電話応対でCS向上事例

-株式会社鳥羽国際ホテル-
皇族をはじめ、国賓級のお客さまをお迎えする名門ホテルが、お客さまの要望や好みにお応えするため高い電話応対技術を追求

「伊勢志摩の迎賓館」として著名な鳥羽国際ホテルは、「おもてなし」の充実や国際化に対応するため、電話でのコミュニケーションを重視しています。さらに来年の「伊勢志摩サミット」に向けた対応など、その取り組みをうかがいました。

貴ホテルの概要について教えてください。

  • ▲販売部 予約課
    マネージャー
    廣 裕美子氏

     「私どもは昨年開業50周年を迎えた『鳥羽国際ホテル』と旅館『潮路亭』を運営しています。当ホテルは皇族方、政財界の地位のある方々にご愛顧いただき、国賓級のお客さまをお迎えすることもあります。全国各地からご来訪される一般のお客さまも、その多くがリピーターです。近年は海外からのお客さまも増えてまいりました」(廣氏)

お客さま対応で、特に心がけていることはありますか。

 「旅の予約チャネルが多様化する中、5年ほど前から『個人旅行のお客さま』を大切にしています。団体旅行では、ホテル選びを主導するのは旅行代理店ですが、個人旅行ではお客さまがホテルに“何らかの期待”を抱き、選んでいただくことになります。そのご期待に応え、ゆっくりおくつろぎいただけるよう、予約課ではお電話でのコミュニケーションを非常に重視しています」(廣氏)

期待以上の「おもてなし」を可能にする顧客管理システム

お電話でのご対応について、具体的に教えてください。

 「新規のお客さまには『旅行の目的』をうかがうことが重要です。この伊勢志摩は風光明媚な自然、美味しい食材が特徴で、お客さまの多くが記念日や思い出づくりなど、決まった目的をお持ちです。予約課ではお電話を通じてそうしたご希望を拝察し、目的に合ったお部屋やお料理などをおすすめします。またリピーターの方については好みのお部屋やお食事など、顧客管理システムに記録された情報を参考にして、ご提案いたします」(廣氏)

  • ▲5年前にリニューアルした客室からは伊勢湾が眺められ、望遠鏡も配備されています

  • ▲ロビーにあるテラスからは穏やかな伊勢志摩の海を一望。フェリーの発着を見ることもできます

お客さま情報と現場での「おもてなし」との連携はいかがですか。

 「顧客管理システムは、お客さまと接する現場のスタッフも参照可能です。各部門ではお客さまの目的、宿泊数などを理解し、より高いご満足を提供するよう心がけています。また現場で得た情報を顧客管理システムに追記することも可能です」(廣氏)

リピーターのお客さまへの「おもてなし」で気をつけていることはありますか。

 「いただいたクレームへの対応です。クレームはお客さまからホテルへの真摯なアドバイスであり、その情報はホテル全体で共有し、再びお越しいただく時までにそのご不満を解消し、ご期待以上のおもてなしを実現したいと考えています」(廣氏)

「電話応対コンクール」で得られた技術がホテル全体のCS向上に

「電話応対コンクール」「企業電話応対コンテスト」への参加の動機と、その効果について、教えていただけますか。

  • ▲一番最初にお客さまと接するのは予約課。初めてのお客さまからも要望や目的をお聞きし、現場に伝えて期待以上の「おもてなし」を演出します

     「どちらも社内での研鑽を超えた高いレベルの電話応対技術を磨くものと位置づけています。『電話応対コンクール』ではスクリプト作成をスタッフ全員で行うことで、適切な応対とご満足度向上を考えるいい機会となります。審査員からいただく講評は、気づかなかったクセや弱点、発音などの見直しにつながります。これを部門全体で共有し、さらに『企業電話応対コンテスト』に参加することで、その効果が期待できるのです」(廣氏)

コンクールに出場される選手は、どのような基準で選ばれるのでしょうか。

 「予約課に配属されるのは、ホテルそのものと周辺の観光地や交通機関の情報などを身につけた入社3年目以降の人材です。『電話応対コンクール』には、こうしたスタッフのうち、さらに研修で“一定以上のレベル”となった者が参加します。また同じスタッフが連続参加するより、より多くのスタッフが“コンクールに挑む”よう配慮しています」(廣氏)

予約課とほかの部署との間では、人事交流が活発なのでしょうか。

 「所属4~5名のうち、ほぼ1~2年に一人は異動があります。予約課は忙しく、神経を使う部署ですが、ここで得られたお客さま応対の技術をほかの部門で活かすことが、ホテル全体のCS向上につながるのです」(廣氏)

来年のサミット開催を控え、国際化に対応する研修が必要

そのほか、お客さま応対で特に気をつけていることがあれば、教えてください。

 「外国のお客さまから、メールや英語でのお電話をいただくことが増えております。当ホテルでは、予約課ほか全従業員が定期的な研修、毎朝のミーティングでの英語スピーチなどを行い、英語での滞りない対応ができることを目指しています」(廣氏)

最後に、日本電信電話ユーザ協会への希望があれば、お聞かせください。

 「英語での電話やメール応対の技術向上の必要性を強く感じています。ユーザ協会には、こうした国際化、ICT化を踏まえたマナー研修などをお願いします。来年はここ伊勢志摩でサミット(主要国首脳会議)が行われ、国際的知名度は大きくアップします。また2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、多くの訪日客を迎えます。英語での応対技術向上は、そうした外国人観光客へのより上質なおもてなしにつながるはずです」(廣氏)

会社名 株式会社鳥羽国際ホテル
開業 1964年(昭和39年)3月
所在地 三重県鳥羽市鳥羽1-23-1
代表取締役社長 天野 憲幸
総支配人 天野 憲幸
資本金 5,000万円
主な事業内容 ホテルおよび旅館の運営
URL http://www.tobahotel.co.jp/

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