいただけたので、「自分の応対は間違っていなかったのだ」と自信がつきました。(竹重氏)

電話応対コンクールの全国大会で優勝されたことで、社内で変化はありましたか。

 コロナ禍で士気が下がっている中で、明るい話題を提供してくれたので、社内全体がとても盛り上がりましたね。お客さまからも「すごいね」というお声をたくさんいただいています。電話交換室の中でも、「次は私が頑張ろう」という気持ちが湧いてきているようで、社員のモチベーション向上にもつながっていると思います。(中村氏)

ベテラン社員が退職した後も、背中で「福屋らしい応対」を継承していきたい

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

 「さすが、福屋さんですね」「福屋に任せて良かった」と言ってくださるお客さまを一人でも増やしたいと思います。厚い信頼があるからこそ、何か一つのミスでも「福屋さんともあろうものが」と言われてしまいます。そういったことがないよう、今後もお客さまの声に真摯に向き合って、日々の接客応対、売り場づくりにつなげていきたいですね。(中村氏)

店内放送も実施

 ベテラン社員が退職した後も、「福屋らしい応対」を後輩に継承したいですね。私自身、「福屋らしい応対」を口で説明することはできないのですが、電話応対コンクールに参加するほかの企業の方々は、言い回しや声の高低で福屋の応対だとすぐにわかるそうです。お褒めの言葉をいただくことも多いので、「福屋らしい応対」をしっかりと受け継いでいきたいです。とはいえ、「福屋らしさ」は手取り足取り教えてもらうものではなく、先輩の背中を見て自然と身についていくのだと思うので、良いお手本になれるよう励みたいと思います。(竹重氏)

会社名 株式会社 福屋
創業 1929年(昭和4年)8月
本店所在地 広島県広島市中区胡町6-26
代表取締役社長 大下 洋嗣
事業内容 百貨店
URL https://www.fukuya-dept.co.jp/
〔ユーザ協会会員〕

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