電話応対でCS向上事例

-富山信用金庫-
IT化が進む時代だからこそ、温かみや親しみを感じる「富山信金らしさ」を大切にしたい

記事ID:C20054

信頼され、親しまれる金融機関として地域に奉仕することを基本姿勢とし、2022年4月に創業120周年を迎えた富山信用金庫。IT化、効率化が求められる今の時代だからこそ、温かみや親しみやすさを感じる応対を大切にしています。今回は、「富山信用金庫らしさ」を高める工夫などについてうかがいました。

事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。

常務理事 総務部部長
梅川 雅之氏

梅川氏:富山信用金庫は富山市に本店を置く信用金庫です。1902年(明治35年)に地元の売薬業者で立ち上げた富山売薬信用組合として創業し、2022年(令和4年)4月に120周年を迎えました。現在の営業エリアは富山市とその近隣市町村を中心とした富山県内全域で、29店舗約250名体制で運営しています。お客さまからの電話には、コールセンターのような専門の部署ではなく、各営業店や本部で対応しています。個人の方からの問い合わせは、遠方に住んでおられたり、平日に来店できない方からの預り資産運用の相談のほか、相続やローンなどの問い合わせが多く、法人のお客さまは事業承継などのさまざまなコンサルタント業務についての問い合わせが多くなっています。

信用金庫らしい、優しさ、温かみ、親しみを感じる応対を大切にしたい

電話応対教育について大切にしていることを教えてください。

人事担当 副調査役
牛島 絵夢氏

牛島氏:新入職員向けのマナー研修では「信用金庫らしさ、優しさ、明るさを忘れないように」と伝えています。信用金庫のお客さまには年配の方が多いので、応対が機械的にならないように、また、相手の方の立場や状況に合わせた応対をするように指導しています。例えば、敬語の中にも富山弁を混ぜて親近感を感じていただくなどの工夫をしています。ただ、年配の方に対する配慮が行き過ぎると「子供扱いされている、馬鹿にされている」と感じる方もいらっしゃいます。親近感の中にも相手がお客さまであることをしっかり意識して敬意を表し、礼儀を忘れずに接するよう伝えています。このような温かみを感じられる応対は、地域に根づいた信用金庫ならではのものだと思います。IT化や非対面での接客応対が進むこの時代だからこそ、その価値をお客さまに感じていただけたら嬉しいです。

本店営業部 部長代理
高島 朋子氏

高島氏:電話応対は、対外的にだけでなく、庫内においても重要です。2022年の電話応対コンクールのテーマにもありましたが、外出中の職員に電話を取り次ぐ場合には速やかに要点を伝えなければなりません。また、不在時にメモを残す場合、長時間放置されている状況にならないように気をつけています。もし担当者がなかなか戻らない場合は、要件をLINE WORKSで伝えるなど、担当者にいち早く伝えることを心がけ、お客さまをお待たせしないようにしています。渉外担当などはお客さまと商談をしていることも多いので、急を要するものでなければ、電話ではなくLINE WORKSで通知することで、業務を妨げないよう工夫しています。

上市営業部 新村 真由氏
(2021年富山県大会優勝)

新村氏:私は新入社員だった頃に、お問い合わせの電話や来店されるお客さまのお話を聞いても要点がつかめず十分に理解できないということが何度かありました。そのために、失礼がないようにお断りをして、お客さまの目の前であってもメモを取らせていただくようにしました。お話いただいたことに対して「このような理解でよろしいでしょうか」と確認しながら進めています。初めのうちは、メモを取らせてくださいとお伝えするのも躊躇するような状況でしたが、今ではしっかりとお話を理解し、自信をもって応対できるようになりました。

優しい声の応対が、電話応対コンクールでの高い評価につながった

電話応対コンクールに取り組まれた経緯、成果を教えてください。

電話応対の様子

牛島氏:電話応対コンクール(以下、コンクール)には、応対力の向上を目的に2014年から出場しています。出場者は若手を中心に選抜しており、2022年は5名が出場しました。出場した選手に限らず、全職員が明るく丁寧な応対を電話の声を通して伝えることで、地域の方々に愛される金融機関としてさらなる成長と、多くの方々に富山信用金庫らしさ(強み)をアピールする力も高めてほしいと思っています。大会に出場した選手は、「周りは皆、電話応対のプロフェッショナルばかりだ」と緊張したと思いますが、その中でも信用金庫らしい優しい声の応対で臨んだので、高い評価をいただきました。

高島氏:大会に向けた練習で自分の声を録音して聞いてみると「少し暗い」とか「自分が思っているよりも冷たい印象だ」と気づくことがあります。2022年の大会の講評でも「ちょっと明るさが足りない」というお言葉がありました。自分が思っているよりも、一言を加えたり、声のトーンを上げたりして、笑顔で伝えないとお客さまには伝わらないのだと認識できただけでも出場した甲斐がありました。大会後には、音声表現を変えたことでお客さまからも「明るくなったね」という声をいただいたという報告もあり、成果を感じました。

新村さんは実際にコンクールに出場されてみて、どのように感じていますか。

研修の様子

新村氏:最初に「出てみないか」と言われた時は、自分の電話応対に自信がなかったので、気後れする部分もありました。ただ、2021年度に同じ職場の先輩が入賞されたので、私もその背中を見て「出場するからには賞を目指そう」と前向きに取り組みました。コンクールに向けた練習では、一緒に参加した同期と相談し合ったり、人事の牛島さんに個別指導をしていただきました。ほかの出場者と一緒に練習をすると、言い回しや話の切り口などで自分にはない表現を習得できるので、とても勉強になりました。また、笑顔で話すと自然と声のトーンも上がるので、普段の電話応対でも笑顔で話すようにしています。それが自然にできたのかコンクールの審査員の方からも「とても明るく優しい声で聴きやすかった」と言われてとても嬉しく、自信がつきました。

梅川氏:新村さんが県大会に優勝した瞬間は、富山信用金庫内でも大いに盛り上がりました。また、金庫としても新村さんの優勝という功績をたたえて「理事長特別表彰」を授与いたしました。今年は120周年の節目の年でしたので、5名が出場しましたが、参加メンバーそれぞれに「前年度に優勝者が出たので、私たちも頑張らなくては」という想いと、プレッシャーがあったと思います。前年度にしっかりと取り組んでもらったので、今年も波及効果が高かったのではないでしょうか。コロナ禍での大会では現地に行って応援することはできませんが、YouTubeでのライブ配信があります。職員は、忙しい中でもタブレットやスマートフォン一つで、それぞれの場所からライブ配信を見ることができ、多くの人が応援できるのがよいですね。

今後130周年、150周年と地域の皆さまに選ばれる信用金庫であり続けたい

最後に、今後の目標についてお聞かせください。

とみしんSDGs宣言

梅川氏:富山信用金庫には、『信頼され親しまれる金融機関として郷土の繁栄と中小企業の発展に奉仕する』という基本方針があります。信頼され、親しまれる金融機関を目指す姿勢が地域の皆さまに評価されて、今の富山信用金庫があると思っています。2022年は120周年という節目の年でしたが、これからも130周年、150周年とお客さまに選んでいただけるよう、基本方針に基づき、どうすれば地域の発展に奉仕できるかを考えていきます。

組織名 富山信用金庫
創 業 1902年(明治35年)
本店所在地 富山市室町通り1丁目1番32号
代表者 理事長 山地 清
店舗数 29店舗
役職員数 243名(2022年3月31日現在)
URL https://www.shinkin.co.jp/tomishin/
〔ユーザ協会会員〕  

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