電話応対でCS向上事例
-桐生信用金庫-接客応対の基本は「ALL FOR SMILE ~すべては笑顔のために~」
記事ID:C20043
桐生市、太田市、伊勢崎市、みどり市など群馬県南東部を中心に、金融機関として「地域の課題解決」を最重要課題としている桐生信用金庫。1925年(大正14年)に創立し、2025年(令和7年)に創立100周年を迎える同金庫が、接客応対において大切にしていることをうかがいました。
事業概要をお聞かせください。
人事部 部長
人財教育センター センター長
箕輪 啓一氏
箕輪氏:私たちは群馬県桐生市に本店を置く信用金庫です。群馬県南東部を中心に、預金、為替、融資などの業務や、お客さまのニーズに沿った課題解決をしています。具体的には、中小企業のお客さまからの融資相談や後継者不足を補う人財の紹介、企業のM & A など、ご相談内容は多岐にわたっています。また、個人のお客さまは、小さなお子さまから80代以上の方々まで幅広く取り引きさせていただいております。ご相談については、お子さまが生まれたり、ご進学やご就職、お車や住宅を購入するといったライフイベントの節目での内容が中心です。また、ご退職金や年金の受給などをきっかけに当金庫と深くお取引をいただく方も多いですね。コロナ禍でメールやチャットでのやり取りも少しずつ増えてきましたが、現状は対面と電話でのご相談が9割以上を占めています。
創立100周年に向けて「ALL FOR SMILE~すべては笑顔のために~」を制定
接客応対において、大切にしていることをお聞かせください。
接客風景
箕輪氏:当金庫は2025年に創立100周年を迎えます。それに向けて若手職員を中心に協議し、『ALL FOR SMILE ~すべては笑顔のために~』というスローガンを制定しました。この言葉には、お客さま、地域の方々や我々職員など、当金庫に関わるすべての方々が笑顔になれるようにという思いが込められています。各種研修などを通じてこうした意識を職員間で共有し実践していくことが、お客さまにご満足いただける応対につながっていくと確信しています。ここからはもう一歩踏み込んで、お客さまに「ここまでやってくれるんだ!」と感動していただけるような応対を目指したいですね。
CS 向上に取り組まれたのは、どのようなきっかけからでしょうか。
人事部 次長
人財教育センター 副センター長
桐生 亜耶乃氏
桐生氏:6年前に日本電信電話ユーザ協会の電話応対診断を実施したところ、当金庫の電話応対について多くのご指摘をいただいたため、本格的にCS 向上への取り組みを始めました。早口になっていたり、自分では気づかない癖があったりする点を第三者に指摘していただけるので、電話応対を見直す良い機会になっています。指摘された点については、電話応対が得意な職員が中心になって研修を実施し、また店舗によっては全員で外部講師の研修を受けるなどして、金庫全体のスキルアップを図っています。電話応対診断は、6年前から継続して全店舖で実施しています。フィードバックを受けるたびに、どのように受け答えすべきだったのかスクリプトを作成し、自分たちで新たな課題を作っては見直す、という取り組みを続けています。今は、信用金庫も選ばれる時代です。応対の良し悪しが、その後の取り引きに大きく影響してくることもあると思いますので、接客応対の向上にはこれからも力を入れていきたいですね。
電話応対コンクール出場の動機は、「お客さまに喜んでもらえる応対力を身につけたい」
電話応対コンクールはどのように活用されていますか。
桐生氏:毎年20人前後の新入職員が入庫するので、その中から2~3人を選抜してコンクールに出場させています。自分から志願する者もいれば、こちらから推薦する場合もあり、出場者の動機はさまざまです。新入職員に取り組んでもらうのは、電話や接客応対の基本を学び、スキルアップしてもらいたいからということもありますが、こうした場を、同期入庫職員同士のコミュニケーションを深めるきっかけにしてほしいという思いもあります。同期同士で切磋琢磨した成果もあって、ここ7~8年は連続して地区予選を突破することが出来ています。
境支店 コンサルタント営業担当
町田 達哉氏
町田氏:私が電話応対コンクールに参加したのは、自分の武器となるようなスキルを一つでも増やしたいという思いがあったからです。大会を振り返ってみて特に思い出深いのは、一緒に出場した同期の一人に「なぜ出場するのか」を訊ねたところ、「お客さまのためを思って、気持ちの良い応対ができるようになりたいから」という答えが返ってきたことです。その言葉を聞いた瞬間に、私自身の根底にも「お客さまに喜んでもらいたい」という思いがあることに気づき、ハッとしました。また、県大会は地区大会と比べて、その状況に合わせた応対力が必要だったことも印象的です。ほかの出場者で、聞きやすい話し方だなと思っていた人が、予想外の質問に硬直してしまったのを見て、お客さまの声を“聴く”ことの大切さを実感しました。準備したスクリプトに気を取られてしまうと、臨機応変な対応ができなくなるのだと思います。相手の方のお話をよく聴こう、お客さまのためを考えて取り組もう、と臨んだ結果、県大会で準優勝することができました。それから、他の会社の方の電話応対を聞く機会は限られているので、いい刺激を受けることができました。私たちの普段の応対と異なる点として特に印象に残っているのは、「復唱」です。庫内の電話応対では、お客さまの情報がわかっていたり、お客さまとの関係性が強いということもあって復唱を省略してしまうことも少なくないのですが、電話応対コンクールという場では、お客さまからお聞きした内容に間違いが無いよう復唱する方が多く、改めて復唱の大切さを意識することができました。
コロナ禍を経て、接客応対で何か変化はありましたか。
電話応対研修の様子
箕輪氏:私たちは、直接お客さまのもとにお伺いして面談するという営業スタイルで、多い日には一人の営業担当者が10軒以上訪問することもあります。以前は、お客さまとの関係性によっては、アポイントを取らずに訪問することもありましたが、コロナ禍以降は必ず電話でアポイントを取るようになりました。また、当金庫には相談専用の店舗が桐生市内にあり、そこでは常にZoomで面談を行うなど、オンラインを活用する機会が増えています。このようにアフターコロナにおいても、土日祝日や店舗の営業時間外でもオンラインでいつでも相談できることは、お客さまの安心に繋がると思います。信用金庫は、Face to Faceでご相談を受けることが特長でもあるのですが、今後はチャットやメールなどの非対面のコミュニケーションにも力を入れて、対面、非対面のハイブリッド式でより相談しやすくなることを目指したいですね。
この先100年も、地域になくてはならない金融機関であり続けたい
最後に、今後の目標についてお聞かせください。
電話応対研修を社内報に掲載
箕輪氏:当金庫が発足したのは関東大震災後の大正14年で、被災して資金繰りに困った地元の商工業者が、自分たちでお金を出し合って資金を融通しようとしたのが始まりです。今もコロナ禍で中小企業の方々が資金繰りや経営に非常に困っています。私たちは、その苦境に一緒に立ち向かい、この先100年も、「地域になくてはならない金融機関であり続ける」という、創立からの経営理念を実現していきたいと思っています。
組織名 | 桐生信用金庫 |
---|---|
設 立 | 1925年(大正14年) |
本店所在地 | 群馬県桐生市錦町2丁目15番21号 |
理事長 | 津久井 真澄 |
事業内容 | 預金、為替、融資ほか |
URL | https://www.shinkin.co.jp/kiryu/ |
〔ユーザ協会会員〕 |
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