電話応対でCS向上事例

-株式会社ラクス-
お客さまの不満の声を先回りして把握することで、サポート満足度94%を実現

記事ID:C20002

サブスクリプション※型のクラウドサービスを提供する「クラウド事業」とITエンジニアを派遣する「IT人材事業」の二つの事業柱で、中小企業をサポートする株式会社ラクス。主力となる経費精算システム『楽楽精算』では、サポート満足度94%と顧客から高い評価を得ています。今回は、契約後のお客さまのすべての問い合わせに対応している「カスタマーサクセス部門」の本田氏に、サポートの満足度を高める施策についてお聞きしました。

御社の事業概要について教えてください。

  • BOクラウド事業本部
    楽楽精算事業統括部
    カスタマーサクセス3課
    本田 康紘氏

     弊社は中小企業の業務効率化をサポートするITシステムを提供する会社で、「サブスクリプション型のクラウド事業」と「IT技術者派遣事業」の二つの事業柱があります。弊社を代表する製品に、テレビCMでおなじみの経費精算システム『楽楽精算』があります。これは、交通費や旅費と言った経費に関わるすべての処理を一元管理できる経費精算システムで申請から承認の電子化、会計ソフトとの仕訳連動などの機能を提供しています。このような製品の提供により、少子化が進み、労働人口が減少していく日本において、限られた人材で生産性を高めていくことが重要と考え、クラウドやITの技術で仕事の効率を上げ、こうした社会課題の一助になることを目指しています。

カスタマーサクセス部門が、契約後のお客さまのすべての問い合わせに対応

御社のお客さまとの接点について教えてください。

  • 電話応対の様子

     私ども「カスタマーサクセス部門」では、契約後のお客さまのすべてのお問い合わせに対応しています。新規のお客さま対応は営業部門が行い、ご契約後のお客さまを約50名体制のカスタマーサクセス部門が担当しています。サブスクリプション型のサービスは、長期間継続してご利用いただくために手厚いサポートが必要です。弊社では、システムを使い始めるまでの「オンボーディング」と、システムの使い勝手を良くする「オンゴーイング」の二つのシーンを重点的にサポートしています。

「オンボーディング」と「オンゴーイング」について詳しく教えてください。

 「オンボーディング」は新規のお客さまがシステムの初期設定を完了し、実際に運用を開始するまでを支援する活動です。導入後2カ月間、専任の担当者がお客さまの進捗状況や課題を確認しながら設定をサポートします。この間は無料で何度でも電話やウェブ会議でサポートしますので、システム設定が苦手なお客さまでも運用開始までスムーズに進めることができます。「オンゴーイング」はすでに運用を開始しているお客さまの困りごとを解決し、業務効率化を支援する活動です。運用開始から一定期間が経過したお客さまに「実際に使ってみてどうですか」とお声がけをして、「利用前に思っていたフローと違った」、「本当はここまで設定したかった」などのご不満がないかを確認し、再設定に関するアドバイスをしています(図参照)。どちらのサポートにおいても、電話やメール、ウェブ会議システムなどのツールを使ってこちらから能動的に問いかけ、ご不満の声を先回りして把握するようにしています。

ウェブ会議システムのサポート業務での活用

ウェブ会議システムによるサポートは、いつ頃から行っているのでしょうか。

 新型コロナウイルスの感染拡大前から『ベルフェイス』というサービスを使っていました。『ベルフェイス』はお客さまのパソコンにアプリケーションをインストールする必要がないため、電話サポートの途中でも即座に操作画面を共有しながら説明できる点が便利です。そして、緊急事態宣言を境に、『Zoom』も併用し始めました。お客さまがテレワークの場合、個人の携帯電話に連絡をしなければなりませんが、事前に承諾をいただかないと個人携帯には連絡しにくいため、『Zoom』の方が便利だという判断になりました。コロナ禍において、顧客側が複数名のウェブ会議やウェビナー視聴など、ウェブ会議に対する抵抗がなくなり、サポート業務などの標準的なコミュケーションツールとしても広く認知されてきたと思われます。

サポートの手段として、電話、メール、ウェブ会議をどのように使い分けていますか。

 現状は、電話、メール、ウェブ会議の比率が5:3:2という状況です。設定状況の確認や、お客さまがすぐに回答を得たい質問など、リアルタイムでコミュニケーションを取りたい場面では電話を使います。電話で伝えたことを振り返っていただきたい時や、お客さまが業務の合間に質問したい場合など、時間が経過しても確実にコミュニケーションを取りたい場面ではメールを使います。そして、実際の操作画面を提示した方が伝わりやすい場合など、コミュニケーションの質を上げたい場面ではウェブ会議を利用しています。

テレワーク中の育成メンバーの不安は、縦横のコミュニケーション量を増やすことで解決

コロナ禍において、急遽「テレワーク」に切り替えたことで何か不都合はありましたか。

 サービス面ではあまり影響がなかったのですが、チームマネジメントにおいては影響を受けた部分もありました。弊社は事業を大幅に拡大しているので、毎月のように新メンバーが入社してきます。通常は育成期間中にわからないことがあれば、周りの社員に気軽に質問できるのですが、テレワーク中は周囲に相談できずに育成メンバーが一人で不安を抱えてしまうケースもありました。この問題は明らかにテレワーク中の育成メンバーとのコミュニケーション量が足りないことが原因でしたので、二つの対策を取りました。一つは、チームリーダーなどが毎日短時間でも「1on1形式」で面談を行い、縦のつながりを作ること。もう一つは「Zoomランチ」や「Zoom飲み会」を開催し、同期やチーム内のメンバーとの横のつながりを深めることを意識しました。テレワークでは、意図的にコミュニケーションの機会を増やさないとメンバーの状態の変化に気づくことができないため、管理職、リーダーはその点に特に気をつけなければならないと思います。

会社全体で、中小企業のバックオフィス業務を支援していきたい

最後に、お客さま満足度向上に向けて、今後の目標をお聞かせください。

 弊社では、定期的にお客さまアンケートを行っていますが、直近の調査では『楽楽精算』のサポート満足度は94%と高い評価をいただきました。これは、お客さまの困りごとを先回りして把握するサポート姿勢をご評価いただいたものだと思いますので、継続して取り組みたいですね。また、「オンボーディング」活動強化によって、契約から半年以内の解約率が低下してきたので、今後は契約1年以降のお客さまに継続してご利用いただくことに力を入れていきたいです。会社全体としては、これまで培ったサポートノウハウを活かし、顧客満足度の向上に努め、経理部門向けだけでなく、中小企業のバックオフィス業務の効率を上げるための支援をしていきたいと思います。

※サブスクリプション(subscription):製品やサービスを一定期間ごとに一定の金額(利用料)で提供するビジネスモデルのこと。

会社名 株式会社ラクス
設立 2000年(平成12年)
本社所在地 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-11 アグリスクエア新宿2階
代表取締役 中村 崇則
事業内容 クラウド事業、IT 人材事業
URL https://www.rakus.co.jp/

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