電話応対でCS向上事例

-株式会社伊予銀行-
“Digital”を徹底的に活用し、人“Human”ならではの温かみある応対で、CXの向上を目指す

記事ID:C20055

愛媛県を中心に、国内13都府県だけでなく海外にも店舗を展開している伊予銀行。『DHD(デジタル・ヒューマン・デジタル)モデル』というコンセプトを掲げ、CX※1向上を最優先課題としている同社において、顧客接点の専門部署として取り組んでいることをお聞きしました。

三つの専門部署で、伊予銀行が掲げる「DHDモデル」を推進

事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。

人事部 課長 納田 崇氏

納田氏:伊予銀行は愛媛県松山市に本店を置く地方銀行です。1878年(明治11年)に創業し、今年145周年を迎えます。地方銀行では珍しく、愛媛県を基盤としながら、国内13都府県に151店舗とシンガポール、上海、香港に拠点を構えています。最近では、お客さまとの接点として『DHDモデル』という考え方を推進しています。これは、“Digital”技術と、お客さまに寄り添った“Human”の要素を掛け合わせた考え方です。電話での接客応対の専門部署は、「電話受付センター」「VC(ビデオチャット)※2受付センター」「お客さまサポートセンター」の三つがありますが、それぞれの部署で『DHDモデル』を推進しています。

「手のひらの伊予銀行」を実現すべく、ビデオチャットでの応対力を高めたい

各部署の役割と、特徴についてお聞かせください。

事務統括部 電話受付センター
兵頭 哲郎氏

兵頭氏:「電話受付センター」は約30名体制で、愛媛県内91の営業店にかかる電話とフリーダイヤルからの問い合わせのすべてに応対しています。1日のコール数は、約1,400~1,500本で、うち60%程度が問い合わせです。問い合わせのうち60%、全体では35%を当センター内で完結することを目標としています。お問い合わせ内容は、預り資産と融資を除く業務全般であり、オペレーターには幅広い知識が求められます。マニュアルだけでは対応できない細かなことを聞かれることが多いため、勉強会などを通じて知識を高めています。また、言葉づかいや言い回しなど、お互いのコールの録音を聞き合うことで、良いところを参考にしたり、悪いところを修正する取り組みを継続しています。各自が気づいたことを共有することで、組織全体の平準化とレベルアップを図っています。

事務統括部 VC受付センター
課長代理 森岡 清香氏

森岡氏:「VC受付センター」は、現在10名で運営しています。2021年6月から運用を開始した「AGENTアプリ」のビデオチャットで、預金口座の開設、カード発行や相続といったさまざまな銀行手続きを受付しています。AGENTアプリは、「どこからでも、つながる」「手のひらで、お手続きできる」というお客さまの視点に立った「やさしいデジタル」を実現し、お客さまの人生に寄り添う真のAGENT(代理人)を目指すために開発されたスマートフォンアプリです。

VC受付センター

 ご自身の操作で完結できるお手続きもありますが、ビデオチャットを通じて店舗に来店しているかのように職員に直接相談しながらお手続きをすることもできます。性別問わず幅広い年齢のお客さまにご利用いただいております。そのため端末操作に不慣れなお客さまにも安心感を持っていただけるように温かい応対を心がけています。

事務統括部 VC受付センター
林 智実氏

林氏:スマートフォンの機種が多いので、お問い合わせに対して正確に操作をご案内するのが難しいこともあります。頻度が少ない機種の操作などは皆で共有し、一人ひとりが、より丁寧で分かりやすいご案内ができるようにしています。また、ビデオチャットの応対はカメラに向かって話す難しさもあります。手元の資料に集中しすぎてしまうと、カメラから目線が外れてしまうので、スクリプトをしっかりと理解するなどの対応をしています。

事務統括部 VC受付センター
渡部 朋美氏

渡部氏:カメラに目線を合わせることに加え、大きくうなずくことやゆっくり丁寧にお話しすること、お客さまの反応も意識しています。私たちは銀行窓口での接客経験がありますが、ビデオチャットは電話や窓口応対とは違ったスキルが必要です。教育プログラムの確立はこれからになりますが、VC受付センターでは、メンバーが集まり、職員とお客さまの役割に分かれて、繰り返しロールプレイ研修を行うことで応対スキルの向上に努めています。

