電話応対でCS向上事例
-資生堂ジャパン株式会社-商品ブランド別の電話応対体制で、顧客ロイヤルティの向上と商品の改良を実現
記事ID:C20012
一部の商品ブランドについては専用のフリーダイヤルを設置し、専門の担当者が応対することでお客さまのロイヤルティ向上と、商品の改良につなげている資生堂ジャパン株式会社。今回は、コンシューマーセンターの上田 まき子氏に、電話応対で大切にしていることについて話をうかがいました。
事業概要についてお聞かせください。
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コンシューマーセンター
CS 窓口1グループ
上田 まき子氏資生堂は、1872年(明治5年)に日本初の民間洋風調剤薬局として創業しました。社名の『資生堂』は、中国の古典の易経の中にある「大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる」という一説に由来しています。
その後、化粧品事業へ進出して、スキンケアやメーキャップなど化粧品を中心とした事業を行う一方で、レストランや医薬品・保育などの事業を幅広く展開しています。
商品ブランドごとに専門の担当者を配置し、きめ細やかな応対を目指す
御社の電話応対の特長についてお聞かせください。
コンシューマーセンター
オフィスフロア
2017年(平成29年)、部署名をコンシューマーセンターに変更しました。
これは、資生堂製品のご愛用者だけでなく、生活者(=コンシューマー)の声すべてに最大限お応えするという意味が込められています。
資生堂では一部のブランドについて専用のフリーダイヤルを設置しており、豊富な知識を持つ専門の担当者が応対しています。お客さまは安心してお話しいただけますし、コミュニケーターは担当ブランドに関する深い知識のもと、自信を持って応対することができます。それによって、お客さまに継続して資生堂の商品をご愛用いただくことにつながっていると思います。
また、センターには約80名のスタッフがおり、うち、約50名がお客さま対応担当者で、電話だけでなくLINEチャットやSNSでも対応を行っています。
お寄せいただいたお客さまの声は、情報活用担当者が関連部門に届けて商品やサービスの改良につなげています。
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資生堂ジャパンに寄せられたお申出内容の内訳(集計期間:2019年1~12月)
お客さまの声から改良された事例をご紹介いただけますか。
『プリオール リッチ美活クリーム』という商品は、化粧水や乳液などの愛用者の方から「クリームも同じブランドでお手入れしたい」というご要望の声を多数いただき、新たに開発されました。
また、女性用化粧品の『ドルックス』シリーズは、以前はガラス瓶だったのですが、ご愛用者の高齢化により「ガラス瓶では重たい」という声を受けて、現在は使いやすいプラスチック容器になっています。
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お客さまの声を反映した商品事例『プリオール リッチ美活クリーム』(2019年)
御社が、電話応対で工夫されていることを教えてください。
お電話をされるお客さまはシニア層が多いので、シニアの特徴を踏まえたマニュアルを作成しています。その中の一つとして、短い文章で話すこと、お客さまのお話をできる限り言い換えずに繰り返すことがあります。
例えば「これは洗顔の後に使うのですか?」と訊かれた時に「はいそうです」だけですと、お客さまの中には質問の意図が伝わらなかったと思って、同じ質問を繰り返す方もいらっしゃいます。ですので、「はい。洗顔の後に使います」というように、お客さまのフレーズをそのまま使って回答するようにしています。
電話応対コンクールは、「3分」でお客さまの悩みを解決する方法を考えるきっかけになる
電話応対スキル向上に向けた取り組みについてお聞かせください。
電話応対技能検定(もしもし検定)や電話応対コンクールに取り組んでいることに加え、HDI※1-Japanが定める「クオリティモニタリング格付け」を指標にしています。こちらは、2016年(平成28年)に化粧品業界初の五つ星認証を取得することができました。
電話応対コンクールに出場することは、御社にとってどのようなメリットがありますか。
電話応対コンクールに参加すると、3分と決められた時間内でお客さまが何を知りたいのかをつかみ、分かりやすく簡潔に伝えるにはどうしたら良いのかを考えるきっかけになります。さらに、臨機応変に対応する力も身につきます。分かりやすく簡潔に伝えることで、お客さまにご満足いただく応対につながるとともに、応対の時間が短縮され、実際に受電率も上がっています。
ただ、私たちはお客さまとお話しする際に「共感たっぷり」で話すことを大切にしています。例えば、お詫びをする時でもただ詫びるのではなく、何に対してお詫びしているのか明確にします。そして、その上で丁寧に説明してご理解を得る、というように段階を踏んで対応しているので、どうしても3分では収まらないといったジレンマもあります。(笑)
上田さまは、もしもし検定の指導者級も取得されていますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか
もしもし検定1級の資格は持っていましたが、指導者級を取るまでには約5年のブランクがありました。指導者級を目指したのは、電話応対研修の担当者になったことがきっかけです。上司も、指導者級を取得していた方が体系的に指導でき、何よりも受講者に対して説得力が増すということから積極的に後押しをしてくれました。
指導者級と1級の違いは、やはり責任感だと思います。周りからは「指導者なのだから電話応対は完璧だろう」という目で見られますし、それが当たり前だと思っています。だからこそ、指導者級の勉強会などに参加し、電話応対だけでなくコミュニケーションに必要な知識全般を学ぶことで、常にスキルアップを図るよう努めています。これは、社内研修だけでなく、社外の方々への研修や、普段の電話応対にも活かされているという実感があるので、自信にもつながっています。
お客さまの気持ちを細やかに理解し、共感することで「心に寄り添った応対」を目指す
最後に、今後の目標についてお聞かせください。
電話応対はAIに取って代わられると言われていますが、やはり心を通わせた応対ができるのは人ならではだと思っています。相手の細やかな気持ちを理解して、常に共感の気持ちを持ちながら「心に寄り添った応対」を目指したいです。
それには、通り一遍の相づちや共感では伝わらないので、仕事以外の場面でも日頃からアンテナを張って語彙を増やす意識を持つようにしています。
お客さまにお話しする際も同じ言葉を繰り返すのではなく、さまざまな言葉で言い換えられるように、言葉の引き出しをたくさん持っていたいですね。
※ HDI:1989年に米国で設立されたITサポートサービスにおける世界最大の団体。米経済誌フォーチュン・世界企業500社番付にランクインする多数の企業が加盟している。HDI-Japanでは、サポートサービスの向上を目指して、企業のお客さま窓口の評価をする「HDI格付けベンチマーク」を行っている。
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資生堂本社汐留オフィス
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会社名 | 株式会社 資生堂 |
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創業 | 1872年(明治5年) |
本店所在地 | 東京都中央区銀座7-5-5 |
代表者 | 代表取締役社長兼CEO 魚谷 雅彦 |
資本金 | 645億円 |
事業内容 | 化粧品事業 |
URL | https://corp.shiseido.com/jp/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
電話応対技能検定実施機関
資生堂ジャパン株式会社
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