電話応対でCS向上事例
-霧島酒造株式会社-農産加工品を扱うからこそ、 相手の立場で傾聴する
記事ID:C20013
「品質をときめきに」を企業スローガンに掲げ、地元の素材を使い本格芋焼酎を提供している霧島酒造。農産加工品だからこそ、お客さまの手元の商品の状態を探りながら応対するのは難しいと語ります。今回は、霧島酒造株式会社の今泉氏、谷口氏、仲井氏に話をうかがいました。
事業概要についてお聞かせください。
酒質開発本部 品質保証部 部長 今泉 清彦氏
1916年(大正5年)の創業以来、『黒霧島』をはじめとする本格芋焼酎の製造・販売を行っています。「品質をときめきに」を企業スローガンに掲げ、南九州の自然の恵みを活かした芋焼酎を作り続けています。
弊社の運営する『焼酎の里 霧島ファクトリーガーデン』では、焼酎の工場見学や地元の食材を楽しめるレストランがあり、年間約40万人の方が来場されます。(今泉氏)
焼酎という賞味期限のない農産加工品だからこそ、商品の状態を傾聴することが大事
御社の電話応対の特長についてお聞かせください。
酒質開発本部 品質保証部 お客様相談室 係長 仲井 俊裕氏
私どもお客様相談室は、5名体制で代表電話や商品・キャンペーンなどのお問い合わせ対応をしています。電話問い合わせが約9割を占め、中元、秋口から歳暮の時期は数も多くなります。昨年は1年間で約6,000件のお問い合わせをいただきました。(仲井氏)
酒質開発本部 品質保証部 お客様相談室 室長 谷口 幸子氏
お店に並ぶ商品は、工業製品のようにまったく同じものだと認識されるお客さまもいます。しかし、私たちの作る芋焼酎は農産加工品であるため、気候によってさつまいもの質が異なることで、焼酎の味にわずかな違いが出ることもあります。また、焼酎には賞味期限はありませんが、風味や香りが変化することはありますので、そういったお問い合わせもあります。例えば、最近購入した商品と何十年もご家庭で保管していた商品とでは、応対の方法も異なりますので、お客さまがどのような商品をお持ちであるかをしっかり把握するよう心がけています。
弊社の焼酎は、本格焼酎を知り尽くした熟練のブレンダーが、利き酒をしながら味わいを決めています。とはいえ、嗜好品ですのでお客さまが好む基準も違いますし、そのどれもが不正解ではありません。商品の状態を探ることはとても難しいですが、親身にお話を聞くことを心掛けています。(谷口氏)
独自の「グッジョブ制度」を取り入れることで、応対時の「言葉の引き出し」が豊かに
電話応対のスキル向上に向けた取り組みについてお聞かせください。
2015年(平成27年)から電話応対コンクールに取り組んだことで、個人の力量に頼るのではなく、お客様相談室全体で一定の基準を満たした応対ができるようになりました。参加前は企業本位の応対になってしまいがちでしたが、相手の真意を汲み取ることができるようになり、応対の感性が研ぎ澄まされたようにも感じます。
また、私たちにとってお客さまの声は財産なのですが、以前は他の部署にその貴重な声が思ったほど知られていませんでした。そこで、2017年から、応対した室員にとって「嬉しかった声」や「気になった声」を週報で社内配信し始めました。社内の感度を高めるよいきっかけになっています。さらに、お客様相談室で日々お客さまの声と向き合うからには「霧島酒造らしい電話応対」をもっとみがいていきたいと思い、皆で電話応対技能検定にもチャレンジしています。私自身も実際に指導者級まで受検し、正しい表現方法や対応の基本を改めて身に付けることができました。それを後輩たちにも伝えていくことが自身の責務であると感じています。(谷口氏)
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電話応対の様子
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電話応対コンクール宮崎県大会に出場し準優勝、優秀賞を受賞した室員
弊社のお客様相談室の特長として、室員の発案により『グッジョブ制度』というものを導入しています。これは、四半期に1回、自薦で「これはうまくいった」という1本の応対音声を提出し、良い点をひたすら褒め合うという独自の制度です。批判は一切なしです。
日々の業務では、苦情のお電話は社内で掘り下げて改善に取り組みますが、良い応対にはなかなかスポットが当たらないのが現状です。だからこそ、良い応対の音声を聞いてお互いに褒め合うことで、室員同士の横のつながりを高めることが大事だと考えています。
それぞれが持つフレーズや言い回しなど「言葉の引き出し」を共有できるので、一人ひとりの表現方法も豊かになりましたし、後輩の成長にも気付くことができました。
1次応対をする後輩たちがみるみる成長しているおかげで、私が2次応対をすることも少なくなりました。電話応対スキル向上に向けた日々の取り組みが、実務においても成果として表れてきています。(谷口氏)
電話応対コンクールに出場されて、どのような気付きがありましたか。
私はお客様相談室に異動してきて1年も経たない中でしたが、2020年の電話応対コンクールでは、宮崎県大会で入賞を果たすことができました。電話応対コンクールに出場したことで、お客さまの話を傾聴し、ご依頼に応え、感謝の気持ちで締めくくるといった、自分なりの電話応対の形を作ることができました。
その一方で、「伝える力」が自身の課題だと気づくこともできました。上位に入賞された方々の応対を拝聴すると、相手の話を上手に受け止めるだけでなく、分かりやすく説明されていたのが印象的でした。「伝える力」を伸ばすには、上手な方の音声と自分の音声を研究することが重要だと考えています。自分の応対を録音して聞き返すことにより、相手にどのように伝わっているのかを客観的に判断することができるので、自分が持っているイメージとの間にギャップがあることに気付くことができます。
日々の業務では自分本位の応対になってしまいがちですが、本当に大事なことは『お客さまがどのように受け止めているか』です。お客さまには、老若男女問わず様々な方がいらっしゃるので、お一人お一人に合った応対ができるよう心掛けています。(仲井氏)
南九州に根差した会社として、お客さまに風土や文化の魅力を発信していきたい
最後に、今後の目標についてお聞かせください。
私は上司の立場で、電話応対コンクールに向けてお客様相談室が一体となって挑戦する雰囲気を強く感じています。また、異動してきたばかりの室員が短期間でみるみる成長しているので、お客さまのお話を傾聴し、意図を汲み取る力をつける大事な場だとも考えております。これからも電話応対コンクールに挑戦し続けることで、傾聴力や伝える力を高めてほしいですね。(今泉氏)
霧島酒造として、他県から就職した社員も一丸となって南九州らしさを伝えられるよう、方言の勉強にも力を入れたいと思っています。お客さまの中には、地元の方言を聞くだけでホッとされる方もいらっしゃいますし、方言は人柄や地域らしさを伝える一つの方法だとも考えています。
お客様相談室は、ご愛飲いただいているお客さまと会社をつなぐ架け橋でありたい。商品だけでなく、背景にある南九州の風土や文化の魅力も発信していきたいと思っています。(谷口氏)
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お客様相談室の様子
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定期的に消費者対応部門研究会を開催。お客さまの声を基に接客部門でより良い応対を研究しています
会社名 | 霧島酒造株式会社 |
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創業 | 1916年(大正5年)5月 |
本店所在地 | 宮崎県都城市下川東4丁目28号1番 |
代表取締役社長 | 江夏 順行 |
事業内容 | 酒類の製造および販売 レストラン事業 |
URL | https://www.kirishima.co.jp/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
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