電話応対でCS向上事例

-株式会社京王プラザホテル-
英語電話応対コンクールの優勝者を輩出したフロントはホテルの「顔」として信頼を築く役割を担う

記事ID:C20101

株式会社京王プラザホテルは東京・新宿区に所在し、地上47階、地下3階、部屋数1,453室の規模を誇り、海外からの旅行者も数多く利用するホテルです。今回は、ホテルにおけるお問い合わせ対応の取り組みについてお聞きしました。

事業概要についてお聞かせください。

人財戦略部副部長兼
人財開発支配人
城所 明未氏

城所氏:京王プラザホテルは1971年開業以来、人の和をつなぐ「広場=プラザ」として、世界100ヵ国以上からお客さまをお迎えしてまいりました。国際会議や学会のメイン会場としても広く利用されており、快適で安全な滞在を提供することを重視しています。特に、車椅子利用者や視覚・聴覚に障害のある方が安心して宿泊できるユニバーサルルームは国内外で高い評価を受けています。また、環境への配慮や地域貢献活動にも積極的に取り組み、持続可能な運営を推進しています。
 電話応対ですが、ホテルの各部門では、国内外の多様なお客さまから日々さまざまな電話での問い合わせを受けています。宿泊予約やレストラン、宴会場の確認、特別な日のサプライズプラン、子ども向け設備、交通案内、会議室予約など内容は多岐にわたります。そのため、電話応対者には深い知識と的確な情報提供のスキルが求められます。電話応対者はお客さまの状況や要望に柔軟に対応し、最適な提案を行うことで、ホテルの「顔」として信頼を築く、極めて重要な役割を担っています。

電話応対に関する四つの基本と五つの知識

電話応対に関する考え方や課題について教えていただけますか。

人財戦略部
人財開発語学研修担当
田島 百合氏

田島氏:電話応対では、次の四つの基本を掲げています。1.「丁寧に感じ良く」、2.「迅速に」、3.「正確、簡潔に」、4.「公平に」です。電話のたびに背筋を伸ばして姿勢を正し、お客さまによって対応が変わることのないよう気を配っています。
 また、五つの知識として、1.「電話の機能」、2.「自社サービス・商品」、3.「社員の名前や組織に関する知識」、4.「お客さまや取引先の皆さまのお名前」、5.「敬語・接客用語の理解」などを定めています。こうした知識があった上で、お客さまへどのように有益な情報を届けるのか、自身の応対にどう付加価値をつけるのかが常に課題となっています。

コンクールを通じて得た経験や学びが今後の成長につながる

英語電話応対コンクールへの取り組みについて教えてください。

ホテルの「顔」として信頼を築くための大切な役割を果たすフロントでの応対

田島氏:当社は2022年より英語電話応対コンクールに挑戦し、2年続けて優秀賞を受賞することができました。2024年の大会では、当社のインターナショナルスタッフが初めて参加し、ローマンさんが見事優勝、エレオノラさんが優秀賞を受賞するという大変喜ばしい結果となりました。このコンクールは英語力ではなく応対技能力が問われるコンクールです。だからこそ、このコンクールは国籍を問わず挑戦者にとって大きな成長の機会となると考えております。私自身は総合商社で海外営業を学び、その後、シンガポールでアメリカ企業のフリーコンサルタントとして多くの海外クライアントと仕事をしてきました。その経験を活かし、現在英語による電話応対の研修を担当しています。このコンクールで最も重要なのは、その過程で参加者が多くの「気づきを得ること」だと私は考えています。そのため、電話応対研修では単なる知識の伝授ではなく、個々の創意工夫を尊重し、自発的に考える力を育むことを何より大切にしています。受話器の向こう側のお客さまをイメージし最高のサービスを提供するため、さまざまな角度から何度もロールプレイで練習しました。このコンクールを通じて得た経験や学びが、彼らの今後のキャリアや成長に大きく貢献することを願っています。

宿泊部 フロント
フロントクラーク
クワル ローマン氏

ローマン氏:英語電話応対コンクールは、現在の自分たちの能力を測る絶好の機会であると同時に、大会に向けた練習を通してスキルを学び、向上させる貴重な場でもあります。目標を設定し、過去の優勝者の応対を参考にして自分たちの弱点を見つけ出し、チーム一丸となって改善に努めました。大会では一人しか優勝できませんが、参加者全員が高いスキルと基準を身につけることができたと感じています。また、練習で磨いたスキルは、新入社員の教育や再トレーニングにも活用可能であり、新たな教育資料を作成する際の基準作りにも役立っています。また今後は日本語の電話応対コンクールにも挑戦したいと考えています。

宿泊部 フロント
フロントクラーク
ベルガマスキ エレオノラ氏

エレオノラ氏:コンテストの当日、私の競技順が最後の方だったこともあり、出番が近づくにつれて気持ちが揺らぐこともありましたが、それでも習得したスキルがあるという自信が支えとなり、成果を上げることができました。英語電話応対コンクールへの参加者が増え、どのような状況でも適切に対応できるスキルを持ったスタッフが複数いることにより、職場の安心感につながっていくと感じています。

サービスの本質を追求する姿勢が必要

今後の取り組みについて教えてください。

電話応対の研修で、深い知識と的確な情報提供のためのスキル向上をはかる

城所氏:現在、スタッフのスキル向上のための取り組みとして、国内外から講師を招いた研修やセミナーを開催しています。これらの取り組みでは顧客ニーズを的確に予測する力を養い、お客さまに積極的にアプローチしてより深く理解することを重視しています。今後、個々のお客様に合わせた応対力向上を目指し、電話応対研修の対象を、さらに広げていこうと考えています。お客さまからの深い信頼を得るためには、マニュアルに頼るのではなく、一人ひとりが主体的に考え、サービスの本質を追求する姿勢が必要です。お客さまから信頼を得て、「この人が電話を取ってくれて良かった」と思っていただくために、プロフェッショナルとして誇りを持ち、より質の高い対応ができるよう、今後も試行錯誤を重ねながら研鑽を続けていきます。

  • 英語電話応対コンクールで見事優勝したローマン氏

  • 優秀賞のエレオノラ氏

※ 英語電話応対コンクール
訪日外国人の増加、企業のグローバル戦略・海外との取引拡大などにより英語による電話応対の機会が増加することを想定して実施する英語による電話応対の技能を競う大会(日本電信電話ユーザ協会広島支部主催)。
会社名 株式会社京王プラザホテル
開業 1971年(昭和46 年)6月
本社所在地 東京都新宿区西新宿2-2-1
代表取締役社長 若林 克昌
事業内容 ホテル運営
従業員数 887名(2024年4月現在)
URL https://www.keioplaza.co.jp/
〔ユーザ協会会員〕

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