お客さまサポートセンター
課長代理 平岡 沙織氏

平岡氏:「お客さまサポートセンター」では、主に金融商品やサービスの問い合わせを受けるインバウンド業務、商品をご案内するアウトバウンド業務および投資信託に関する業務を行っています。私は個別商品の案内にこだわらない非定型のアウトバウンド業務を担当しています。アウトバウンド業務では、営業店からは接触しづらい現役世代のお客さまに電話することが多いですね。現役世代のお客さまはお仕事中に出ていただくことが多いので、「忙しい」とか「1分で説明してほしい」と言われることもあります。そのような場合は、後ほど落ち着いて案内を聞いていただくために、お客さまのご都合の良い時間帯をお聞きして、かけ直すようにしています。
 アウトバウンド業務は、お客さまのご用件で電話をいただくわけではないので、すぐに断られることが少なくありません。そのため、お客さまの状況やお気持ちを察し、受けとめることがとても重要です。その上で、「せっかくお話をする機会をいただけたので、何でもよいので、銀行の手続きで困っていることなどはないですか」と投げかけるようにしています。すると、お客さまから「キ ャッシュカードが割れて使えなくて困っている」とか、「通帳に記帳ができない」というようなお声をいただくことにつながります。時には「車の買い替えをしたいので、ローンを考えている」など、思いもよらないご相談をいただくこともあります。元々のアウトバウンド業務の主旨にこだわらず、お客さまのお役に立ちたいという気持ちで臨機応変に対応することが大切だと考えています。

非対面の応対に力を入れているからこそ、電話応対コンクールが役に立つ

電話応対コンクールに取り組まれた経緯、成果を教えてください。

電話受付センター

平岡氏:これまでも営業店の若手職員を中心に電話応対コンクールに参加してきました。コロナ禍で非対面営業の重要性が高まっていることもあり、今回初めて本部の専門部署の代表としてコンクールに参加しました。県大会で上位に入賞された方々の応対を聞くと、丁寧というだけでなく、言葉の選び方や抑揚のつけ方、間の取り方など細かなところにまで配慮していることが分かりました。それを人づてに聞くのと、実際に体験するのとでは修得できることが違うので、機会があればほかの人にも積極的に参加してほしいですね。特に、営業店の若手職員にとっては、自分たちの電話応対を客観的に聞く機会は多くありません。コンクールに向けた研修の中で、何回も自分の電話応対を聞き、音声表現を指摘していただくので、このような機会を得ることだけでも参加する意義があると思います。

お客さまを想う気持ちとデジタル技術を組み合わせて、CXの向上を目指す

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

納田氏:いよぎんグループでは、CX向上を最重要課題としています。お客さまにとって使いやすく、快適で喜んでもらえるようなサービスを提供できるよう、まずは電話応対の専門部署のスキルをさらに磨きたいですね。そこで得た経験やスキルを全国の営業店にも広めていくことで、全職員の応対スキルを向上させたいと思っています。その上で、いよぎんグループのお客さまを大切に想う企業文化とデジタル技術による効率化や利便性を組み合わせることで、さらなるCX向上を目指していきたいですね。

伊予銀行が掲げる「DHDモデル」

※1 CX(Customer Experience:顧客体験・顧客体験価値)
商品やサービス購入前の段階から購入後のサポートまでの一連の期間に、お客さまが企業に対して持つ評価のこと。簡単に言うと「お客さまが感じる企業の印象」のようなもの。
※2 VC(ビデオチャット)
主にスマートフォンを通じて、お互いの映像を見ながらリアルタイムに会話ができるコミュニケーションツール。
会社名 株式会社伊予銀行
創業 1878年(明治11年)3月
本店所在地 愛媛県松山市南堀端町1番地
取締役頭取 三好賢治
拠点数 国内151か店(店舗内店舗22、出張所9を含む)、海外1か店(シンガポール)、海外駐在員事務所2か所(上海、香港)
URL https://www.iyobank.co.jp/
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