電話応対でCS向上事例

-株式会社山陰合同銀行-
コンタクトセンターの品質改善を通じた営業店舗の支援体制づくりを推進

株式会社山陰合同銀行は、7年前に各営業店が受電していた電話を、新設したコンタクトセンターに集約。FAQの統一化など応対環境の整備を積極的に進めるとともに、電話応対コンクール参加などを通じ培った質の高い応対でCS向上を図り、営業店の負担軽減に成功しました。

事業概要について教えてください。

  • ▲お客様サービス部
    カスタマーセンター
    センター長
    引野 隆明氏

     当行は島根県、鳥取県を基盤に、広島県、岡山県、兵庫県などに店舗網を持つ地方銀行です。ご預金、お借り入れのほか、特に新規事業の育成やビジネスマッチングなどを通じ、法人さまの事業拡大のお手伝いと、地域経済の活性化に力を入れています。(引野氏)

お客さまの満足度を高めるためには、プロによる応対が不可欠

貴行と電話応対との関わりについて教えてください。

  • ▲お客様サービス部
    カスタマーセンター 副調査役
    佐野 千朱氏

     銀行には営業時間のお問い合わせから、ローンのご相談、資産運用についての質問など、さまざまなお電話をいただきます。そうしたお電話に丁寧にかつ均一な回答を提供することが、お客さま満足につながると考えております。(佐野氏)

  • ▲お客様サービス部
    部長
    中村 真実子氏

     ただ各営業店では、そうしたお電話への対応が多くなることで、お店にいらっしゃったお客さまや、各営業店が持つお得意さまへの対応が、十分ではなくなることが課題となっておりました。また営業店では、「電話応対は新人の仕事」という考え方が広く根づいていました。しかし、それはお客さまに新人教育の一部を任せていることになり、やはり電話での接客はきちんとした知識のあるプロが担うべきだという意見もありました。(中村氏)

そうした課題について、どのように対処したのでしょうか。

 営業時間や各種お手続きのご案内、預金残高のお問い合わせなど、お客さまにご来店いただかなくてもよいお問い合わせを一括して対応する、受電集中の導入です。(佐野氏)

コミュニケーター同士でミーティングを重ねFAQの応対品質を改善

受電集中の導入は、どのような流れで行いましたか。

 2012年4月の導入を目標に、半年をかけ規模の異なる10店舗で応答ログを録音し、初期FAQ(よくある質問)を用意しました。新規募集したコミュニケーターのほとんどは銀行業務の経験がなかったため、座学及び営業店での研修を通じ業務知識と応対スキルを磨きました。(佐野氏)

 しかし、立ち上げ後も次々に課題が現れました。例えばFAQが銀行員目線で作られていたため、お客さまのご質問がFAQのどの項目にあたるのかがコミュニケーターに分かりづらく、回答までお時間をいただくこともありました。また、忘れ物の保管状況など営業店の状況が共有できていないことでお叱りを受けることもありました。(中村氏)

 そうしたお客さまのご不満を解決しCS向上につなげるため、当初は毎晩21時くらいまで残ってミーティングをする毎日でした。またその一方で、日本電信電話ユーザ協会の研修にも参加し、より良い言葉づかい、応対品質を身につける努力も継続して行いました。(引野氏)

電話応対コンクールでは、近年優秀な成績を残されています。

 コンクールには2014年度に初出場しました。コンクールへの出場はあくまでも参加者の自主性に任せ、出場に向けて事前勉強会に参加したほか、社内においても模擬応対者を用意し出場選手とペアで練習を行いました。またスクリプトを担当SVとともに考え、ブラッシュアップするなどの取り組みも行いました。そうした研鑽が県大会3年連続出場という成果に結びついたのだと思います。またこの取り組みは、単にコンクールだけでなく、仕事へのモチベーションの高まりなど、コンタクトセンターの日常業務にも良い影響を与えています。(引野氏)

応対品質の向上に向けて、どのような努力をされていますか。

 より良い応対には、知識やスキル向上のほかコミュニケーターが自身の業務や職場環境に満足し仕事ができることが不可欠です。そのためには互いに助け合い、良いところを伸ばし合ってモチベーションを高めることが大切です。こちらのセンターではコミュニケーターがグループを作り、実際のご質問に対しロールプレイングを行って全員で「ベストアンサー」を考える実践トレーニングを定期的に行っています。コールセンター立ち上げからの歴史を振り返ると、日々の努力が応対品質の向上に結びついたと言えるでしょう。そしてコンクール参加者が大会前の勉強会や研修の経験で得た情報を共有したり、日々の電話応対でその経験を実践していくことで、コミュニケーター全員の応対スキル向上に役立っています。(佐野氏)

積極的なクロスセルで「問い合わせに答えるだけのセンター」から脱却

現在、応対において力を入れていることを教えてください。

 質問に単に答えるだけではなく、お客さまの気持ちをしっかりと読み取る、一歩進んだ応対です。(引野氏)

 今集中的に行っているのはクロスセル(ほかの商品などを併せて購入してもらうこと)で、具体的にはお問い合わせへの応対の最後に「当行のスマートフォン公式アプリをインストールしていただけませんか」というお声がけです。何人のお客さまにお勧めしたかをセンター内で競ったところ、3ヶ月で目標比約480%という達成率になりました。(中村氏)

 アプリは、こちらからお電話でお勧めしても、効果は限定的です。しかし、いただいたお電話でお客さまと一定のコミュニケーションができた後にお勧めすることで、心理的なハードルが下がっていたためと思います。チームで競ったことにより、成績が上位のコミュニケーターは“殿堂入り”として、ほかのコミュニケーターに「お勧めするコツ」などを共有する役割を自主的に担ってくれるなど、一体感が高まった活動となりました。(佐野氏)

将来の目標は、銀行業務のフロントを担い、収益に貢献するセンター

今後の目標について教えてください。

 コンタクトセンターはバックオフィス部門ではなく、お客さまに向き合うフロントであるという意識で、業務を続けていきたいと思います。今後もクロスセルや、営業店との情報共有を強化し、店舗営業をしっかり支援できる体制づくりを進めていきたいと思います。(中村氏)

 収益への貢献を“見える化”し、確立することで、業務の範囲を拡大していきたいと考えています。また営業店とコミュニケーターの人的交流も、相互理解を進め、センターの存在価値を高めることになると思います。そして、コミュニケーターのやる気をさらに高めるためには、内部でのキャリアパス整備も課題です。コミュニケーターからチームリーダー、SVを育てていくには、今後電話応対技能検定(もしもし検定)を指標にするということも検討したいと思います。今までもコンクール参加や研修などで、ユーザ協会にはお世話になりました。これからもよろしくお願いします。(引野氏)

企業名 株式会社山陰合同銀行
創立 1941年(昭和16年)
本店所在地 島根県松江市魚町10番地
代表取締役社長 石丸 文男
業務内容 普通銀行業
URL https://www.gogin.co.jp/

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