電話応対でCS向上事例
-京葉ガス株式会社-電話応対業務を統合し、応対品質の向上・均質化を実現
京葉ガスは、千葉県北西部の市川市に本社を置き、市川、船橋、松戸、柏、鎌ケ谷、浦安及び白井の各市の88万世帯にガスを供給する都市ガス事業者です。今回は、こうしたインフラ事業を担う上でのコールセンターの電話応対への取り組みについて、お話をおうかがいしました。
本日は、松戸市にある御社の「お客さまコールセンター」におうかがいしています。このコールセンターの沿革について教えていただけますか?
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▲お客さまコールセンター
コミュニケートグループマネージャー
小野寺 志郎氏「このセンターを開設したのは平成15年です。それまで3つの営業所が個別に行っていた電話応対業務を統合する形でスタートしました」(お客さまコールセンター コミュニケートグループマネージャー・小野寺 志郎氏)
統合を決めた背景には、どういった意図があったのでしょうか?
「まず一義的には、社内の重複業務の統合による効率化です。しかしそれ以上に大きな目的として掲げたのが、社としての応対品質の向上・均質化です。統合前は、各営業所がそれぞれ独自の応対マニュアルを使い、お客さまと接していました。それはあたかも、3つの別々の会社があるようなものでした」
(小野寺 志郎氏)
統合後、スムーズに業務が流れるようになるまでには、さまざまなご苦労があったのではないでしょうか?
「そうですね。最初の3年間は、それぞれのマニュアルからすぐれた部分を採用し、統一されたオペレーションをどう確立していくかという部分に力を注ぎました。ここでじっくりと基礎固めをしたのち、続く3~4年でスタッフのマインドの醸成、適切なマネジメント、モチベーションを上げるための工夫などを行いました。この長い期間を経て、ようやくもうひとつ上のレベルを目指す体制が整ってきたように思います」(小野寺 志郎氏)
平成15年の開設から、まもなく12年になります。この間、振り返ってみていかがですか?
「あっという間の12年かという思いです。統合から数年間は、その日その日の課題をクリアするのが精一杯で、10年後にどんな姿になっているかという想像はできませんでしたね」(小野寺 志郎氏)
現在のコールセンターの陣容について教えていただけますか?
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▲お客さまコールセンター
サポートグループ
品質サポートチームリーダー
小野寺 愛子氏「現在、座席数は76席で、約100名のスタッフが交代制で勤務しております。スタッフのうち派遣社員が6割、正社員が3割、そして一部の専門的な知識を必要とするものは、協力会社に業務委託という形でお願いしています」(お客さまコールセンター サポートグループ 品質サポートチームリーダー・小野寺 愛子氏)
都市ガスという社会的なインフラだけに、さまざまなお問い合わせがおありかと思います。どういったお問い合わせが多いのでしょう?また季節ごとの変動等はあるのでしょうか?
「やはり春先の引っ越しシーズンは、転出入される方のお問い合わせが集中します。また暖房に使われることが多い性質上、夏場よりも冬のほうがお問い合わせは多くなりますね」(小野寺 愛子氏)
そうした時期に応じたコール数の差で、オペレーターの稼働率も変わってくると思いますが?
「このセンターは、基本的にはインバウンドコールを担当しています。しかし閑散期には、弊社がショッピングセンターで行うイベントなど、こちらからお客さまにガス器具のご案内などを行うアウトバウンドコールも採り入れ、業務の密度を平準化しています」(小野寺 志郎氏)
先ほど、「もうひとつ上のレベルを目指す体制が整ってきた」というお話がありました。こちらを具体的にご紹介いただけますか?
「スムーズなオペレーションが定着したのちに考えたのは、やはり『応対品質のさらなる向上』でした。まずは外部から講師の方をお招きし、オペレーターの教育を進めました。しかしそうした取り組みを続けるなかで、『外部講師による評価も役立つが、もっと品質を向上させるためには、日々の応対の中身を理解している人による点数評価が必要だ』と感じるようになったのです。そこで、それまで同じように電話応対業務についていた社員と派遣社員の業務分担を見直し、社員には品質管理者としてのスキルや資格を身につけてもらい、派遣社員を教育する役割を担ってもらうことにしました。こうした流れの一環が、3年前からはじめた『もしもし検定』の受検です」(小野寺 愛子氏)
「もしもし検定」の効果は、すぐにあらわれましたか?
「はい。それまで私たちのミッションとして『迅速、的確、親切なお客さま対応を目指します』というものがありました。このうち迅速、的確というのはわかりやすいものでしたが、親切だけは『何をもって親切というのか』を計れるものではなく、戸惑いがありました。しかし『もしもし検定』への合格を目指すカリキュラムにしたがって学習する過程で『親切とはどういうものか』が具体的にわかってきたのです」(小野寺 愛子氏)
御社は「もしもし検定」に続き、「電話応対コンクール」「企業電話応対コンテスト」にも参加されています。
「『もしもし検定』への取り組みで社内の応対品質が向上したという手応えがありました。そして『私たちのレベルを、第三者の目で評価してほしい』という思いが強くなってきたのです。それがコンクール、コンテストにエントリーした動機です。とくにコンクールは、目標に向かって一丸となって頑張ることが、社内のモチベーションの底上げにもつながりました。そして自発的に、自宅でトレーニングに励んでいるスタッフもいます。これまで見せたことのない“頑張るお母さん”の姿に、ご家族があらためて尊敬しているというお話も聞いています」(小野寺 愛子氏)
さまざまな部分で、スタッフのモチベーション向上に役立っているというわけですね。
「当初は『社員を指導者に』と考えてはじめた『もしもし検定』ですが、派遣社員にも受検者、合格者が増えています。この秋には、スタッフ全体の約6割が、2級から4級の資格保有者となりました」
(小野寺 愛子氏)
御社はインフラ企業ということで、コールセンターの役割も一般企業に比べ重いものになっていると思います。
「そもそも本社のある市川とは異なる場所にコールセンターを設けたのは、たとえ大規模災害が発生しても、お客さまサポートが止まらないようにという観点からです。また公共交通機関が止まっても即応性を欠くことのないよう、スタッフの5割は徒歩や自転車でも通勤できる2km圏内に居住しています。東日本大震災においては、大きな揺れに見舞われながらも即日体制を整え、大きな地震を感知すると自動的にガスを止めるマイコンメーターの操作方法に関する電話に24時間体制で対応しました。もちろん、ビルにはガスによる自家発電設備も用意し、食糧や水も備蓄しています」(小野寺 志郎氏)
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▲もしもし検定資格保有者の証
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▲研修のための施設も充実
そうした目に見えない取り組みも、利用者にとっては心強いですね。本日はありがとうございました。
会社名 | 京葉ガス株式会社 |
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設立 | 1927年(昭和2年)1月8日 |
本社所在地 | 千葉県市川市市川南2-8-8 |
取締役社長 | 潟山 英清 |
資本金 | 27億5,476万円 |
業務内容 | ガス事業、ガス副産物の製造、加工及び販売、熱供給事業、電気供給事業、ガス機器及び空調設備機器の製作及び販売、ほか |
URL | http://www.keiyogas.co.jp |
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