電話応対でCS向上事例

-日本図書輸送株式会社-
電話応対技能検定(もしもし検定)受検で応対品質の基礎を固め「人が応対するサービス」の拡充へ

一般輸送・倉庫業を含めた総合物流企業として、全国に31ヶ所の拠点を展開する日本図書輸送株式会社。物流業務から派生したコールセンターなどの「人が応対するサービス」を拡充するにあたり、2018年から電話応対技能検定(もしもし検定)に取り組んでいます。多数の資格保持者を輩出するだけでなく、日常の会話においてもコミュニケーションスキルの上達を実感するほどになりました。

事業概要について教えてください。

  • ▲代表取締役社長 横山 秀一氏

     弊社は1961年(昭和36年)11月に設立され、一般輸送・倉庫業を含めた総合物流企業として、全国に31ヶ所の拠点を設けています。日本図書輸送という名前のとおり、創業当初は書籍・雑誌の輸送が多かったのですが、お客さまから「こんなことはできないか」という相談を受けて、今では物流に限らず、コールセンター業務やオフィス移転業務、美術館・博物館の展示、耐震施工サービスなども手がけています。お客さまからのご依頼には「できないと言うのではなく、どうすればできるかを考える、努力する」という姿勢を大事にしています。例えば、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震と大規模な地震が続き、耐震補強について相談されることが多くなったのですが、弊社はオフィス移転業務で什器の取り扱い方が分かっていたので、引越に付随する耐震補強までサポートさせていただこうと、懸命に勉強して対応できるようにしました。東日本大震災では、弊社が施工した箇所で「ものが飛んで人を傷つけた」ということはありませんでした。(横山氏)

コールセンター業務が拡大した理由を具体的にお聞かせください。

 以前から弊社の受注センターで物流・倉庫業務の電話を受けていましたが、近年は、お客さまから「自社のサービスを拡充するため、カスタマーコールセンター業務を委託したい」というご依頼が増えてきました。「ものを運ぶ」というのは、単にものを届けるのみならず、送る側と受け取る側の気持ちを取り持つことが必要です。弊社は、さまざまな業務でお客さまのビジネスプロセスのアウトソーシングを支援していますが、その切り口として「物流の間を取り持つ」ことを重視しています。その一つの形としてコールセンター業務が拡大してきたのだと考えています。(横山氏)

もしもし検定受検前には、メンバーが互いに自宅から電話をかけ合うことも

もしもし検定を受検するきっかけを教えてください。

 物流から派生して、さまざまな業務を担うようになる中で、社員の日本語の使い方、電話応対のあり方に対して「ちょっと違うのではないか」と思うことが増えてきました。電話応対は顔が見えない分、言葉一つでお客さまの心が近づいたり、離れたりしてしまいます。高齢者に対して早口にならないこと、語尾をはっきり言うことなど、まずは基本的な電話応対の技術を身につけ、その上で経験をプラスすることが重要だと思っています。もしもし検定は、研修で接客応対を体系的に学び、さらに検定で3級、2級、1級と段階的にレベルアップできるので、しっかりと実力をつけることができます。また、資格を取るという具体的な目標に向かうことで社員のモチベーションも高まるので、もしもし検定に取り組んで良かったと思っています。(横山氏)

取り組みにあたり、具体的にどのようなことをされましたか。

  • ▲総務部
    総務人事課
    担当課長
    木下 敬子氏

     ベテラン社員から新入社員まで、幅広いメンバーが2018年9月、11月に受検したのですが、受検の前にはメンバーが団結して、昼休みに電話応対の練習をしたり、互いに問題を出し合ったり、夜に自宅から社員同士で携帯電話をかけて練習するなど、かなり真剣に取り組みました。その結果、2回の検定で24名のメンバーが3級に合格することができました。(木下氏)

日常会話の中でも、もしもし検定で学んだことが活かされていると実感

もしもし検定を受検することにより、どのような効果がありましたか。

  • ▲本社コールセンターの様子

     ベテラン社員にとっては自身の電話応対を原点から見直すきっかけになり、新入社員にとっては、入社時の研修で緊張して覚え切れなかった研修内容を復習する機会となりました。また、受検を通して、自分の声を聞いたことがメンバーにとっては新鮮であったようで、その後は日常的にスマートフォンに会話を録音して聞くようになりました。最近では、ほかの人の言い回しや、くせについて互いに声かけするようになり、録音を聞いて「あ、本当だ」と反省して直しています」(木下氏)

     私は、日常会話の中にもしもし検定で培ったものが活かされてきたと感じています。社内外から電話がかかってきた時、人から声をかけられた時の応対が無意識のうちに変わってきました。電話は、限られた時間で分かりやすく話すことが求められますが、要件をしっかりと伝える、相手の理解を確認することが自然とできるようになってきたと実感しています。(横山氏)

今後は、物流から派生した「人が応対するサービス」を広げていきたい

今後、御社はどのような姿を目指していますか。

 常に物流がベースにありますが、物流から派生して「人が応対するサービス」を広げていきたいと思っています。今、日本は高齢化社会となり70歳まで働くという話も出ていますが、物流業はパワーが勝負で50代、60代になると若い頃のような働きはできません。ただ、年齢を重ねたメンバーだからこそ、彼らのノウハウ、経験値を活かせる業務としてコールセンターなどの人的サービスが合うという面もあります。引越業務はできなくても、コールセンターなら年配者が若い人よりも余裕を持った受け応えができることも多いです。女性が結婚して、ずっと働ける職場は、女性の社会進出という面でも物流業界では重要だと思っています。長年、接客応対をしてきた方ではなく、さまざまな業務を経験された方がコールセンターに入ることが多いので、電話の第一声である「もしもし」から大事にして学習を始めてもらいたい。だからこそ、もしもし検定を推進しています。電話応対はすべての基本で、これが活かされない職場はないと思っています。これからは、人とコミュニケーションを取る仕事がさらに増えるので、電話応対という一番大事で、基礎的なスキルは、すべてのコミュニケーションに通用すると思っています。社員のコミュニケーション力を高めることで、「人が応対するサービス」を広げていきたいですね。(横山氏)

企業名 日本図書輸送株式会社
創業 1961年(昭和36年)11月16日
本社所在地 東京都江東区新木場1-18-10
代表取締役社長 横山 秀一
資本金 1億円
事業内容 一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱業、倉庫業、国内イベント、美術品展示梱包、商品販売、産業廃棄物収集運搬業
URL https://www.nty.co.jp/

電話応対技能検定実施機関

B -コミュニケーション株式会社

https://www.b-comm.co.jp/

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