電話応対でCS向上事例
-ホテル日航アリビラ-ホテル業の効率化を進めつつも、はつらつとした笑顔でおもてなしをする心を大切にしたい
記事ID:C20052
沖縄県本島の残波岬の南に位置し、1994年から国内外の旅行客を対象にリゾートホテルサービスを提供してきたホテル日航アリビラ。コロナ禍で変革期を迎える同ホテルの応対品質向上の取り組みについてお聞きしました。
事業概要と電話応対の体制をお聞かせください。
宿泊部 宿泊部統括支配人
北岡 尚憲氏
ホテル日航アリビラは、沖縄県本島の残波岬の南に位置するリゾートホテルです。宿泊施設やレストランに加え、マリンアクティビティやリラクゼーションサービスなどを提供しています。客室は397室で、従業員はパートを含めて300名ほどになります。開業から28年目となり、最近では老舗ホテルと言われるようになってきました。お客さまからの電話には、宿泊部の「オペレーター」と呼ばれるスタッフ3名が、ホテルの代表として最初に応対しています。電話での問い合わせは一日に200から300件ほどあり、内容はレストランの予約、宿泊の予約やキャンセル連絡、旅行代理店からの問い合わせなど多岐にわたっています。
コロナ禍で、宿泊部スタッフが自発的に改善プロジェクトに取り組んだ
電話応対教育について大切にしていることを教えてください。
電話応対の様子
電話は顔が見えないコミュニケーションですので、お客さまの状況を声で汲み取り、こちらも「声の表情」で気持ちを表すようにしています。以前は、お客さまから「事務的な会話で、残念だった」とお叱りのコメントもあったので、会話に抑揚をつけることを特に意識しています。例えば、何かお祝いごとがある場合などは声のトーンを上げ、クレームに対してお詫びをするような時は声のトーンを下げて話をするというように、状況に応じた話し方、声色を大切にしています。
また、お客さまから頂いたコメントは、宿泊部だけでなくレストランの従業員などホテル全体で共有しています。「こういったことがありました」という報告だけでなく、「こういうことが起きた原因を考えましょう」というように、投げかける形で共有をしています。投げかけをすることによって、実際に応対した従業員だけが受け止めるのではなく、全員がその状況を自分事として考え、同じことを繰り返さないようにしています。
他にも、コロナ禍の昨年5月には、宿泊部で「正しい敬語で話そう」というプロジェクトがありました。これは、電話応対のシーンに応じて、正しく敬語が話せているかをシミュレーションし、表現力の改善につなげるというものです。例えば、「ら抜き言葉」を使っていないか、「クッション言葉」を適切に使えているかなどの観点で、日ごろの電話応対をチェックしました。実際には、質問をする人、それに答える人という役割を設定し、適切な表現や応対方法をフロントスタッフで議論し、その結果を資料にまとめて社内で共有しました。この取り組みは、コロナ禍でお客さまが少なくなった時に、宿泊部のフロントスタッフが自発的に始めたものです。実際に敬語の改善に取り組んでみると、次は「ホテルマンとしての立ち振る舞いをテーマに取り組もう」などと、応対品質向上の取り組みが継続したことが大きな成果だと思っています。
コロナによって、ホテルの接客や電話応対にどのような変化がありましたか。
コロナ禍ではスタッフ全員がマスクをした上に、フロントカウンターにアクリル板を置くようになったため、お客さまにこちらの声の表情が届きにくくなってしまいました。そこで、フロントカウンターに鏡を置き、その鏡を見ながらマスク越しに見ても自分が笑っているかを確認しながら話し、少しでもお客さまに声の表情を伝えられるようにしています。また、マスクをしていると顔がわからないというお声もあったので、全員の名札にマスクを取った笑顔の写真を載せて、顔が見える応対を心がけています。
コンクールで学んだのは、「お客さまが求めていることを上回る提案」の大切さ
電話応対コンクールに取り組まれたきっかけや成果を教えてください。
ホテル内観(ロビー)
オペレーターはホテルの代表として最初にお客さまに接する、いわばホテルの顔のような役割です。電話応対コンクールに参加することで、自分自身がどのくらいの応対力があるのかを把握でき、他社と比べてどのくらいの立ち位置にいるのかが分かると思い、参加しました。10年ほど前から取り組んでおり、今在籍しているオペレーターは全員がコンクール経験者です。昨年からはオンライン開催となったので、さまざまな部署に声をかけて、レストランの担当者や総務部からも参加しました。参加者を見ていると、コンクール後は自信を持って電話に応対していると感じます。
効率化を進めつつも、はつらつとした笑顔でおもてなしをする「ソフト面」を大切にしたい
最後に、今後の目標についてお聞かせください。
ホテル内観(回廊)
ホテル日航アリビラはリゾートホテルですので、お客さまにリラックスしていただけるような応対を心がけています。その中でも、特に「おもてなしのこころ」を大切にしており、お客さまとは近すぎず、遠すぎない、寄り添うような接客を目指しています。コロナが収束すればインバウンドのお客さまが戻ってくるので、電話も接客も、外国語での応対が必要になります。また、リゾートホテルとして皆さまに快適に過ごしていただけるよう、お部屋やサービスの価値を高めていかなければなりません。コロナ禍で多くのスタッフが職を離れました。ただ、少人数でも効率的かつ高品質なサービスを提供しているホテルもあるので、よい事例はどんどん取り入れていきたいですね。その一方で、ホテル日航アリビラは設備などの「ハード面」よりも、「ソフト面」でお客さまから支持を得てきたという自負があります。新しいことを取り入れつつ、明るく元気な笑顔や、おもてなしの心といったアリビラらしい「ソフト面」を大切にしていきたいですね。
電話応対コンクール参加者の声
ホテル日航アリビラスタッフAさん
2021年の地区大会に参加したのですが、事前のオンライン研修では講師の方から心構えとして大切なことを教えていただくと同時に、応対話法についてもその場でアドバイスをいただけたので、とても身になりました。研修はほかの企業と合同だったので、皆さんがどのように応対するのかを直接学べたことも貴重な経験でした。講師の方からアドバイスをいただくと、日々の応対でも「この表現で良いのだ」と、自信を持つことができます。また、以前は自分から何かを提案することはなかったのですが、コンクールに向けた講習では、お客さまが求めていることを上回るようなご提案の大切さを学びました。最近では「こういったお部屋もありますが、いかがでしょうか」などと、自分からお客さまに提案ができるようになりました。
会社名 | 株式会社ホテルマネージメントジャパン |
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ホテル名 | ホテル日航アリビラ ̶ヨミタンリゾート沖縄̶ |
運営開始 | 1994年(平成6年) |
所在地 | 沖縄県中頭郡読谷村字儀間600 |
総支配人 | 中島 浩一 |
URL | https://www.alivila.co.jp/ |
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