電話応対でCS向上事例
-君津信用組合-若手社員の電話応対技能検定(もしもし検定)の受検でお客さま応対品質の向上を実現
千葉県上総地区、安房地区を営業基盤とする君津信用組合は、従来の社内研修による応対教育を刷新し、もしもし検定による応対スキル向上と電話応対の標準化を目指しています。
事業概要について教えてください。
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▲理事長
宮澤 義夫氏「本店を千葉県木更津市に置く当信用組合は、1962年に創立されました。組合名の『君津』は、この地域がかつて君津郡であったことに由来するものです。営業区域は上総地区、安房地区の7市1町で、地元の中小企業さま、生活者などを顧客とし、地域に密着した金融機関として営業しています。店舗数は16で、人口の多い地域への展開と営業強化により、事業拡大を図っています」(宮澤氏)
一本の電話の受け答えミスで逃した大きな取引
貴組合の事業と電話応対との関わりについて、教えてください。
「信用組合は、お客さまとの接点である窓口業務や渉外業務の善し悪しが顧客満足度に大きく影響します。しかし窓口担当者や営業担当者が構築したお客さまとの信頼関係も、電話応対が悪かったことで、取引そのものがなくなってしまうという実体験がありました。こうした現実の出来事をベースとした問題意識から、当信用組合では新入社員研修をはじめ、内部での応対スキル向上を図ってきましたが、十分なレベルとは言えない状態が続いていたと思います」(宮澤氏)
「取引そのものがなくなった」というのは、どのようなことだったのでしょうか。
「私が支店長だった時代、当地に東京湾横断道路(現:東京湾アクアライン)の建設が決まり、その補償金を受け取る地元の方に、金融機関がこぞって勧誘に歩いていました。そんな折、私が外出中の支店にかかってきた『鈴木ですが、支店長はいますか?』という電話に、応対した職員が『外出しています』と答え、電話番号やご用件を聞かずに切ってしまったのです。私は帰店してその報告を受けましたが、この地域には鈴木という姓が非常に多く、どちらのお客さまか分からず途方に暮れるのみでした。そして後日、そのお客さまがかなりの額のお金を当信用組合に預けようと思っていたのに、素っ気ない受け答えで考えが変わってしまい、ほかの金融機関に預けてしまったことを知ったことをきっかけに、私は電話応対スキルの重要性について、深く考えるようになりました」(宮澤氏)
職員にもしもし検定受検を義務づけ、全員の4級合格を実現
新入社員研修、内部での研修では、どのようなところに課題があったのでしょうか。
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▲本部事務室の様子
「どちらも若手職員のみが対象で組織全体としてのスキルアップにつながっていませんでした。また、いったん身につけた“正しい応対”も、仕事をしていくうちに徐々に忘れ、ベテラン職員と同じく自己流に流れてしまう雰囲気もありました」(宮澤氏)
そうした課題克服のため、どのような対応策をとられたのでしょうか。
「2015年より日本電信電話ユーザ協会(木更津・館山・鴨川地区)の理事を務めることになった関係からユーザ協会の電話応対品質向上への取り組みを知り、コミュニケーション研修に中堅職員を参加させたほか、講師をお招きしてのマナー研修も実施しました」(宮澤氏)
もしもし検定の導入は、どのような流れからなのでしょうか。
「研修への参加で、電話応対スキルの向上はうかがえましたが、それだけで職員が自分の弱点を知り、より良い応対を目指すという向上心を持つことは困難です。そこで受検により自己のレベルを理解できるもしもし検定を導入し、問題意識と向上心を刺激することとしたのです。2016年10月から、パートを含む職員70名が4級を3回にわけて受検し、全員が合格しました」(宮澤氏)
「電話応対が良いね」と言われる日を目指し切磋琢磨
もしもし検定導入後、電話応対業務に変化は表れていますか。
「少しずつではありますが、効果が出てきていると思います。そして各店での電話応対が標準化してきたことも大きな成果です。また、もしもし検定が電話応対だけでなく、正しい敬語の使い方、マナー知識の習得も含んでいるため、窓口や顧客訪問での応対力アップにもつながっていると思います」(宮澤氏)
今後の電話応対業務に関する目標はございますか。
「4級から3級、そしてさらに上の級に向け職員が技量を磨くことも視野に入れています。また日々の業務での応対力も高め、お客さまから『きみしん(君津信用組合)は電話応対が良いね』と言われるよう、努力を続けていこうと思います」(宮澤氏)
コミュニケーション教育への注力でビジネスの活性化を
ユーザ協会について、理事という立場も踏まえ、どのような将来像をお考えですか。
▲木更津にある本店の窓口
「電話はビジネスシーンに欠かせないものであり、応対一つで企業のイメージは変わってしまいます。こうした電話の重要性は誰もが認識するところですが、統一的な応対力向上は非常に困難です。ユーザ協会の取り組みがもっと広まり、もしもし検定などコミュニケーション教育に注力する企業が増えれば、わが国のビジネスはより活性化するのではないでしょうか。そしてその一方で、メールやSNSなどコミュニケーションツールが多様化する中、時代の変化をとらえつつ研修の内容を広げていくことも重要なテーマではないかと考えています。私も理事として、こうした協会の活動に努めていきたいと思います」(宮澤氏)
組織名 | 君津信用組合 |
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創立 | 1962年(昭和37年)5月17日 |
本店所在地 | 千葉県木更津市潮見3-3 |
理事長 | 宮澤 義夫 |
事業内容 | 預金業務 融資業務 為替業務 その他代理業務 |
URL | http://kimishin.jp/ |
電話応対技能検定実施機関
公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 千葉支部
http://www.chiba-user.com/関連記事
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